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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第二章 賢治の十二月二十五日
33/130

033.王族

 「えっと、お久し振りです。お祖母ちゃんが怪我したんで、大掃除をちょっと……」

 「お久し振りです。瑞穂の次男、経済(つねずみ)です。あちらは三男の宗教(むねのり)です」

 「おぉおぉ、ツネちゃんか。大きゅうなって……」

 俺の隣に進み出たツネ兄ちゃんに、九斗山(くどやま)長老が顔をくしゃくしゃにして喜ぶ。

 後の三人は、胡散臭そうな目で庭のノリ兄ちゃんを見た。

 上等な薄手のコートを着て、怪しい杖を持って、可愛い声で何かブツブツ言っている。


 どう見ても不審者ですありが(ry


 ノリ兄ちゃんが詠唱を終えると、ヘドロと雑妖とガラクタの円柱が、真っ暗になった。

 突然、漆黒に染まった円柱に、地元の大人四人が口をあんぐり開ける。

 「不用品の焼却処分をなさっている最中です」

 双羽(ふたば)さんの説明に四人が顔を見合わせた。訳がわからなくて当然だ。


 俺もわからん。


 「県警本部から、外国の王族がお忍びでいらっしゃるげ、しっかり警護するよう、連絡があったんだが……」

 「王族?」

 駐在さんにもっと訳のわからない事を言われ、俺と真穂は困惑した。

 「まさか、そんなエライお人が、こんなド田舎に来るワケないわいと、タカを(くく)っとったげ、さっき、ここまで警護して来たっちゅう機動隊が来てな……」

 「どちらさんが、その、外国の王族でございましょうや?」

 大笹(おおささ)消防団長が、金髪碧眼の双羽(ふたば)さんから目を逸らしながら聞く。

 視線の先に居たクロエさんも外国人だと気付き、消防団長は目を泳がせた。


 えっ? あれ? マー君の車にくっついて来たあれ、覆面パトカー……?


 「複雑な事情があって、説明すると長くなるんですが、宗教(むねのり)ですよ。警護もお断りしたんですけどね……」

 四人はツネ兄ちゃんと、漆黒の円柱の前に立つノリ兄ちゃんを交互に見た。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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