王都へ
領主の屋敷では、お手伝いをしてお金を貰い、買い物をする……という村ではやらないことをさせてもらえた。
一気にシティーボーイになった感が出たし、なんだか大人になった気持ちになっていた。
因みに、お金は転生者や転移者が作ったといわれている。紙のお金と金属のお金があって、単位は円である。
奥さんによると、新しく来た転移者とかは、お金のことを知ったら、日本人さぁっ!と一回落ち込む?らしい。どうやら転生者も転移者も日本人という種族が多いらしく、たまにアメリカ人とかも来るが、日本人さぁっ!と一回は嘆くらしい。
どうやら奥さんは転生者のご友人が居るらしく、転生者ネタがお好きなようだ。実は国の上層部には俺も転生者ではないかと疑われていたが、奥さんが違うと報告したことで普通にヤバい子供なんだなってなったらしい。
友人に言われて、失礼だと文句を言ったんだが、石を木の枝で切るなんておかしな行動するのはヤバいだろうと真顔で言われてしまった。
俺的にはむしろ斬れない方がおかしいんだけど、一応常識として普通の人は出来ないことを知ったので、言わなかった。
勉強していたら二ヶ月半は凄く早くて、ようやく丁寧な話し方に慣れたところで王都に移動することになった。
半月の馬車移動では、領主が付いてきてくれていたんだけど、先ずは王様にあって挨拶するとか、学園の寮の説明とかをしてくれた。
学園には貴族の子供か、金持ちの商家の子供しか居ないだろうから、俺は丁寧に話しとけば良いとか、思ったことは素直に口に出さないように気を付けなさいとか、色々言われたと思うんだけど……
この時の俺は長距離の馬車移動が初めてで、お尻の痛さと戦ってたので、言われた事が右から左に抜けていた。
なんか言うとるけど尻が割れそうでそれどころじゃない!って思ってた。
まぁ大剣豪になるのだからこれくらいで弱音を吐いちゃダメだ!と我慢しまくって、お尻が腫れてしまったのは忘れたい思い出だ。
こうして、尻を犠牲に王都に到着した俺は、領主の上司……寄り親?とかいう伯爵さんに会わされ、更に上司の宰相?とかいう侯爵さんに会わされ、トップオブトップの王様に会わされた。
「君が大賢者のエクスか」
「職業大賢者、将来の夢は大剣豪のエクスです!特技は何でも斬れることです!王様はなんかモヤってますけどどうしてですか!」
学園で自己紹介があると聞いていたので、一生懸命頑張って考えていたのだ。領主はまさか王様の前で自己紹介するとは思って無かったらしく、顔色が悪くなっていた。
しかもモヤと言えば奥さんの事件があるし、報告を受けていた偉い人達が一気に顔色を変えていた。
「モヤとな?」
「はい!お腹のところが特に!ちぇぇいっ!ってしますか!?」
王様に聞かれたので素直に話したんだが、たぶん説明は不足していた。
こう、その、俺の知ってることは皆既に知ってることなんだと思ってたんだ。大人なんだから俺より知識はあるし、大剣豪の夢の内容は俺しか知らないのに、常識だと思ってた。
だから、この時皆が『ちぇぇいっ!』?って顔してたのに気がつかなかったんだ。
「ふむ、一度医師に確認していただいた方がいいかもしれませんな」
宰相って言ってた人が王様の横から言って、モヤの話は終わったんだけど後から聞いたら弱い毒を飲まされてたらしい。
早期にわかったので無事だったし、犯人もわかったらしい。側妃とかいうのが一人居なくなったって聞いた。