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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第五章 汚屋敷の兄妹
105/130

105.集合-妹

 そこそこ食べ進んだ頃、マー君がゆうちゃんの手を引っ張って来た。

 ゆうちゃんの肩を押さえて、ノリ兄ちゃんの向かいに座らせる。マー君は「いただきまーす」と言って、お兄ちゃんの隣に腰を下ろした。

 「いや、あの、メイドさんは?」

 「クロに用事? 今、ちくわ食べてるから、後にしてくれる?」

 ノリ兄ちゃんが答えた。


 メイドさんって……クロエさんって呼び名がちゃんとあるのに。


 ゆうちゃんが、いただきますも言わずに箸を鍋に伸ばした。

 マー君がその手を(はた)く。

 ゆうちゃんは、マー君に嫌みたっぷりに言われて、嫌々「いただきます」と言った。

 叔父さんが、藍ちゃんとコーちゃんを紹介する。コーちゃんが、箸を持ったままぺこりと頭を下げた。

 ゆうちゃんは無反応。


 マー君も、政晶君を紹介した。

 「いや、中二って……マー君、幾つの時の子だよ!?」

 「算数も忘れたのか? 大学一回生で結婚して、二回生の時に生まれた子だよ」

 マー君が説明する。政晶君は、気まずそうに小声で「初めまして」と言った。

 他のみんなは、黙々と鍋をつついていた。

 マー君がゆうちゃんを肘でつついて促す。

 「ゆうちゃん、自己紹介は?」

 「いや…………えー……優一(ゆういち)です」

 誰も何も言わずに頷いて、食事を続ける。


 何か気まずくなった空気を変えようと、叔父さんが明るい声で聞いた。

 「ゆうちゃん、元気にしてたか?」

 ゆうちゃんは無言で頷く。

 叔母さんが、コーちゃんにご飯のおかわりを渡した。


 「元日におばあちゃんが退院してくるけど、まだ完治してないから、ゆうちゃんがしっかり看病してやるんだぞ」

 「えっ? いや、賢治と真穂は?」

 「俺はもう家を出て大学行ってるし、大掃除終わったら、すぐ戻ってバイトに出るから」

 「私も、大掃除終わったら、家を出るから」

 「はあ? いや、いやいやいやいや、お前ら、何言ってんの?」


 まぁ、初めて説明したし、狼狽(うろた)えるのも仕方ないか。

 真穂視点、一旦終了。


 ※一回生、二回生……リアル世界の関西地方の大学では、一年生、二年生と言わずにこういいます。

 政治(まさはる)経済(つねずみ)も、この世界の関西に相当する地方の大学出身です。

 経済は「077.対面」で、他の地方に住むゆうちゃんにも通じるように「大学四年生」と言いましたが、政治は配慮する気ゼロです。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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