第四十六話 再会
戻って来たギルド長は大袈裟に討伐の事を言い広めないように冒険者達に釘をさしたが、中には眉をひそめる者もいた。
「そんな顔をするんじゃない。君達にはこの討伐はいい稼ぎになったじゃないか、まぁそんな事は忘れて勝利の美酒を味わおうじゃないか」
ギルド長の話が終わると、もう何無かったかのように宴会が続けられている。
(名誉より金か、まぁそうだよな、名誉が好きならこんな事やっていないか)
冒険者達があっさりとしているのを見て安心したのか、肩の荷お下ろしたようにギルド長は近くにあった椅子に腰を掛けたのでジールと一緒に近くに寄って聞きに行く。
「ねぇ六宝星ってのは見れたの」
ジールも俺も何となくそれが気になっていた。
「あぁ筆頭という奴だけは見たがな、まぁ確かに強そうな奴だったが何だか変な雰囲気を持っている奴だな、そういや王子達は明日には帰るそうだから見送りにも行けば君達も見れると思うぞ」
「見送りねぇ、どうしようかな」
(六宝星か、予想だとそうだよな、そうだとしたら帰る前に会えないかな)
俺の中だと会社の人達が六宝星だと思っているので、どうしても会いに行きたくなりそっとギルドを抜け出した。
◇◇◇
「あそこの宿にいるのか、まさかこのまま入る訳にはいかないよな」
もしそうだとして俺が異世界人だと分かってしまうとよくない事になりそうなのでどうしたらいいか悩んでしまう。
何も決まらないままフードを被って宿の周りを何度も横切っていると、突き刺さる様な魔力を感じた。
(これはバレたかな)
どうなるか分からないが何時でも【雷瞬】で逃げれるように心構えだけはして置く。
するといつの間にか背後に気配がして背中に何か硬い物を付きつけられてしまった。
「お前、さっきからウロチョロしてるが何者なんだ?」
(あ~雷、んっこの声はもしかして)
ゆっくりとフードを外しながら振り返るとそこには予想した声の人物の顔があった。
「あっお前は津崎じゃねぇ~か、まさか生きていたとはな、こんな所にいたのかよ」
「平井さんこそ生きていたんですね……あの、身体が大きくなってませんか」
(ほんとに平井さんなのか、俺の知っている平井さんは小柄な体格をしていたのに、まるで違う人にしか見えないな)
「そうだよな、良く分からんが鍛えている内に筋肉どころか身長まで伸びたんだよ、そうだっお前の事を見られたくないからちょっとこの場所から離れようぜ」
いきなり腕を掴んできて走り出したので、まだ本調子ではない俺はその速度についていけず倒れそうになってしまう。
「ちょっと速すぎますって、勘弁して下さいよ」
「マジかよ、本気で走ってないんだぞ、そうかお前はそうなんだな」
勝手に何かを判断した平井は俺を軽々と担ぎ上げてそのまま走り出していく。確かにその速度は早いとは思うが体調が良ければついていけない事もない。
◇◇◇
誰もいない半壊した集会場のような場所で人目を避けるように平井さんと話す事になった。
「なぁお前は今まで何をやっていたんだ。よく一人で生きていられたな」
「僕の方はですね……」
何となくだが目の前の平井さんには違和感があるので本当の事を隠し、ただ田舎の街の僧侶に助けて貰った事にした。
「そんなんで良く冒険者になれたな、冒険者の事はよく知らんがお前は結構いい地位にいるのか、お前にも恩恵があるんだろ」
「僕なんて大したことないですよ。そもそも下から数えた方が早いD級ですからね、それより他の皆さんはどうなんですか」
(何だよ、やはりこいつは雑魚なのか、素質の無い奴は弾き飛ばされてしまうと言っていた法王の話は本当だと言う事か、だとするとどうやってこいつを利用するかだな)
平井は話始める前にもう一度この辺りに嫌な気配がないのか確認したが、どうやらこの辺りには誰もいないようだ。
「最初はそれなりにいたんだけど今は9人しか残っていないんだ。生き残っているのは……だけだな、それにな生きている俺達もこの腕輪で逃げ出す事も出来ねぇんだよ、いいかお前は絶対に兵士に正体をバレないようにするんだぞ」
「あの腕輪って何ですか」
「俺についているこれがそうだが、そうだなお前に一つ渡しておくな」
平井は何も無い空間に手を入れ、そこから一つの腕輪を取り出して投げて寄こした。
「この腕輪にどんな仕掛けがあるんですか」
「これはな勝手に外したり奴らに歯向かうと殺されてしまうんだ。最悪の腕輪さ、あのな、悪いがどこかでこれを安全に外す方法を調べてくれないか、そうすりゃお前よ、憧れの春奈がお前の物になるかも知れないぞ」
「何を言ってるんですか、今村主任がいるじゃないですかそんな事がなくてもちゃんと調べますよ」
「あぁ頼んだぞ」
(平井さん……いや、平井はどうかしちまったのか)




