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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第五章 汚屋敷の兄妹
103/130

103.跳躍-妹

 座敷の畳から黴を剥がしていた双羽(ふたば)さんが、汚水を連れて廊下に出た。ゆうちゃん達に何か言って、玄関から出て来た。

 私の視線に気付いて、「血で汚れた衣服の洗い方を説明しただけです」と教えてくれた。


 何から何まで、ホント、ゴメンナサイ。


 日が落ちる前に何もかも片付け終わった。

 後はゆうちゃんの部屋と、その真下だけ。


 マー君から、お兄ちゃんのケータイに連絡があった。

 「今日こそは、ゆうちゃんを分家に連れ行くから、先に食べてて、だってさ」

 私達が、明日売りに行く物をガレージに仕舞っていると、中学生コンビが呼びに来た。玄関口で、政晶君がクロエさんにも声を掛ける。丁度、マー君も帰って来た。

 手分けして、換気の為に開放していた窓や雨戸、襖を閉めて回る。

 「何買って来たんだ?」

 「ゆうちゃんのパンツ」

 ツネ兄ちゃんに素っ気なく答えて、マー君は二階に上がる。

 入れ替わりにクロエさんが出て来た。


 ノリ兄ちゃんが、ゴミ焼きとは別の円を描いて待っていた。

 いつも通り一人ずつ、双羽さんと三枝さんに魔法で洗ってもらう。

 「みんな、この中入って。今日は疲れてるし、魔法で帰ろう」

 「うぉーッ! スゲーッ!」

 コーちゃんが叫んだ。私も胸がドキドキする。

 みんなが円に入ると、ノリ兄ちゃんは今までのとは全然違う雰囲気の呪文を唱えた。何か、詩の朗読みたい。

 一瞬、目眩みたいな感じがした。


 分家の庭に居る。


 「えっ? もう着いたの?」

 「うん」


 ホント、魔法ってスゴイ。


 みんなもキョロキョロ見回しながら、分家に入った。

 ホントに分家だ。凄過ぎて頭がついて行かない。

 手を洗って、ちょっと落ち着いたら思い出した。

 お礼がまだだ。

 私が、ありがとうって言うと、ノリ兄ちゃんは、いいよいいよって笑った。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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