二話 起きる
「目が覚めましたか」
少女の爽やかな声が響く。
目を覚ました俺は、辺りの古びたかんじからして神社にいることがわかった。
「お前一体俺に何をしたんだ?」
「はい、私は、あなた様に呪文をかけました」
「呪文?」
「まさか呪文を知らないのでは」
私が全てを知っている神のように不敵の笑みを浮かべている。いや、実際にたぶん神だろが、それにしてもバカにされるのはむかつく。
「アホか、話の流れで俺の言いたいことを理解しろ。俺が言いたいのは、どんな呪文をかけたか聞いているんだよ」
「そういうことでしたか。すいません。この呪文は、五感の機能を人間本来の10倍にあげる呪文です。」
確かに、目覚めてから聴力と視力がよくなった。具体例を、挙げるとすれば風の音が常に聞こえていてまるで風の気持ちがわかるようだ。
「確かに、これはいいな」
少女が何か言いたそうな顔で俺を見つめてくる。(おとなしくしていれば可愛らしいのに)
俺が質問しなければならないのか。
「何かあるのなら言ってくれ」
「えーと、五感が高まったということはあれですね」
少女は、うーんと考え込み、俺は、ここでいやな予感がした。その予感はつまり......
「触感が鋭くなったんです。つまり、痛みにとても弱くなったんです」
的中したーー。
「おいおい、じゃあ、戻してくれよ」
「すいません。できません」
「意味わかんねーよ。できないじゃなくて、やれよ。このくそやろうが」
心の中から、ドロドロしたものが出てくる。
「・・・・・・」
少女は、土下座の体制をとりつづけていた。俺は、この少女に土下座させ続けていいのか。いや、ダメに決まっている。
「俺が、悪い。確かに言い過ぎた。お前、この俺を許してくれるか」
「うん、ヒクッ、いいよ」
少女は、涙ながらもしっかり答えてくれた。
「よし、神社再建を目指しますか」
この泣いている状況で、答えてくれるかと心配に思ったが、問題は、なかった。少女は、にこやかな笑みでうなずいてくれた。
前に書いてからしばらく、時間がたっているのでなんかおかしくなっています。