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汚屋敷の兄妹  作者: 髙津 央
第五章 汚屋敷の兄妹
102/130

102.優劣-妹

 双羽(ふたば)さんが、泥水を従えて玄関から出て来た。座敷でお兄ちゃんがゴミ袋の口を括ってる。

 ゆうちゃんは、双羽さんが怖いみたい。

 「本家の長男ってそんなに偉いの? ムルティフローラ国王の玄孫(やしゃご)で王位継承権持ってるノリ兄ちゃんよりも、ゆうちゃんの方が偉いの? 何で? 根拠は?」

 藍ちゃんが畳みかける。


 双羽さんが泥水の汚れを捨てて中に入ると、ゆうちゃんはやっと口を開いた。

 「いや、それは違うだろう。別にオレ……何も頼んでねーし、お前らが勝手に……」

 「ノリ兄ちゃん、こんな奴もう放っとこう! ゴミと一緒に腐ればいいのに!」

 「でも、折角ここまで片付けたし、おばあちゃんは、これからもここに住むし……」

 「あー……そうだねー。おばあちゃんが困っちゃうねー」

 藍ちゃんは諦めて、作業に戻った。

 「優一さん、藍さんのご質問に、回答なさらないのですか?」

 「え……いや……回答って……その……」

 クロエさんが質問する。


 ご主人様にお礼を言わないのは、悪魔でも気になるんだ。


 ゆうちゃんは考えて、考えて、考えて、やっと答えた。

 「いや、あの……オレよりも、ムネノリ君の方が……偉いよ。こ……根拠は多数決で……その……」

 藍ちゃんが吹き出した。ゆうちゃんが睨みつける。


 変な事言うからなのに。


 ノリ兄ちゃんが、話題を変えてくれた。

 「ゆうちゃん、お掃除続けるんだったら、クロエに手伝わせるけど、どうする?」

 「いや、やる。続ける」

 「そう。よかった。クロエ、昨日までと同じように、お掃除のお手伝いをしてあげて」

 クロエさんがイイお返事をして、ゆうちゃんを連れて家に入った。


 あ、ちゃんと掃除はするんだ。

 一応、会話もするようになったし、進歩してんじゃん。

 お礼は言えてないけど。

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【関連  「汚屋敷の跡取り
ゆうちゃん視点の話で「汚屋敷の兄妹」と全く同じシーンがあります。

▼用語などはシリーズ共通設定のページをご参照ください。
野茨の環シリーズ 設定資料(図やイラスト、地図も掲載)
地図などは「野茨の環シリーズ 設定資料『用語解説17.日之本帝国』
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