王城の庭
そのあとは何だかどっと疲れたとかで、登録処理等を淡々と進められた。
なんかの機械に血を垂らして、機械から出てきたカードを受けとる。
冒険者ギルドと商人ギルドの二枚だ。
「そのカードについてる石が、ランクで色が変わっていくからな。詳しくはギルドの規則本をやるからそれで確認してくれ」
「はい!」
この時、殆どの人たちが素直で良い子なんだけどなぁ…と思ってたらしい。
案内してくれた執事っぽい人は、王様の秘書官みたいな人で、この場の様子もちゃんと報告したんだとか。
そして、秘書官さんの意見として『素直で良い子ですが規格外過ぎて問題児です』と言ったらしい。
あと、騙されやすそうだから、誰か補佐役をつけた方が良いとも言ったらしい。
俺は荷物を全て収納に入れて、さて次はどうするんだろう?と思っていた。
ギルドの人たちが帰り、ご飯まで食べていきなさいと言われて客室に案内されて、あとは待機らしい。
担当の侍従さんを紹介されたんだが、秘書官さんの息子らしく、眼鏡でピシッと髪をセットしていたお兄さんだった。仕事出来ます感がハンパなかった印象だ。
当時の俺は、眼鏡の人は全員仕事出来そう!と思っていたのだ。実際、仕事が出来る人だったので、気遣いハンパなかった。
「許可されたエリアなら散歩も可能ですが、王城自慢の庭をご覧になりませんか?」
「よろしくお願いします!」
正直なところ、俺は飽きていた。おっさん達に囲まれてやいのやいの言われて、触りたく無いくらい高そうな物に囲まれて、部屋に居るくらいなら外の方がマシだと思ったのだ。
侍従さんの案内で庭に出たのだが、俺の想像する庭では無かった。
「庭なのに、高そう!」
「ブフッ……失礼しました。そうでございますね、王城ですから庭ですら国の権威を示すために徹底した管理のもと、美しく彩るように厳選された植物が植えられております」
「凄く凄い!これは職人仕事です!」
何だかわかったような発言をしたが、これは知り合いの商人さんが鍛冶のおっちゃんの作った物を見て、褒めるときに言っていたのである。
つまり、この庭を管理している人を凄いと思ったので、真似して言っただけだった。
「ふんっ!平民が何をわかったようなことを言っているのだ!この庭の価値などわからぬくせに!」
突然だった。花の間から十歳くらいの男の子が現れたのだ。それもだいぶ失礼な態度だった。
「殿下!」
侍従さんが叱るような驚いたような声をあげたので、この男の子が殿下なのだと思った。
そう、この時の俺はこの男の子の名前がデンカだと思ってしまったのだ。
「初対面の人に失礼なこと言うのは親の教育が悪いって言われるからやめた方が良いと思います!」
俺としては親切のつもりで言った。大剣豪たるもの礼儀は大切にしなきゃいけないと思っていたので、初手失礼な発言をしたデンカに駄目だよ!と注意したのだ。
ただ、デンカは殿下であって、殿下の親は陛下……つまり王様なので、俺の発言により侍従さんの胃がキュッとなっていたそうだ。
それについては本当に申し訳ないと思っている。