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【五章完結】気付いたら組長の娘に異世界転生していた冷遇お嬢。  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫
【第肆章・新生活と新術式と『カゲルナ』】

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123/171

♰123 「サーくん、ラッキーボーイかな?」



 一先ず、外は寒いから、と家の中に移動。

 花も摘んだから、キーちゃんと一緒に、花をもしゃもしゃ。

 キーちゃんのとぐろの中で隠された気になって、落ち着いている様子のサーくん。


「サーくんには、隠れる才能があり、それは幻覚によるものだから、幻覚で攻撃して戦闘不能にする、ということで?」


 カタカタとタブレットの中の鍵ファイルの中に、『生きた式神』サスケの資料を、取り付けたキーボードに打ち込む。


「あれは……洗脳ではないでしょうか」と、慎重に口を開く優先生。


「脳に働きかけて恐怖心を刺激、むしろ、植え付けてろくに動けないようにしました。幻覚はお嬢様のコートに潜り込んでいることもわからないほどに、隠蔽して周辺すらも欺く認識阻害……それが、『召喚』されてから、ずっと保っていると言うのに、花を摂取しているのは、まだたった二本でしょう?」


 優先生はキーちゃんのトグロの中を、じっと見つめる。

 見えていないが。


「洗脳……怖すぎる響きだな。いやでも、確かに希龍が解いてくれてから、楽にはなったが……」と、藤堂は思い出して青い顔をするが、洗脳状態には納得した。


「サーくんは、ゴーストタイプであり、状態異常が得意な子だってことだね!」


 いい子いい子とサーくんの頭を撫でる。


「なんで笑顔」と解せない藤堂。「止めるべきだった……」とぼやく。


「この子がヒョウさんと対面したら……私以外には幻覚攻撃しちゃうのかな」

「っ絶対に出さないでくださいね!?」


 ちょっと疑問に思っただけで、実行する気はなかったのに、藤堂だけではなく、恐怖幻覚と聞いて橘も目で訴えて止めてきた。

 やらないよ。


「サーくんにキーちゃんも消してもらえたら、優先生の結界も出す度にかけずに済むね」

「……それは寂しいですが、確かに冷気という欠点がない上に、相手に直接触れられさえしなければ、隠し通せるとは……。お嬢様にはやはり、害もなく、幻覚も作用していないのですね?」

「うん。ただ……ユラユラーって、輪郭が揺れていて、実体はないかなって思っちゃうけど。これがこの子のそのまんまの形かな。私のイメージに合わせてって感じ」


 輪郭を人差し指でなぞった。


「ゴーストボーイ、ですか」


 そう。ゴーストボーイ。幻覚は見せられてはいないけれど。


「うわ」ふわっと浮いたかと思えば、顔に抱き付いてきた。


「え? どうかしましたか?」と、何事かと見えていない優先生達が焦る。


「いえ、サーくんが浮いて顔に飛びついてきたので、ビックリして」

「浮くんかーい!」

「てんとう虫ですし、飛べるのも不思議ではないでしょう」

「てんとう虫か……面白いね」

「「面白い?」」


 抱え上げても、サーくんは彼らには見えていない。

 ググったてんとう虫の情報について、スマホで見せた。


「お天道様……ああ、てんとう虫の名の由来ですか」

「ゴーストにお天道様か。確かに、矛盾だな」


 てんとう虫の名前は、お天道様、つまりは太陽に向かったから、そういう名前がついたのだ。


「それにてんとう虫ってラッキーの象徴でしょう? サーくん、ラッキーボーイかな?」


 鼻先をくすぐると、はしゃいで足をジタバタした。


「ああ、希龍も希望と込めていますし、元々お嬢様の血筋を遡れば、幸運の龍を従えた術式使いに行き着きますからね。少なからず、幸運を引き寄せる可能性は、否定出来ませんね」

「こう見えて、ラッキーボーイだ! サーくん」


 むにむにと頬を摘まむ。


「こう見えても何も、全然見えんが」と、冷静なツッコミの藤堂。

 何も見えません問題。


「ちぐはぐだな……。『生きた式神』なのに、ゴーストボーイって……」と、矛盾を指摘する藤堂だった。


「そういえば、舞蝶お嬢様の母親の術式は、幻影やかく乱も得意としていたと聞きましたね。それが少なからず引き継がれているのかもしれませんね」


 そういえば、そうだった。

 月斗が「サーくん、どこー? 触ってもいいー?」と手を伸ばせば、サーくんの方から両手で掴んだ。


「お。ビックリ。サーくん、みーっけ」と笑いかける月斗に、サーくんはキャッキャと、はしゃいで両足をバタつかせた。


「月斗にすっかり心を開いたね。皆さんも、交流を試みる?」

「はい! 俺にやらせて! 仕事に戻る前に!」


 と、徹くんが爛々と目を輝かせて、挑戦権をいち早くに勝ち取った。


 懐いた月斗の膝の上に乗せて、慎重に話しかけて、なんとか素のサーくんを見せてもらうことに成功した徹くんを横目に見ながら、それを優先生と記録するために打ち込んだ。

 私と生物が『生きた式神』が作成するカギ。

 この推測を裏付けるために、月末の国彦さんとの合作『式神』作成の際こそは生き物が混入しないように、室内で密閉することが、決定。


 そんな休日を過ごした。




 学校に登校しても、サーくんも一緒。

 誤って誰かが触れないように、キーちゃんの頭の上に乗せて、高みの見物状態。危害を加えられない位置にいられて、サーくんも安心のご様子。


「今日はやけに上を向いてるね?」と、上を確認する私に気付いた燃太くんが尋ねた。


「幽霊が見えるの」と、笑って答える。

〔お嬢ってば〕と、影の中の月斗は、苦笑を込めた声を出した。


「どんな?」

「これくらいの、ゴーストボーイ。気弱でシャイなの」

「具体的。……もしかして、冷気が漂って、水滴が落ちる現象の正体?」


 兄から得た情報で、見えない何かがいるらしいとは思っているようだ。

 それはキーちゃんのことだけど、元から話す気はないから「さぁ? どーでしょう」と笑みで誤魔化しておく。

ちょっと不貞腐れたむくれた顔だが、こちらも手の内を明かさないのは当然のことだと、しぶしぶと納得して頷いた。



 その日の下校の中。


「そうだ。お嬢。そろそろ、美容室に行って髪の手入れをしてもらいましょうか? この近場にいい店がないか、調べてリストアップしましょう」


 ニコニコと藤堂が、車内でそう提案した。


「……」


 ジト。


「え? な、なんすか? その目……?」と、たじろぐ藤堂。


「……前の美容師さんの伝手は、頼れないんだ? ふぅーん」


 小首を傾げれば、藤堂はよそを向いて、ダラダラと冷や汗を垂らす。


 優先生が、冷めた目を向ける。

 そんな彼の膝の上には、サーくんがよじ登る。優先生にも、サーくんは、心を開いた。


 実は、藤堂には、懐かなかった。

 一回チャレンジして、見事再び恐怖の幻覚を浴びて、もう挑まなくなった藤堂は未だ見えずじまい。


 橘には、なんとか姿を見せてくれた。花の盛り付けでなんとか釣って、自ら触れさせて、見せてもらったのだ。


「いえ? 別に?」と、そんなわけがない態度の藤堂に。


「ふぅーん? へぇー? 連絡が取れないような間柄になったんだね? 彼女、とってもあなたによく見られたがってたものねぇ? 拒否されれば、破綻するもの」


 と言えば、ダラダラと冷や汗を垂らす藤堂が、オロオロと視線を彷徨わせた。


 シンと沈黙する車内。


「……まぁ、電話で告げたのなら、ハサミで刺されることもないね」

「……」

「一方的な総無視なら、次会えば、刺されるね」

「…………」

「ハサミ、こわーい」

「…………」


 図星を突かれて、真っ青な顔で俯く藤堂は今現在、優先生の視線がグサグサと刺されている。


 いや、冗談抜きで、刺されるよ。ホント、お前。


 ずっと毎日護衛を務めているから遊んでいなさそうだけど。

 これからの関係者ではなく、過去の女性が何かやらかさないか、不安だわぁ。



 


どうしてもいじりたくなるのが藤堂というキャラ。

サーくんの登場でたくさんのいいねをいただきました! ありがとうございます!

2024/03/24

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