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母の定義  作者: 七草せり
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9/11

精密検査。

精密検査の日取りが決まり、その日がやってきた。

姉は祈る様に私を見る。

両親もかけつけた。姉の旦那さんも。


そりゃそうだろう。大切な我が子に何かあってはと気が気ではない。


名家の跡継ぎの精密検査。私を心配するのは両親のみだ。



「香乃子……。 頼むわよ」


私の手を握り、お腹を触る。


「検査するのは私じゃないし……」


「いや、 でも君にもしもがあったら困るんだ」


明らかに敵意のある言い方をする義兄。


いや……。貴方達の為に私は苦労してるのよ?分かるかな?




皆に見送られ、処置室へ。


部分麻酔をかけられ、エコーを見ながらお腹に針を刺すと言う。

お腹が見えぬ様に布で遮られてはいるが、エコー画面は見える。


慎重に針を刺す。

麻酔はしたが、やはり痛い……。

それに違和感もある。


検査中、ベッドの上で天井を見ながらふと思う。


何で私ここまでやっているのだろう。


普通に命の大切さをあじわって欲しかっただけなのに、想定外の事で非難され。


まるで私のせいではないか。

確かに卵子は私の物。しかし義兄さんに問題はないの?


拭えない何かが私を襲う頃、検査が終了した。


「暫くは安静にして下さい。 入浴も控えて下さい」


「結果はいつ頃……?」


「おって連絡致します」



病院のベッドで暫く休み、私達は帰宅した。


「気疲れしてしまうわね。 順調だったのに……」


姉は帰るなり私にそう吐き捨てる様に言った。


「言われても、 こればかりは仕方ないじゃない。 私だって初めてなんだから」


「うちの人のせいなの?」


「だから! 誰のせいでもないって。 自然な事なんだから」


「病気は先天性の物よ? うちの人は悪くないわ。 貴女の卵子が悪いんじゃない?」


これ以上は押し問答だ。



「疲れたから休むね」


私は自室へと向かった。


私が悪いの?何かあったら、私のせい?


懇願され、命の大切さの為に引き受けた事だけど、病気かも知れないってなったら非難するなんて。

私は一体何よ。


私はやり切れない気持ちになった。


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