表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/134

第八十四話 荒れ狂う雷銃

 またしてもヘンリクが先頭を歩き、例のミノタウロスがいる広場に一番近い曲がり角の手前で入れ替わった。


「此処を曲がればすぐだぞ、良いんだな、本当に出来るのか?」


「どうでしょう? ただ今までは途中で解除していたんですが今回はそれをやりません、放った魔法に込められた魔力が消えるまで飛び続ければ何とかなるんじゃないかな」


「旦那、いくら何でもそりゃ無茶でしょ、個々に狙いを付けないんですよね」


「そりゃそうさ、姿を見せたら襲って来るだろ、そしたら数でやられちゃうって、もういいから少し下がって障壁を出してくれよ」


 普通の状態の【雷銃】ではなく普段の倍以上の魔力を込めた【雷銃】を放つので感覚的には30個ならいけそうな気がする。


 余計な緊張すると作成に影響するので深呼吸しながらゲルトの手が上がるのを待った。


(さぁやりますか)


 曲がり角から広場を除くと広場を埋め尽くすほどのミノタウロスが牛歩で歩いているのが見えたので思わず首を引っ込めて障壁の前まで戻ってしまった。


(何だよ50どころじゃないじゃないかよ、どうなってんだよあいつら)


 心臓に手を当てて息を整えていると障壁の向う側にいる心配そうな顔をしているジールと目が合ったので作り笑いを見せてもう一度気合を入れ直す。


(こうなったらとことん出してやるか、魔力を使い果たしてもここまで戻れば大丈夫な……はずかな)


 曲がり角を曲がる前に杖をしっかりと握りしめて目の前に雷の玉を10個だして更に魔力を流し込む。耳栓越しでもかなり五月蠅いが意識を集中して限界ギリギリまで魔力を流し込む。


(さて、これならどうかな)


 雷の玉と一緒に曲がり角を曲がるといきなり破裂音がしたので、音の原因を探りに来たミノタウロスがいたのだろう。


(眩しくて見えなかったけど、馬鹿がいたんだろうな……さぁ暴れて来い雷銃)


 サイレンの様な音を奏でながら広場に中を飛んで行ったが、軌道の確認はせずに再び雷の玉を作成していく。


 第二陣の【雷銃】はドラムを激しく叩いている音を奏でながら飛んで行った。


 広場全体が眩しく光りを放っているのでどんな状況なのか分からないけど次に三回目を解き放つ。


 三回目の【雷銃】は久方ぶりに雷の音を出して飛んでいったので思わず顔がにやけたが、直ぐにさっき迄聞こえていたサイレンの音が鳴っていない事に気が付いた。


(まだ30秒も経っていないんだぞ、消えたのか? それとも聞こえないだけなのか、やはり大きさを変えた方が……)


 今度は先程までの倍ほどの大きさの【雷銃】を5つ飛ばしたが、大きさを倍にして数を半分に減らしたというのに魔力がどんどん吸い取られてしまった。


(金切り音だけは止めてくれよ、頭が割れそうだ)


 壁に寄りかかり眩暈に耐えていると不意に全ての音が鳴りやんだのでふらふらになりながらも初めて広場の中に足を踏み入れると、そこにはまだ3体のミノタウロスが立っていた。


(雷じゅ……)


 杖の先に雷の玉が現れる事はなく、そのまま膝をついてしまう。そこに生き残りのミノタウロスの一体と目が合ってしまった。


(逃げなきゃ)


 無理やり身体を起こして転がるようにして角を曲がるとそこで力尽きてしまい倒れたまま身体が動かなくなった。


「おいっどうした、行くぞっ」


 ヘンリク達が俺を飛び越えて広場の方に向かうが、ジールだけは立ちどまって俺の身体を抱きかかえてくれる。


「ねぇどうしたのよ、大丈夫?」


「魔力を失っただけさ……あぁ何だか気持ちいいな」


「何それ気持ち悪い」


 空っぽの身体の中に魔力が急激に入って来る感覚が気持ち良かったのだが、別の意味だと勘違いしたジールはいきなりその手を放して突き飛ばしてくれたので受け身をとれないまま地面に顔を擦りつけてしまう。


「ちょっとこれは無いよ」


「あんたが気持ち悪い事を言うからいけないんでしょ」


「違うんだって、あ~もう何て言ったらいいのかな」


「どうでもいいわよ、ちょっとあんたはここに居なさい。私は行ってくるから」


(勘違いしないでくれよな……あっまだいるんだ)


「ちょっと待って、俺も連れてってくれ」


「あ~もう」


 戻って来たジールに肩を貸してもらいながら広場に入って行くと、ヘンリクは片腕が無いミノタウロスと優勢に戦っているし、ヨモギは顔が半分失っているミノタウロスと戦っていてハルとゲルトは倒れながらも蠢いているミノタウロスにとどめを刺していた。


「あっ雷銃」


 ゲルトに障壁を出す暇を与えなかったので撃った瞬間にジールとゲルトに怒鳴られたが、ハルを背後から襲おうとしていたミノタウロスを倒す事には成功した。


(やはりもう撃てるようになったのか……音さえ何とかなれば俺はダンジョンでかなり活躍出来るんじゃないか)


「どうでもいいか、いつまでもいる訳じゃないしな」


「んっ何か言った?」


「いや」


 もう一人で立てるようになるまで回復したので思うところはあるが俺の目的はこの世界で暮らす事じゃない。 


 

 



今週から月・水・金投降になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ