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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第一章 真穂の十二月
16/130

016.開始

 十二月二十四日。


 お兄ちゃんと私は、朝早く家に戻った。「普通にキレイな所」から帰ると、自分ちの汚さを改めて思い知らされる。

 庭のガラクタは、雪に埋もれて見えない。

 二人で屋根の雪降ろしをしていると、畑帰りの人達が話し掛けて来た。

 「ケンちゃん、久し振りだな」

 「お久し振りです」

 みんな声が大きいから、屋根の上と農道のままでも充分、会話できる。

 「すっかり大人になって。どうしたが? 急に」

 「お祖母ちゃんが、大怪我したって聞いたんで」

 「あぁ、災難だったげな。もちっと、まぁ、アレだ……その……頑張れよ」

 近所の人達は、言葉を濁して帰って行った。悔しいけど、言いたい事はそれでよくわかってしまった。

 雪降ろしで体が温まってほぐれた。二人でやると、いつもの倍以上も早く済んだ。


 お兄ちゃんが玄関を開けて途方に暮れた。

 「さて、どっから手ぇつけるかな……?」

 「トイレとお風呂。重要度が高くて狭くて物が少ないから、早く片付くし、キレイになったらヤル気も出るよ」

 私は、作戦が決まってから、ネットで調べた事を説明した。

 掃除用具と洗剤も発掘してある。それに、そこはある程度、掃除を進めてあった。


 ネットで掃除方法について、相談やアドバイスや情報交換する掲示板を見つけた。そこの過去ログを夢中で読み漁った。

 家族がゴミやガラクタを捨てさせてくれない、ゴミを拾って家に溜める事で悩んでるのは、ウチだけじゃなかった。


 同じ悩みを持つ仲間がいる。


 何とか説得して掃除した人、家族の入院中にこっそり大掃除した人、コツコツ掃除を続けている内に、家族が影響されて、掃除するようになった人、業者を呼んだ人、家族が亡くなってから片付けた人……事情が違うから、方法も手段も違うけど、家をキレイに片付けられた人達の報告は、喜びに満ちていた。

 永遠に片付かないなんて事はない。

 どんなにゴミが山積みでも、ひとつずつ捨てていけば、いつか必ず片付く。


 希望が、私にヤル気と力を与えてくれた。

 山端家の間取図-母屋-初期段階

 挿絵(By みてみん)

 青線=窓だが、開けられる所はない。

 南側全面が縁側になっている筈だが、雨戸を開けられないので全面壁状態。

 ※茶色=収納家具やガラクタや、ゴミ等の堆積エリア。

 ※黒色=部屋の存在すらよくわからない不明なエリア。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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