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第七十八話 42層とは

 慌てて攻撃しようとしたがワニノコの動きは遅くてゆっくりと歩いているし、その上に乗って立っているミノタウロスは何を考えているか知らないが微動だにしないので心にゆとりが生まれてきた。


「あのさぁミノタウロスはどうして斧を持っているんだろ」


「………………」


「ちょっと無視は……あぁそうか」


 振り向くと俺の声は既に届いていないらしくジェスチャーで早くしろとヘンリクが手を振っている。


「だったらやりますか」


 杖の先に雷の球が出現するだけで音が響き渡るので耳栓を忘れてしまった俺は思わずかをしかめてしまう。


「あぁもういけっ雷銃」


 この俺に頭痛をプレゼントしながら飛んで行った二つの雷は一つはワニノコの身体を突き抜け、もう一つはまだ腕を組んだままのミノタウロスの上半身を吹き飛ばして支えの無くなった腕が地面に落ちていく。


「……じゃ……よく……」


「ちょっと待って、耳鳴りが酷くてよく聞こえないんだ」


 頭痛が激しくなったので思わずしゃがみこんでマジックバックの中から回復薬を取り出して急いで口の中に流し込むと頭痛も耳鳴りも消えていく。


「お前さぁ自分の魔法なんだろ、どうしてそうなるんだよ」


「誰だって自分の魔法を自分に向けて撃ったら怪我をするだろ、それと一緒だよ」


「一緒なのかぁ」


 ヘンリクは納得していないようだが俺にはそれしか言いようがないし、ダンジョンと俺の魔法は相性が悪い事が今回の事でよく理解したのでこれが最後のダンジョン攻略になると思う。


「あれっハル達は」


「魔石の回収に行っているぞ」


 ハルとヨモギはまだ魔石に変わっていないワニノコとミノタウロスの死体の前で何かを話し合っている。俺達が寄って行くと死体はダンジョンに吸収され魔石が転がっていた。


「あ~やはりこうなったか」


「そうだな、仕方のねぇことだけどな」


 一つの魔石は少し欠けていてもう一つの魔石は粉々になってしまっている。


 ヨモギは魔石を拾い集めハルはミノタウロスが抱えていた斧をじっくりと観察しているがそのうちにそれを投げ捨てるとその斧はダンジョンに吸収されてしまった。


「えっどうして……痛いって」


 口に出た瞬間にジールの膝が太ももに刺さったので思わず声が出てしまったが文句を言えない迫力がジールの目に宿っている。


(分かっているって、余計な事は言わないさ)


 後で分かった事だが魔物が持っている武器は一時間程手に持っていればその後はダンジョンに投げ捨てても吸収される事はないが、早くに手放すとダンジョンに吸収されてしまうそうだ。


 41層ではワニノコとミノタウロスのコンビが決まりらしくもっと近づけばミノタウロスもその背中からおりて戦いを挑んでくるのだろうが、ワニノコは動きが遅いので4回遭遇したが戦闘になったのは一度だけだった。


 戦いが少なかったせいで予想以上に41層を攻略しそのまま42層に入ろうとしたがそれにはゲルトが首を縦には振らない。


「焦るなって、いいかい下の事を考えたらそんな事は口に出来ねぇはずですぜ、ここはちゃんとした休憩をしてから向かうんだよ」


「おっさんよ、下は砂漠の様な広い一つの部屋なんだろ、だったら一気に通り抜ければいじゃねぇか、それにこの下では一人しか死んでいないしな」


「これだから素人は困るよな……それでもあっしは行かねぇよ、その意味は休憩後にちゃんと分かるから不満だったらその時に言うんですぜ」


 この中ではゲルトが一番ダンジョンに詳しいので素直に従う事にして長い時間休憩をする事になったがこの中は窓がある訳でもなく閉鎖的な場所なので体験はしたあるが、どれだけ休んでも地上のようには休んだ気分にはならない。


 数時間後に42層に入って行くと地図の情報通りの広い砂地が広がっていて壁はなく、ダンジョンの明るさがどの階層よりも暗いせいか三方の壁はまだ見えていない。


「旦那方じゃ不安だからここはあっしが先頭を歩きますぜ、いいですかい、旦那方はちゃんとあっしの後ろにいてあまり横に広がらないようにしなせぇよ」


 砂地で歩きにくいし何故かこの中の温度が高いので距離を開けて歩きたいがゲルドの指示通りに固まりそしてなるべく音もたてないようにして歩いて行く。


「ねぇあそこの影はもしかしてミノタウロスじゃない」


「ちっもうかい、旦那方いいから地面に寝そべって動くんじゃありませんよ、此処では戦闘なんてせずにやり過ごした方が無難なんだ」


「どうしてだ? 遠くからでも見えるんだから狙い撃ちしやすいんだけど」


「あんなぁ旦那の魔法は五月蠅すぎるんだ。こんな隠れるところも無い場所で撃ったら奴らが集まって来るでしょうが」


「そうか……」


 ゲルトは俺の魔力の残量を心配しているのだろうがその前に魔力が切れるのはゲルトが先でその後は障壁が無いままあの音を聞き続けなくてはいけない。


 ただこの場所は広いので地上と変わらないようにも思えるが残念ながら実験をしている場合では無いと言う事だ。


「あれにも書いてあった通りに見つからないように歩いて此処を抜けるのが一番なんですぜ、旦那が戦闘狂なら止めたりはしませんがどうします」


「いや、指示に従うよ」


 先程見つけたミノタウロスの姿が見えなくなったので再び歩き始める。


(姿が見えなくなるってどれだけ広いんだよ、まぁ丘があるのもおかしいんだよな)


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