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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第五章 汚屋敷の兄妹
118/130

118.苗床-妹

 「やあ、どうもどうも、おはようさん」

 庭に白バイと分家の軽トラが停まって、駐在さんと米治叔父さんが降りてきた。

 「朝早くから恐れ入ります」

 「暮れのお忙しい時に申し訳ございません」

 ノリ兄ちゃんとマー君が駐在さんに頭を下げた。

 みんなも会釈して駐在さんを迎える。

 「あー、いえいえ、とんでもない。殿下、そんな、こちらこそお世話になります。平和なとこで年末警戒って言っても何もありませんで」

 駐在さんは騎士達に会釈し、ノリ兄ちゃんの前で直立不動の姿勢で敬礼した。


 「で、ホトケさんは、どちらのお部屋でしょう?」

 「仏間の二つ隣のお部屋なんですけど……鑑識の到着を待った方がいいかなって……」

 「もうそろそろ着く頃かと思うんですが、なにぶん、この雪で……」

 駐在さんが恐縮して、ノリ兄ちゃんにペコペコ頭を下げる。


 「じゃあ、他の事をして待ってます。……ゆうちゃん、これ、燃やす前に視てくれる?」

 ノリ兄ちゃんが、ゆうちゃんに近付く。黒猫が肩の上で器用にバランスを取る。

 ゆうちゃんの右手を両手で包み込んで、小声で呪文を唱えた。

 一瞬だけ視えるあれだ。


 ゆうちゃんが情けない悲鳴を上げる。尻餅をついたまま何メートルもゴミ山から逃げた。

 「ゆうちゃん、このお家はね、要らない物や、使われずに朽ちた物や、虫や動物の死体がいっぱい詰まってて、そう言うのを苗床に雑多な妖魔が涌いたり、他所から来て住みついたりしてたの」

 ノリ兄ちゃんが淡々と説明する。


 私とお兄ちゃんは、換気しに家に入った。手分けして雨戸を開けて回る。

 ノリ兄ちゃんが、ゆうちゃんの最後のゴミを魔法で焼いてくれる。

 昨日、あんなに酷い事言われたのに。ノリ兄ちゃんって凄く心が広い。

 双羽さんが水の魔法で、ゆうちゃんの部屋を浄化してくれた。

 私達は双羽さんと一緒に庭に出た。


 駐在さんの無線が鳴る。ノリ兄ちゃんに敬礼して、白バイで農道を走って行った。

 灰を軽トラに積みながら、お兄ちゃんが説明する。

 「明日、畳屋さんが来る。おばあちゃんには分家に泊まってもらう。ジジイとオヤジは早ければ明日の夜、遅くとも元日の夕方までには戻ってくると思う」

 「じいちゃん達は俺が呼び戻したんだ。元日に会いたいって言って」

 マー君が付け加えた。

 山端家の間取図-清掃完了

 挿絵(By みてみん)

 双羽さんが水の魔法で、ゆうちゃんの部屋を浄化してくれた。

 やっとキレイになった……

 話の結末までは、あと少し。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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