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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第五章 汚屋敷の兄妹
115/130

115.一閃-兄

 「いや、オレもホントの事だからって、ちょっとは言い過ぎた所があったかもな。喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)で水に流して許してやるから、ムネノリ君にも、機嫌直すように言っといてくれ。いや、ほら、オレ達みんな親戚なんだし、もうすぐ正月だし、水入らずで、仲良く年越ししよう。なっ」

 明白(あからさま)な「反省してますのポーズ」だ。

 口から雑妖を吐いてる上に、どこまでも上から目線。


 何が喧嘩両成敗だ。ノリ兄ちゃんは何も悪くないだろうが。


 座敷組は互いに顔を見合わせ、無言で視線を交わした。みんな、ゴミニートを見限ったって目をしている。

 双羽さんが呪文を唱えて、冷たく言った。

 「もう自由に動けますよ」

 俺は、ICレコーダを停止して言った。

 「ゆうちゃん、もう帰ったら?」

 「は?」

 「さっきの話、聞いてたよね? 三枝さん、ノリ兄ちゃんを、我が子同然に思ってるって……」

 「誰かが、三枝さんにさっきの話を翻訳したら、どうなるだろうなって事だよ」マー君がニヤニヤ笑いながら続ける。「宗教(むねのり)の魔法なら一瞬で灰にできるしなぁ」


 真穂が、お盆代わりにバットに食器を載せて、座敷を出た。


 ツネ兄ちゃんが追加する。

 「クロエも、さっきの宗教(むねのり)とゆうちゃんのやり取りを聞いてて、凄く怒ってたよ。宗教(むねのり)が、人間への攻撃を禁止する命令を出してなかったら、クロエにも何されるか……」

 「えっ……いや、ちょっ…………」


 焦るゴミニートに、マー君が本家の方角を指差して言う。

 「ゆうちゃん、本家の長男なのが自慢なんだろ? 分家に長居してないで帰れば?」

 「自宅に戻って下さい。ぐずぐずするなら……」

 双羽さんが光の剣を一振りすると、ゴミの眼前に身長サイズの氷柱(つらら)が何本も現れた。


 ゴミニートが、靴下裸足(くつしたはだし)で庭を走り抜け、玄関に回る。靴を履いて、除雪された道を全力で逃げ帰った。

 光の剣が一閃し、庭のヘドロと雑妖を消し去った。

 座敷の(けが)れも一振りで消える。

 ゆうちゃんの思いなんて、所詮こんなもんなんだ。

賢治視点、一旦終了。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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