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第三十八話 厄介ごと

 第三王女はお忍びで行動していたので護衛もあんな格好していたというのに、残念ながらそれは全てバレていて、更にてっきり大きな盗賊団だと思っていたが、実は各地から集まった四つの盗賊団の合同作戦だったそうだ。


「何でそんな事になったのよ、盗賊同士って仲が悪いんじゃないの」


「あっしらも初めての経験なんです、お頭ならどうしてこうなったのか知っていますが……」


「黙るなよ、命が掛かってるんだぞ早く言え」


「お頭を殺したのはあんたじゃねぇですか」


 その言葉にあれ程殺せと俺に言っていたジールの視線が突き刺さる。


「仕方が無いだろ、もう後は憲兵に任せようぜ」


「そうね、そこまでやる義理はないしね……あっ駄目だよ、ねぇ他の連中は何処に行ったの」


「あっしらには分かりません」


 ジールがいきなり焦り出したので不思議に思ったが、それはオルガが一人で里に戻っている事を心配しているからだった。


 ただし、その必要は無い事をジールは分かっていない。


「あのさ、あの外見だから忘れているかも知れないけど、こんなような連中にオルガをどうにか出来ると思うか、そんな心配は必要ないよ」


「そうなると王女の方かな、多分他の連中も諦めていないでしょ」


「どうかな? どっちにしろドロフェイがいるから気にしなくていいんじゃない」


 俺達が舐められているせいなのか有益な情報は大して得られなかった。



 ◇◇◇



(あ~もう勘弁してくれよな、このままこいつらを逃がしたら駄目なのかな)


 盗賊達を馬に乗せる訳にはいかないので縄で縛り歩かせているが、その歩みは遅くはっきり言うと邪魔でしかない。


 こいつらを逃がしたとしても別に脅威に感じる事は無いだろうし、これだけの目に遭ったのだから再び俺達を襲う事は無いと思う。


 だからと言ってこいつらが改心して善人になる可能性は限りなく少ないと思うが。


「どこまでこいつらを連れて行けば良いのかな」


「そうね、この辺りだとやはりイレイガの街じゃないかな、ただこのペースだと夜までに到着するか難しいわね……だから言ったのに」


「あの~旦那方、あっしらはもう二度とこんな馬鹿な真似は致しませんのでどうかお二人だけで先に行ってください。これからは健全に生きますので許しては貰えないでしょうか」


「だってさ、全てを信じる訳じゃないけどもういいんじゃないか」


「何馬鹿な事言ってんのよ、そんな事をしてこいつらがまた悪さをしたら責任とれるの? それにね捕まえたのに逃がしたことがバレたら私達も捕まるんだよ」


 そんな事を言われてしまうと逃がす訳にはいかなくなり仕方がなく歩かせていると、後から何頭もの馬が走って来る音が聞こえた。


「あれに乗っているのは兵士だよな、そうなると王女の援軍かな」


「そうだといいけど、こっちに来る訳無いよね」


 砂煙を上げながら走ってきて、一気に俺達を抜かしていくが三頭の騎馬だけが俺達の横に立ち止まった。


「君達、後の連中は何かな、奴隷として連れているなら見過ごせないんだけど」


「盗賊の一味を捕えたので衛兵に渡そうとしているところです」


「もしかして王女を襲った奴か、だったら取り調べなくちゃならんな」


「……すみません、こいつらの頭を殺してしまい下っ端しかいないので何もしらないそうです」


 どういう反応をするかと思ったが、特に残念がったり怒ったりする様子はなさそうだ。


「お前らその話は本当なのか? 嘘を言ったら直ぐに処刑するぞ」


「正直に話せば生かして貰えるんですな」


「あぁそうなるね、でっ裏には誰がいるんだ、王族かそれとも貴族か」


「あっその……それを言うには命の保証を……」


「どうせ知らないんだろ、後は任す」


「「はっ」」


 その男が後ろの騎馬兵に声を掛けると掛け声と共に盗賊達をその槍で刺し殺し始めた。


「ちょっと助け……」


「やめてくれよ~」


 いきなりの事に俺もジールもただ見ている事しか出来なかったが、その指示を出した男は懐から銀貨を投げて寄こしてきた。


「それで討伐報酬には足りるだろ、すまんが下っ端を取り調べる場所も時間も無いんだ」


「どういう事ですか」


「この先にワイバーンが出たんだよ、すでにいくつかの村が壊滅状態になって、イレイガの街も時間の問題なんだ。君達は引き返した方がいいぞ」


 それだけ言うと彼等は先に行った騎馬を追いかけて行ってしまった。


「この死体はどうするんだ?」


「このままでいいんじゃない。そんな事よりどうする? ワイバーンだってさ」


 盗賊の次はワイバーンとはついていない。何かがゴルゴダに向かおうとする俺を邪魔しているのだろうか。



 

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