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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第一章 真穂の十二月

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024.記憶

 今夜はすき焼きだった。

 みんなで鍋をつつきながら、従兄(いとこ)の事を話す。

 「明日来る従兄って、どんな人?」

 コーちゃんが、米治叔父さんに聞く。

 叔父さんは糸こんにゃくをすすりながら、記憶の糸を手繰り寄せた。

 「なんせもう、十年以上会っとらんげなぁ……」

 そう前置きしつつ、ポツリポツリと説明してくれた。

 話している内に思い出して来たのか、だんだん詳しくなってくる。


 瑞穂(みずほ)伯母さんの旦那さんの高志(たかし)さんは、クォーターだ。

 どこの国か忘れたけど、高志さんのお祖母さんが外国人。

 それ以外はみんな、日之本帝国人だけど、高志さんはお祖母さんの血が強いのか、パッと見、日之本帝国の血が入っているようには見えなかった。

 「結婚の挨拶ん時、『瑞穂が外国へ嫁ぐ』って、村中大騒ぎになっとったげ」

 誤解を解いて、説得して結婚するまで三年程掛かった。

 高志さんは、仕事が忙しくなったとかで、それっきり一度も来なかった。

 なかなか子宝に恵まれず、思い切って不妊治療を受け、三つ子が生まれた。

 三人とも男の子で、戸籍上の長男が政治(まさはる)君、次男が経済(つねずみ)君、三男が宗教(むねのり)君。宗教(むねのり)君は、生まれつき内臓に障碍(しょうがい)を持っていた。


 「姉ちゃんは盆暮れ正月、マー君とツネちゃんだけ連れて帰ってきて、宗教(むねのり)君の世話が大変だって愚痴ってたげな」

 次男の経済(つねずみ)君は毎回、本家の敷地に入るのを泣いて嫌がっていた。

 「『おばけがいっぱいだからヤダ』っつってな。その度に姉ちゃんにひっぱたかれて、黙らされて、可哀想だったげなぁ……」


 あぁ、うん。ごめんなさい。

 お化けが居ても何の不思議もないゴミ屋敷でゴメンナサイ。

 って言うか、ウチって昔からゴミ屋敷なんだ……

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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