025.神様
「んで、経済君は、目ぇ離すとすぐ、屋敷神様の所で蹲ってたげな。寒いのに」
「屋敷神様?」
初めて耳にした単語に、お兄ちゃん、私、コーちゃんの声が重なった。
「あれっ? お袋、お祀り止めちまったが? 土蔵の脇にちっちゃい祠があってな、そこで家を守ってくれる神様拝んでたんだ」
「えっ……何それ? 知らない……」
「ガラクタが邪魔で、蔵に近付けないんだけど?」
叔父さんの説明に兄妹で青くなる。
そのテの神様って大抵、粗末にすると罰が当たる。
って言うか、こんなゴミ屋敷、罰が当たって当然だ。
お祖母ちゃんの怪我が天罰だとしたら、充分過ぎるくらい、神様は我慢して下さってた。
どうせなら、お祖父ちゃんとお父さんをどうにかして欲しかったけど、お祖母ちゃんの怪我をきっかけに大掃除が始まったから、これも神様の思し召し通りなのかもしれない。
「マー君はわかり易い奴だぞ。小遣いやったら、その分、きっちり働いてくれるげな」
叔父さんは、気マズくなった空気を元に戻そうと、話を戻した。
一番、手伝ってくれる可能性が高いけど、一体、幾ら払えば引き受けてくれるんだろう。
後でプロの特殊清掃料金を調べようっと。
ツネ兄ちゃんは無理っぽいし、ムネ……いや、ノリ……かな? ノリ兄ちゃんは絶対ダメっぽい。
「三人とも、今年で三十……幾つだったか……マー君は高志さんそっくりだったから、きっと他の二人もそうよ」
真知子叔母さんが、見わけがつくかねぇ? と、首を傾げた。