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第三十一話 これからの行方

「お前さぁ俺達がちょっといない間に何やってんだよ」


「少しは考えて行動してくれるかな、そんな事に巻き込まれている暇は無いでしょ」


 領主が招待してくれてこの街一番の食堂の個室の中で俺とオルガとドロフェイ、そしてジールとホムラで食事をしているが、この場にその二人が同席している理由を告げるとオルガ達は文句を言ってきた。


「しょうがないだろ、領主の命令をどうやって断ればいいんだよ、そもそも助けたのにこんな事になる何て思わなかったしな」


「私の裸を見るからこうなったんでしょ」


 意識が戻ったジールは最初は俺に感謝をしていたが、裸を見られたことを知ってから俺に対してかなり怒っている。


 そもそも平民が貴族に触れてはいけないらしく、更に裸体を勝手に見たとなってはあの状況でも罪になるそうなのだが領主は罪に問わない代わりに条件を出してきた。


 それはジールを俺達のパーティに入れろと言う事だ。


 建前上は最後まで責任を持って支えろと言う事だが、本当の狙いは俺ではなくファウンダーエルフと一緒に行動させた方が今回のような事にはならないと思っているに違いない。


「それでよ、それを断るとお前はどうなるんだ?」


「命を救った事を考慮しても強制労働を1ヶ月だってさ、ただねこのジールをパーティに入れるのも一ヶ月で良いんだってよ」


「ふ~んそうなんだ。だったらあんたは働けばいいじゃない、私達には関係ないからね」


 オルガは楽しそうに笑いながら言ってくるが、その笑みは俺をからかっているだけのように思える。


「しょうがねぇな、だったらお嬢ちゃんは面倒みるがそっちの坊主は駄目だぞ、そいつは条件に入っていないんだろ」


「そうだけどホムラはジールの従者だからな、それにかなり身体は頑丈だから悪くは無いと思うんだけど」


 ホムラは期待した目をキラキラさせながらドロフェイの方を見るが、次の瞬間にはその期待は裏切られることになった。


「お前は何を見ていたんだ。こいつは頑丈じゃなくてその鎧が頑丈なんだよ、まぁそれはかなり重いから体力はあるようだがな」


「この鎧はジール様の盾に身になるよう領主様から授かった物です。ですから私がどんな魔獣からも守って見せます」


 目に涙を浮かべながら必死に訴えるが、ドロフェイもオルガも蔑んだような目つきになっているのでこの俺ですら背筋が寒くなって来た。


「おめぇよ、守れてないからこうなったんだろ、こっちはなぁお荷物を二つも抱えたくないんだよ」


「あのね、私達の事は知ってるよね? 初級訓練にも落ちた君が一緒のパーティに入ろうなんて高望みしすぎじゃないの」


 二人の無情な言葉に何も反論が出来なくなったホムラは目の前の料理も手を付けずに部屋を飛び出してしまった。


 ジールは椅子から立ち上がりホムラを追いかけようと扉に手を掛けると一度振りむいて文句を言ってくる。


「気持ちは分かりますけどもう少し言い方があるんじゃないですか」


「これでも優しく言ったんだぞ、それにな実力不足はお嬢ちゃんもだぞ、たかがヴァーウルフに殺されそうになるなんざ情けねぇな、こっちはなもっと強い魔獣を相手にするんだ。いいか俺達は人間如きをいちいち助けたりしねぇからな」


 ドロフェイの言葉に何も言葉が返せなくなったジールはそっと扉を閉めて出て行ってしまった。


 その姿を見届けた二人はいきなり盛大な溜息を付きながら天井を見上げると、その二人を慰めるかの様にセレニテが交互に顔を舐めている。


「あ~疲れた。もう勘弁してよね」


「全くだな、まぁこれであのお嬢ちゃんは自らその条件を破棄するだろうな」


 二人があそこまでジールを突き放したのは半分は面倒だと思っていたし、もう半分は一ヶ月とはいえ一緒に行動させると俺の秘密がバレてしまう恐れがあるからだそうだ。


 ようやく静かになったこの個室で食事をしながらドロフェイが口火をきった。


「前に話したあの冒険者だがやどうやら勇者ではないそうだぞ、【サムライ】と言う名だそうだが知っている名前か?」


(【サムライ】だと? 誰だか知らないけどわざと名前を隠しているんだな、それで俺達だけは存在が分かるようにしたのか)


「確実に俺と同じ世界の人間だよ、そうなると俺の行先はそこの街だな」


「だかがちょっと前まではそこのゴルゴダの街に居たそうなんだが、突然姿を消してしまったそうだ」


「そうなんだ……何かあったのか」


「そんな暗い顔しないの、いい、一人でもあんたの世界の人間がいたって事は勇者召喚をしたのはこの国の中と言う可能性が高まったんだよ、そんな事が出来るのは王家ぐらいしかこの国ではいないけどね」


 王家が絡んできているという事は想像以上に厄介そうで、簡単に合流は難しそうだ。


「それでだな、お前が力を使えるようになったようにお仲間もそうなっている可能性が高いだろ、だったら本当にこの国の王家だったらそろそろ動きがあるんじゃないかと思ってな、王都に向かった方が良いんじゃねぇか」


 確かにドロフェイの言う通りなのだが、やはり姿を消した【サムライ】が気になってしまう。


「あのさ、勇者召喚でちゃんと呼ばれた人達は仲間がいるからまだいいけど、【サムライ】は一人なんだよね、姿を消したって事は何かに巻き込まれているかも知れないから助けてあげたいんだ」


「そっちを選ぶのね、まぁいいわ、じゃあ私達はその【サムライ】探しに付き合うわ」


「そうだな、ただ痕跡が全く無かったらお前は王都に行くんだぞ、俺達とはそこでお別れだな」


 いつまでも一緒に居られないという事を実感させられた。

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