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SIDE2 新たな展開

「サムライさん、今日、仕事何?」


「グラスボア討伐、サボイ村、行く」


 師匠と暮らしていた家はこの街から一時間程行った先にある森の更に奥にあるので、一人でここを拠点にするには俺は寂しすぎた。


 結果、この街の中級クラスのこの宿を拠点にしている。


 俺と会話をしているのはこの宿の看板娘のアイナで、出来ればもっとお近づきになりたいが俺の会話能力ではこれ以上の進展は難しいだろう。


(師匠はどうしてこの街に家を持たなかったんだろう? 冒険者としてかなり稼いでいたはずなのにな? もっと踏み込んだ話がしたかったがそこまで俺が理解出来なかったからな)


 師匠はそもそも無口で俺もそれに慣れてしまっていた。この世界の事をもっと深く知りたかったがそれよりも自分がこの世界で生きるために剣術の修行だけで精一杯だった。


(師匠の本当の名前すら知らないなんて俺は駄目な弟子だな)



 ◇◇◇



「サムライ、無理するなよ」


「分かった」


 門番をしている気の優しそうなオヤジのゲルドは師匠と仲が良かったせいか俺の事をいつも気にかけてくれるし、師匠が死んでから俺に言葉や文字を教えてくれようとしてくれるが、時間が余り合わなくて中々勉強が進まない。


(片言の言葉とそれと同じような文字が読めるから今のところはそれで何とかなるからいいか)


 それよりも俺がいつも一人で討伐に行く事が気に入らない様でどこかのパーティに入れと言ってくるがどうも俺は気が進まない。


 一度頼まれてパーティに入った事があるが、言葉の壁や俺との実力の差が余りにも違い過ぎたので上手くいかなかった。


 それからはいつも一人で行動しているがそうなると野営が出来ないのでB級らしい討伐が出来ないでいる。


 師匠と一緒の時は良かったな。


 そろそろこの世界に来た理由を探るか?


 俺だけがこの世界に来たのか?


 どうやって調べたらいいんだ。


 一人になると気ばっかり焦って来るが、今は生きるのに精一杯だ。


 いつものように師匠が部屋の奥に隠していた銀色に光輝く両手剣を背負ってサボイ村に歩いて行く。前までは片手剣を使っていたがこの剣を発見してからはどうしても使いたくなった。


(それにしても、俺がここまで強くなるとはな、俺の身体はどうなっているんだ)


「ちょっと待て~サムライ~」


 さっき挨拶したばかりのゲルドが走って追いかけてくる。


「どうした?」


「来てくれ、あんたに$#$””%’領主&%#%呼んでいる」


「えっ何をいってるんだい。早くて分からないな、領主がどうしたって」


 ゲルドは珍しく興奮しているように早口なのでいまいち聞き取れないが、連れて行こうとしているので此処は素直に従った方が良いだろう。



 ◇◇◇



 単なる聞き間違いかと思ったが、連れて行かれたのは本当に領主館で案内された広々とした部屋の中には一度だけ姿を見たことがあるこの街の領主と、僧侶の恰好をした初老の男が座っていて、後の壁際には煌びやかな鎧を着た兵士がずらりと並んでいる。


(何だよこの状況は、たまたま師匠と倒したドラゴンの事でも聞きたいのかな?)


「言葉、分かるか、私は%$#&ライルだ」


 何のライルなのか意味が分からないが、初老の男は穏やかな笑顔を俺に見せているが何故がその笑顔を信じてはいけない気がする。


(それに領主がやけに気を使っているな、この男の方が立場が上なのか)


「私はサムライ、用事は何?」


 ろくでもない言葉遣いだとは分かってはいるが、そこは気にしていないようだ。


「その剣の持ち主は何処にいる?」


 時間を掛けて説明してくれたが、師匠の本当の名前はアナベルと言ってこの両手剣は国王から師匠に送られた特別な剣だそうだ。


 師匠が生きていれば行方は言わなかったが、死んでしまっているのでその事を伝えるとライルの目は一瞬だけ冷たくなり、後にいた兵士の目は涙が滲んでいた。


「残念だ、だが&&$#&’&%#%%&&勇者」


「勇者?」


(こいつは仲間が王都に居ると言っているのに理解していないな、煩わしい奴め)


「この腕輪、付けなさい。贈り物」


 いきなり何を言い出すのか意味不明だが、煌びやかな腕輪を目の前に置いた。


(何だよこの展開は、怪しさ満開なのに付ける訳無いだろ、こいつは相当偉いんだろうな、俺のような平民は涙を流して喜ぶとでも思っているのか)


「ありがとう、だが腕怪我してる、治ったら付ける」


「私に見せなさい。治してあげる」


「えっ何?、これは、貰う」


 俺に手を伸ばしてきたので、それに気が付かない振りをしながらわざとらしく喜んでいる振りをしながら腕輪を丁寧に袋の中にしまった。


 まだ何かを言っているが、大袈裟に声を出して喜んでいるので馬鹿な男だと思って欲しい。


「これから、食事、どうだね」


「有難う、貴方にお礼します。取ってくる」


 そういうとライルは今度は本当の笑顔を見せて来た。馬鹿な平民を懐柔できたと思っているのだろう。


「君、馬に乗れないよな、部下に送らせる」


「大丈夫、俺、馬より早い、直ぐに戻って来る」


「そうかい、直ぐ戻ってくるんだよ」


(あ~もう面倒な奴だな、まぁいいわい、食事に秘薬を混ぜれば腕輪などどうでもいいか)


 師匠の剣を此処に置いて行くのは辛かったが慌てて飛び出す事を演じるので袋だけ手に取ってこの部屋から飛び出した。


(それにしても何なんだ? 目的は師匠じゃなくて俺だよな、戻れば俺がこの世界に来た理由が分かるのか?俺の力があったら何があっても……駄目だ、俺の勘が危険だと言ってる、どうすれば)

  


 

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