挿話 同志への手紙
1991年5月28日
親愛なる同志へ
かの“金剛石”は打ち上げを待つばかりである一方、ラピスの警戒感はとても緩んでおります。
同志もご存じの通り、東は戦争は不可能だと考え、まともな動員を行っておりません。
ラピスに関しては、第3機械化師団が半数の戦力をようやく動かせるといった程度であり、他は三割に達しているかどうかでしょう。
サン・ミシェルのレーダー網には穴があります。同封した地図をご覧ください。
どうか同志に幸いのあらんことを。
1991年6月25日
親愛なる同志へ
ラピスはヴェルサイユで迎え撃つことを決めました。
すでにどの部隊が防戦に当たるのかも決まっております。部隊配置は同封の地図をご確認ください。
ラピスはティエール線を使うつもりのようですが、これにも脆弱な地点があります。
詳しいことは先述の地図に書き込んでおります。
どうか同志に幸いのあらんことを。
1991年9月10日
親愛なる同志へ
本国からの手紙であるため、時間がかかることをお許しください。
ファニーウォーが続く中、PATO軍は着々と防戦体制をととのえている、ということはご存じかと思います。
ですが、この防戦体制というものは非常に脆いものです。動員はPATOが喧伝するほどには進んでおりません。
一度の大規模攻撃は防げるでしょうが、二度、三度と続くと雪崩を打って退却すること間違いありません。
PATOのプロパガンダに欺かれぬよう、僭越ながら手紙を送らせていただきます。
状況が変わりましたら、Bを通じてお伝えいたします。
どうか同志に幸いのあらんことを。
1991年10月28日
親愛なる同志へ
FCLは崩壊したも同然です。彼らに抗するほどの戦力は残っておりません。
ELARとオーヴィアスも、これまでの戦闘で疲弊しており、国内では厭戦気分も蔓延しています。
国内の細胞も順調に活動を進めているようで、捜査は後手後手に回っているようです。
ブランデンブルク・ブリタニア共に要塞を抱えてはおりますが、かの兵器の前には無力でしょう。
ブリタニアの気象局からそちらへ情報が回るよう、手配しております。どうぞご活用ください。
どうか同志に幸いのあらんことを。