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第七十四話 未だに攻略せず

 ヘンリクとハルの冷たい視線を全身に浴びながらジールが俺に対して怒りをぶつけて来た。


「そりゃあんたの魔法が五月蠅いのは知っていたけどさ、こんな場所であの数は無いんじゃないの、それに自分だけ耳栓をしている何てどういう事なのよ」


「いや、その、音が大きいのは反響が予想以上だっただけだしさ、それにいきなりだったから渡すのを忘れちゃったんだよね」


「忘れたにしてはあんたは付けているじゃない。それなのにあんたって人は……」


 説教をされている間にも魔物が出て来たがそいつらは全てヘンリクが対応してくれている。


 長い説教が何とか終わると今日は絶対に魔法を使用しない事を約束されてまたしても最後尾をただ歩く。


 そして地上では昼間だがこの時間になると魔物達が激しく攻撃を仕掛けてくるので俺達以外の冒険者は仕事を止めて各々の階から地上へと戻って行くそうだ。


「ねぇ私達も此処迄の階層は転移できるんだから戻った方が良いんじゃないの」


「普通ならそうするんですが、41層より下には転移魔道具が無いですからね、そうなると45層を攻略するまでに何日も泊まらなくちゃいけないのでその練習なんですよ」


「そうだけどさ、階段は安全だってさっき言っていたじゃないか」


「例外があるとも言いましたよね」 


 階段とは階層と階層を繋ぐ部分の事で魔物避けも設置しているし、そもそもが魔物は入って来ないらしいがそれでも例外はあるそうだ。


 理由はそれだけではなくダンジョンと言う特殊な環境に慣れるためにも泊まるようにとギルド長であるアキムの指示がハルに告げられていた。


(そんな事より【雷針】であんなに響くんだったら【雷銃】何て使えないんじゃないかな、やはり俺にはダンジョンは不向きなんじゃないか)


 それから三日間で9層にまで降りる事が出来て初回のダンジョンは終了となったが、魔物の討伐はヘンリクとジールだけでやったので俺はただ歩いていただけだ。


 地上に戻ってから1日だけ休息して再びダンジョンに潜っていく。


「あのさぁ、今回は魔法を使っても良いよな」


「「「え~」」」


「え~じゃないだろ、だってさ41層からはどうするんだよ、俺が魔法を使わなかったら戦力に何てならないぞ、いいかい、俺は本気で戦ってもゴブリンに勝てるかどうかなんだよ」


「お前さぁ、仮にもワイバーンを討伐した功労者がそんな悲しい事を大声で言うなよな」


 そんな顔をして言って来てもそれが事実なのだから仕方がない。体力はこの世界に来てから少しは付いたとは思うが、それは昔に比べて身体を動かしているからであって異世界人の補正では決してない。


 今の俺は魔法があるから人並み以上にやる事が出来るがもし使えなくなったらこの世界の人並以下だと思っている。


「そうだっ前の時みたいな魔法を使えば良いんじゃない」


「前って……あぁあの事か、それは残念だけど無理だと思うよ」


「どうしてよ、威力は弱くなるけど贅沢な事言ってられないじゃない」


「ちょっとやってみせるよ」


 やはり予想通りにその作戦は失敗に終わってしまった。何故ならあの時よりも悪化していて威力が弱いどころか全く無くなってしまっていた。


 その次に試したのは【雷剣】だったがそれは【雷瞬】との組み合わせで何とか形になるのでこんな足場の悪い所では思うように扱えない事が判明した。


 ただし【雷剣】は思った以上に音が静かだったのでそれから3週間ずっと【雷剣】で魔物の討伐を行っていたが指導をしてくれたヘンリクの表情は険しくなるだけだった。


「もう諦めるか、その魔剣の切れ味は文句の付け所が無いがその腕前じゃ駄目だ。今でも苦戦しているんだからミノタウロスに使える訳ねぇな」


「だろうね、ボア相手でもまともに当たらないんだから無理だろうな」


「ちょっと41層までもうすぐなんだよ、これで諦めてどうするのよ、いくら何でもこれで終わりにしたら依頼達成とはならないんじゃない」


「そんな事は理解しているよ、だからちゃんと別の案も考えているんだ」


「そうだぜお嬢ちゃん、まぁ間に合えば良いんだけどよ」


 俺とヘンリクは最初に地上に戻った時に直ぐにギルド長に相談をしていた。そして心当たりのある人物に指名依頼をしてあるのでもうそろそろ到着しても良いともう。



 ◇◇◇



 当初の予定よりかなり遅れて1ヶ月経っても41層に到着せず、指名依頼した人物もまだ到着しないのだが36層からはギルド長が集めたパーティの10人で下を目指す事になったのだが、事情を知らないメンバーからは日を追うごとに疑念が蔓延していった。


 どうして魔法を使わないんだ?


 そこまで温存しなくてはいけないのか?


 俺達は荷物運びだけじゃないのか?


 この人数で攻略なんて出来る訳無いだろ。


 本当だったらちゃんと説明をすればここまで雰囲気が悪くなることは無かったと思うが、あれを打開する人は未だに到着しないし、そもそも荷物持ちしかしないその連中に対してムカつき始めていた。


(マジックバックがあるから荷物運び何て要らないんだよ、討伐の補佐に決まっているだろうが、鉱石の採取はハルともう一人のドワーフであるヨモギがいるからあんたらの役目は分かりそうなものなのにな)


 40層に到着し一度地上に戻るとヨモギ以外の者達は抜けると言い出したのだが、一切引き留める事はせず結局ヨモギを加えた5人だけになってしまった。


 この人数でしかも魔法の対策が無いまま入る訳にはいかず数日間待っているとようやくギルド長から集まるようにとの声が掛かった。 


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