表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/134

第四十一話 短気はよくないな

「あの、何だ、君らのその気持ちは嬉しんだけどな、その……何て言ったら良いのか」


「はっきり言えよ、ギルド長だろあんたは、低ランクの冒険者は邪魔になるから必要ねぇってよ」


 太ったギルド長は汗を拭きながらどういったら良いのか考えているようだが、口を挟んできたハゲオヤジはあからさまに俺達を邪魔者扱いしている。


「悪かったよ、そんなに邪魔だと思うなら止めとくよ、ほらっもう行こうぜ」


「あんたは黙ってて、いいよく聞きなさいよそこのハゲ、確かに私達はまだ低階級の冒険者だけど手伝えることはあるでしょ、それにねあんたなんかよりこいつの方が何倍も役に立つわよ」


「そんなひょろい奴が俺より役に立つだと、笑わせてくれるな」


 ハゲオヤジはわざとらしく笑い出したが、それを見ている冒険者は笑いこそしなかったものの同じような気持ちらしく誰も止める者はいなかった。


 ギルド長はただ困ったような顔をしているし、他の者も哀れな表情を見せてくるので段々腹が立ってきた。


「雷銃」


 杖を頭上に掲げ光と共に二階や三階の天井を突き抜けていく。


 部屋の中に響きわたった音に誰もが耳を塞ぎながら穴の開いた天井を見つめていた。


 俺の怒りはそれで治まったのだが、ジールはハゲオヤジの前に立ってニッコリとほほ笑んでいる。


「どう? これでもまだ笑えるのかな」


「何なんだよ、何をしたんだ」


「何って魔法に決まっているでしょ、まさかそれすら見えていないとはね、まぁ皆さんで頑張ってよね、さぁ衛兵さんの手伝いにいこうよ」


「お前は本当に冒険者なのか、魔法省の魔術師じゃないのか」


「あのね、そんなエリートが冒険者なんてやる訳無いでしょ、彼はエルフに魔法を教わったのよ」


「「「エルフだと~」」」


 エルフが人間に魔法を教える事など聞いた事が無いので驚きの声が上がったが、その秘密を勝手にジールが話してしまうとは思わなかった。


「それは言わないでくれよ」


「ごめん、つい……」


 小声で文句を言っている目の前ではこの部屋にいる全ての冒険者が何も言わずに俺達に注目している。


 ただギルド長だけは少し怒っている様に見えた。


「これをやったのは君で間違いないな」


「そうですけど、それが何か」


「君達を馬鹿にした事は私からも謝罪をするが、これはどうするのかね」


「どうするとは何ですか」


「あのね、この建物は運良く無事だったんだぞ、それなのにこれは無いだろ、この天井を治すのにいくらかかると思っているんだ。それにこの上には誰もいないとでも思ったのかな」


 勢いでやってしまったのでこの上に職員がいる事など想像していなかった。


 あれをまともに身体に食らったら無事でいられる訳が無い。


「あっ見てきます」


 階段を掛け上がろうとギルド長の横をすり抜けようとしたが、その瞬間にギルド長が俺の手をしっかりと握って来た。


「嘘だよ、嘘、上の階には誰一人として職員なんかいないさ、だがこれで分かっただろ、あんな魔法はどんなに頭に来ても見えない場所に撃ったら駄目なんだ。いつか誰かを殺してしまうぞ」


「はい、すみません」


 魔法に慣れてしまったせいか不用意に使ってしまった事は反省するしかない。


(それにしてもこのギルド長はちょっとイメージが変わったな)


「この話はこれで終わりだ。それでだな、この修理代は払ってくれるんだろうね」


「えっ話はおわったんじゃないですか」


「それは違うだろ、ギルドを壊したのはワイバーンでは無くて君なんだからな」


「俺はD級ですよ、そこまで金がある訳無いじゃないですか」


「そうだろうね、そこでだが……」


 初めから討伐に参加するつもりだったからギルド長の提案にはそれほど文句はないが、俺はワイバーンの討伐料の分け前から修理代を払う事になった。


(足りればいいんだけどな)



 ◇◇◇



 二つの班に分かれる事になったが、今度は俺を巡って不毛な言い争いが始まっている。ワイバーンを討伐するには地上に落とさなくてはいけないのでその為には俺の魔法が有効だと思ったのだろう。


 俺はジールと一緒であればどちらでも良かったがジールはハゲオヤジと一緒は絶対に嫌だと言ってきたのでその事をギルド長にそっと耳打ちした。


 結局、ギルド長の独断で班を決め、俺達はジールの希望に沿ってあのハゲオヤジとは別になる事が出来た。


 これで討伐に行く事が現実になったのだがジールの顔色があまり良くない。


「どうした、ちゃんと別になったんだぞ」


「それは良いんだけどさ、いよいよ討伐に行くと思うとちょっと緊張してきてね」


「俺の近くにいればちゃんと守ってみせるよ」


「有難う」


 自分の言った言葉に少しだけ恥ずかしくなってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ