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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第二章 賢治の十二月二十五日
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027.客人

 ツネ兄ちゃんは、マー君より少し声が高い。テノールとバリトンくらいの差がある。声と眼鏡で見分けがつく。

 俺は少しホッとした。

 「雪下ろし、大変そうだな。でも、今、疲れてるから、金もらっても手伝えないぞ」


 金の話キターッ!


 でも、マー君の疲れが取れたら、手伝ってくれるって事だよな。

 ……有料で。


 「本家、泊まれそう? 全部でえーっと……六人なんだけど」

 「ゴメンナサイ。無理です」

 「今、大掃除してるから、バタバタしてるし……」

 真穂が半泣きで頭を下げる。

 俺の言い訳がましい説明に、マー君が母屋を見て囁いた。

 「祖父ちゃんに怒られないか?」

 「あ、今、ジジイとオヤジは留守なんで、今の内に」

 「祖母ちゃんは?」

 「入院してます。……あれっ? 聞いてない?」

 「うん。全然。いつ入院したんだ?」

 「今月初め。転んで骨折して、介護できないから、せめて最低限だけでもっ……て」

 助手席から、中学生くらいの子が降りて来た。マー君の縮小コピー。

 みんな同じ顔で、誰の子かさっぱりわからない。


 続いて後部席から、黒髪の大男が降りて来た。俺達に背を向けて、次の人を支えて降ろす。

 「大掃除するの? お手伝いしようか? ゴミ焼きとか」

 大男に支えられて降りた人は、多分、ノリ兄ちゃん……の筈だけど、声が女の子みたいだし、髪も長い三つ編みだ。

 右手に長い杖を持っている。杖の先には大人の拳くらいの黒山羊の頭が付いていた。

 どこにポイントを置いて驚けばいいかわからず、固まっていると、性別不明のその人は、自己紹介した。

 「初めまして。僕、宗教(むねのり)。声変わりしてないけど、男だよ。クロエ、出ておいで」

 後部席に声を掛けると、紙風船が割れたような音に続いて、黒髪の女性が降りて来た。

 二十代前半くらいで、絵に描いたようなメイド姿だ。コスプレのなんちゃってメイドではなく、外国の古い映画に出て来るみたいな本格的なメイドだった。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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