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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第二章 賢治の十二月二十五日
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028.異質

 最後に金髪の女性が降りて、扉を閉めた。

 よく見ると、先に降りて来た黒髪の大男も、目が青くて顔立ちがどう見ても日之本帝国人ではない。

 クォーターの高志伯父さんで大騒ぎなら、今日はどれだけの騒ぎになるんだろう。


 「あの……そちらの方達は?」

 誰に聞けばいいかわからず、七人を見回して質問する。

 「こいつは俺の息子の政晶(まさあき)。政晶、本家の内孫の賢治君と真穂ちゃん。俺達の従弟妹(いとこ)だ」

 「初めまして。政晶です。あの、大掃除、僕も手伝いましょか?」

 マー君の息子は、商都弁(しょうとべん)だった。

 女性のどちらかが母親……にしては、若過ぎる。


 「政晶君はまだ小さいし、影響受けるとよくないから、政治(まさはる)と一緒に分家で休んでて。それで、えっと、この人達は……何度も説明するの面倒だから、後でちゃんと紹介するよ。取敢えず、呼び名だけ……」

 ノリ兄ちゃんに言われて、政晶君は素直に助手席に戻った。

 マー君もいつの間にか、運転席に座っている。


 金髪の女性が口を開いた。

 「私は双羽(ふたば)とお呼び下さい。こちらの者は三枝(さえぐさ)。元の名はこの国の方には発音が難しいので、訳した呼び名です。三枝は臨時の増員で、この国の言葉はわかりません。母国語の他は共通語などがわかります」

 双羽さんは、完璧な発音の標準日之本語で、黒髪の大男を紹介した。

 三枝さんが小さく頭を下げる。


 双羽さんと三枝さんは似た服装だ。

 トレンチコートの左襟に同じマークが付いている。白い花が付いた盾と、盾の後ろで剣と魔女の杖が交叉したデザイン。

 右襟のマークは、双羽さんが二枚の羽、三枝さんが三本の枝。右は家紋なのかもしれない。

 スラックスに、不釣り合いなごついブーツ。二人とも、二十代後半から三十代前半くらいに見えた。


 「クロエ、挨拶して」

 「クロエと申します」

 ノリ兄ちゃんに促されて、メイドが優雅にお辞儀した。

 クロエさんも、瞳が琥珀色で、日之本帝国人ではなさそうだ。この辺だけ、異次元過ぎる。

 「経済(つねずみ)は?」

 「宗教(むねのり)がいるんなら、ここに居る」

 「あっそ、じゃ、俺は分家で寝とくわ」

 マー君はさっさと行ってしまった。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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