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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第五章 汚屋敷の兄妹
126/130

126.設置-兄

 十二畳の仏間には、何も置かない。

 その隣の十二畳の座敷は、押入れに来客用座布団と折り畳み式の座卓だけを搬入。

 応接間は洋間だ。空っぽのまま、カーテンだけ付けて、カーペットは敷かない。

 玄関には新しい靴箱と傘立てを置いた。

 靴箱は灯油の18Lポリタンク四つ分くらいの大きさで、履物は祖父母、オヤジの長靴各一足と下駄、つっかけ、草履のみ。

 傘立てはポリタンクひとつ分くらいの大きさで、傘は三本だけだ。

 応接間隣の五畳くらいの納戸は空になった。

 階段下収納には、何も置いていない。


 二階のゆうちゃん、俺、真穂の部屋も洋間なので放置。

 和室六畳二間の内、一間は畳四枚が足りなかった。

 「あー、すみません、ちょっと足りませんでしたね」

 「いえいえ、こちらこそ恐れ入ります。寧ろ年末のお忙しい時期にこんな短期間で、こんなにたくさんご用意して戴けまして恐縮です。年内に間に合った分は、すぐにお支払できるのですが、年を(また)ぐ分に関しましては、祖母と個別にご相談戴けませんか?」


 マー君の言葉で畳屋さん達は、廊下の端に集まって相談を始めた。

 すぐに話がまとまったらしく、その内一人がケータイでどこかに連絡して、こちらに戻ってきた。

 「あの、夕方……七時か、八時頃でも宜しければ、支店の在庫をお持ちできるんですが……」

 「そちらさえ差し支えなければ……こちらこそ、ご無理申し上げまして恐れ入ります」

 畳屋さんの申し出にマー君が丁寧に対応した。

 「では、ひとまず、搬入が終わった分の精算をお願いします。請求書と領収証はお持ち戴いてますか?」

 畳屋さん達はマー君に言われて、車に取りに戻った。庭から畳屋さん達の驚く声が聞こえた。ノリ兄ちゃんの古畳を燃やす魔法だろう。


 マー君は、三店に現金一括で数十万円ずつ支払っていた。

 在庫があると言った店は「じゃ、すぐ戻りますんで!」と一番に出て行き、他の二店もホクホク顔で帰って行った。

 「いや、マー君、太っ腹はいいけど、ボられてないか?」

 ゆうちゃんがみみっちい事を言う。マー君はしれっと答えた。

 「これ、ばあちゃんの金だし。ムチャ振り超特急料金上乗せしてるし、こんなもんだろ」

 「はあ?」

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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