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SIDE4 初ダンジョンにて

「アニキ、わざわざはぐれ魔人を討伐もいいんですけどたまにはダンジョンに行きませんか、1層や2層なら二人でも大丈夫ですし、何なら荷物運びを雇えばもっと深く行けますぜ」


「行かない、お前、戦力外」


「どうせオイラは戦力にならないですよ、ただねこれでも強くなったと思うんだけどな」


 エドと一緒にいる犬型獣人族の少年はジンガと言う名で、その年齢はエドより三つだけ年下だ。


(慕ってくれるのは嬉しいし、かなり役にたっているけど全てを話す訳にはいかないんだよ、ジンガが裏切らないとは限らないからな)


 現在のエドが拠点にしているアフガルの街から馬で数時間程行った平原には何故かたまに魔人が出現するが、知性も無ければ討伐しても質の悪い魔石にしかならない。


 その理由は何処かにまだ発見されていないダンジョンがあり、そこから魔人が出てきているからだと思われている。ただそれが正解なのか誰も知らないのでそのような魔人をはぐれ魔人と呼んでいた。


 討伐したはぐれ魔人の魔石を持ってギルドに換金をしに行くと、いつもよりギルドの中が騒がしくなっている。


「何かあったようですね、ちょっくら情報を仕入れてきますのでアニキは待っていて下さい」



 ◇◇◇



「ワイバーン? 強いのか」


「そりゃ当たり前ですよ、それで討伐……」


「どうした」


「いや、イレイガ近辺の冒険者に声が掛かるのは分かるんですが、どうしてここまで討伐隊を募集するんかと思いましてね」


「どうでもいいさ、遠すぎる」


「そうですね、国王軍も動くはずですから大丈夫でしょう」


 もう一つジンガが仕入れて来た情報で今はダンジョンの中に魔物がかなり増えてきているらしい。そうなるとかなりの稼ぎが見込める。


 この少し前に家を買ってしまったのでそれを聞くと段々と試したくなってきた。


「ダンジョン行くか」


「いきなりどうしたんです。まぁ気が変わらないうちに行きましょうか」


(そろそろ苦手を克服しなくてはな)



 ◇◇◇


 

 初めて見るダンジョンは只の洞窟にしか見えなかったが、そこには扉が設置されていてその前にはギルド職員が立っている。


「カードを見せて下さい……まさか二人で入るのですか、今は危険なのでお勧めできませんが」


「アニキのカードを見てから言いなよ」


 エドはジンガの言葉を遮るように無言でカードを手渡した。


「えっ貴方があの死神ですか、いよいよダンジョンに入る日が来たんですね」


「し・に・が・み?」


「あっ申し訳ございません。エドさんは見かけた盗賊を全て殺すので……その、何て言うか」


「アニキ、そんな顔をしなくて良いじゃないですか、さぁ入りましょう」


(盗賊を殺して何が悪いんだ、隻腕の盗賊を殺すまで全て殺してやるんだよ)


 かなり不機嫌になってしまったが、ダンジョンの中に入るとその気持ちが薄らいできた。師匠には中に入るなとは言われてきたが、これなら問題は無いように思える。


 中は洞窟とは違って壁から光を薄っすらと出しているので明かりも必要ないし、流れている空気も何故か草原を歩いている時よりも新鮮な空気を感じている。


 ただこの中にいる魔物はどんな姿をしていても魔獣では無くて魔物なので部位を得るためには魔石に変わるまでに解体しないといけないのが面倒といえば面倒だ。


「アニキ~見えますか? この奥に火蜥蜴がいますぜ、ちょっとオイラが討伐してきますね」


「いや、俺がやる」


「アニキが出るまでも無いと思うんですが」


 音もたてずに移動していつものように剣を振り下ろす……いつもならそれで終わりだったが、残念ながら躱されてしまう。


「くそっ駄目なのか」


「アニキ、遊んでいると火球が飛んできますよ」


 その火蜥蜴の後ろには更に四匹がいてそれらが一斉に野球のボール程の大きさの火球を撃って来た。


 一発は剣で切り裂く事が出来たが残りは躱す事も出来ずに身体で火球を受け止めてしまう。


「アニキ~」


「来るな」


 痛みが全身を駆け巡るが歯を食いしばって剣を振り下ろすと、一刀両断する事は出来ないが傷をつける事には成功した。


(くそっこれじゃ最初の頃に戻ったみたいだな)


 何度も火球を食らい、何度も噛みつかれながらも戦って長い時間を掛けてようやくE級の冒険者でも楽に倒せる火蜥蜴を倒す事が出来た。


 かなりの血を流し立っているのもつらくなったので座り込んでしまうと、そこにジンガが駆け寄ってきて回復薬を飲ませてくれる。


「アニキどうかしたんですか、体調が悪かったんですか」


「……悪い、出る」


(単なる夜なら昼間の半分の力で済むが、ダンジョンはそれ以下だな、だから師匠は入るなと言ったのか……俺にはダンジョンは無理だ)

 

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