↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

私と由香さんの平穏を追う日々

私の前世曰く、ここは乙女ゲームの世界らしい

掲載日:2015/02/15

作者は初心者です。温かい目で見てくださると嬉しいです(笑)

誤字脱字等あれば、お知らせください。

「わぁ、今日もまたやってる」

「毎日やってて飽きないのかな?」


中庭でのやり取りを屋上から見ていた私は、思わず呟いた。

隣に浮いている、私の前世さんも顔をしかめながら言った。








はじめまして。私は相楽雪乃さがらゆきの。一応、名家相楽一族本家の娘。周りの人曰く、庇護欲を誘う美少女、らしい。らしいというのは、私自身がそうは思っていないから。皆が言うから、そこまで酷い容姿ではないというのが私の見解。

そんな私には、ある秘密がある。

その秘密とは、前世の記憶を持っていること。いや、持っていた、というのが正しい。

生まれたときから前世の記憶を持っていて、六歳になったある日突然、今世の私と前世の私が離れてしまったのだ。

今世の私は体に残り、前世の私は体から追い出された。簡単に言えば、半幽体離脱である。しかも、前世の私の自我が確立してしまっている。ついでに言うと私も自我を持っているので、前世の私と今世の私はまったくの別人になった。

何故こうなったのかは分からないけど、お互い上手くやってきていると思う。平穏に暮らしていたある日、前世の私こと佐藤由香さんが、あんなことを言い出すまでは。



「ちょ、雪乃ちゃん雪乃ちゃん雪乃ちゃん!!」

「?由香さん何かあったの?」

「お、落ち着いて聞いて雪乃ちゃん」


落ち着くべきなのは、私より由香さんのほうだと思う。


「あのね、この世界が私が昔やってた、乙女ゲームの世界かもしれない!!!」

「‥‥‥‥‥‥は?」

「うんまあ、それが普通の反応だよねぇ」


面倒なので簡単に説明すると。

由香さんが家の中をうろうろして、お父様の書斎に入ると、何枚か写真があった。大方私の婚約者候補なのだろうと写真を見ると、会ったこともないのに知っている顔があったそうな。気になったので記憶を探ってみると、由香さんが最初にやった乙女ゲームの攻略対象の容姿と合致した。別に放っておいてもいいかと考えたが、そのうちの誰かと私が婚約すると、私が悪役にされてしまうかもしれない。だから慌てて私のところに報告に来た。

だそうだ。

由香さんの記憶によれば、私はゲームに登場しないらしい。けど、婚約したりしたら私が悪役令嬢となる可能性もある。悪役令嬢には、暗い未来しかないのだそうだ。仮にここが本当に乙女ゲームの世界だった場合、世界が強制力を働かせるかも分からない。

つまり由香さんはこう言いたいのだ。


フラグを叩き折れ、と。




結果、私は日本でも有数の大企業の社長令息達との縁談を蹴った。私も自分が可愛いからね。

代わり、といってはあれだけど、お父様の親友の息子さんと婚約した。世界に名を轟かせている大企業の社長令息と。彼との関係は怖いくらい良好だ。

ちなみに彼は、王子を地で行くイケメンである。


それでも念には念を、という由香さんに降参して、先生から薦められていた海外の姉妹校に留学した。

が、高校二年生の春に呼び戻された。たった一年で生徒会が使い物にならなくなったかららしい。

どうやら本当に乙女ゲームの世界だったようだ。

攻略対象である生徒会メンバーが揃いも揃って、ヒロインと思われる女子生徒に骨抜きにされていた。奴等が仕事を放って恋愛に走っているせいで、私は向こうでの勉強もそこそこに帰ってくるはめになったのだ。許すまじ。

しかも帰って来て早々、中等部までの私を知る、ほとんど人が泣きついてきた。可哀想に。奴等がやらない仕事を彼らが片付けていたのだ。

彼らのために私は動くことにした。溜まっていた仕事を片付け、信用できる人に声を掛けていき、生徒会をリコールする準備を進めている。




私はもう一度中庭に目を向けた。

そこには変わらず、茶番を続ける生徒会メンバーとこの学園屈指のイケメンが数人、そしてヒロインの少女が居る。


「暢気にしていられるのも、今のうちよ。せいぜい楽しむと良いんだわ」

「雪乃ちゃん、なんか黒いよ‥‥?」

「黒くもなるでしょう、あんなの見たら」

「まあ、否定はしないけど」

「雪乃、誰と話してるんだい?また、由香さんとかな?」


声の主を振り返ると、私の婚約者、宮国七祈みやくにななきが立っていた。七祈は私の秘密を唯一知っている人物だ。

七祈は私に歩み寄ると、私を抱きしめた。


「リコールする準備が整ったよ」

「ありがと。‥‥だけど、この体勢は一体‥‥?」

「頑張った俺にご褒美だよ」

「由香さんに見られてるよ?」

「俺には見えないから関係ないよ」


私が見えるから問題大有りだよ!というツッコミは、この後の七祈の台詞のせいで吹っ飛んだ。


「雪乃の手を煩わせた落とし前、どうやってつけて貰おうかな」


背筋を冷たい汗が流れた。私が思っていた以上に、七祈は怒っているようだ。

心の中で奴等にそっと手を合わせた。骨は拾うから安心してほしい。

奴等の将来が急に心配になってきた。生きて帰って来いよ。

ヒロインは、知らない。元々自分が撒いた種だしね。

知らないったら知らないよ。


「‥‥‥今日も空が青いなぁ」


そう言って、私は七祈に手を引かれながらリコール選挙の告知放送をするために放送室に向かった。ニヤニヤしている由香さんに見守られながら。






その後の生徒会メンバー達がどうなったか?

‥‥‥‥‥知らないほうが良いとしか言わない。




お読みいただきありがとうございます。

連載にするかどうかは、ちょっと悩んでいるので分かりません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。