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第二十五話 事後処理

 スラーミーアヒが嫌われている理由の一つが実は分類上は獣なので魔石は生まれず、部位のどれもがかなり臭いので売れる部位が余りにも少ないからだ。


 討伐も魔法攻撃は弾くし、物理攻撃をするとその武器に身体のぬめりがべっとりと付いてしまう。


 またそのぬめりがかなり厄介で匂いはきついし、早めにちゃんと手入れをしないと使い物にならなくなってしまう。


 その為に倒したとしても殆ど儲けになる事はない最悪の獣なので向こうから襲ってこない限り誰も討伐などはしようとしない。


 何も解体しないで戻って行くと子供達からの歓声には喜んで答えるが、女性達からの歓声には素直に喜べなかった。


(何だかな、助けなければ良かったとは決して思わないけど、何か引っかかるんだよな)


「エルマーさん、彼女達はどうなるんすかね、盗賊は直ぐに殺されるか奴隷になるんですよね」


「実行犯だったらな、まぁ後の事は気にしねぇ方がいいぞ」


「そうですね」



 ◇◇◇



 彼女達はかなり嫌がったが、そもそもジール達をルーロックの街に向かわせているので強制的にそこに行く事になった。


 途中で誰かが逃げ出そうが気にしない事にするとだけ伝えると、何を思ったのか誰も文句を言う事は無くなった。


 暫く街道を進んで行くと前方から騎馬隊が走って来るのが見えるがその数はかなり多く50騎はいるようだ。


「あれが救援部隊ですかね」


「違うだろ、ゴブリンの集落なんだぞ、いくら何でも過剰戦力だぞ」


「エルマーさん、残念ながらそうみたいですよ、見て下さい、領主の子息の姿が見えるじゃないですか」


 目のいいラウルスは騎馬隊の中にいるジールをいち早く見つけたようだが、その言葉を聞いてエルマーは眉間に皺を寄せている。


「あの馬鹿は何て報告したんだ。俺達が笑われるぞ」


 馬車を街道の端に止め、あそこに見えるジールが見間違いであると微かな期待をしながら騎馬隊の通過を願っていると、残念ながらジールが此方を見つけて一人だけで駆け寄って来た。


「どうして此処にいるんですか、やはり三人だけでは無理ですよね」


「無理じゃねぇよ、それよりお前は何て言ったんだ」


「魔族の集落を発見して人間が人質になっているって報告しましたけど」


「お前なぁゴブリンなんだぞ、魔族と言うか害虫じゃねぇか、どうすんだよ、あんなに連れて来ちまって」


 エルマーが苦々しく文句を言っている最中に騎馬隊が馬車の前まで来たので、申し訳なさそうな顔をしたエルマーが事の顛末を全て話した。


「君が教育係なんだから君に責任があるな、ゴブリンの数がある程度把握していたのならそう就ててくれるように指示しないといけないな、それだったら少ない人数でもっと早く合流で来たんだぞ」


「すみません、つい分かっている物だと思ってしまいまして……」


 エルマーは顔を赤くしながら騎馬隊の隊長に頭を下げ、馬車の中にいる女性や子供達をその場で引き渡した。


 ただし彼女達が盗賊の一派であると言う事は何故か報告はしなかった。


(そうだよな、面倒だし見たくない事を見なくて済むからな)


 いきなりの事ではあったが、彼女達は何かを決めたように大人しくそして演技か本当なのか分からないがかなり憔悴したような感じになっている。


 騎馬隊たちは相手がゴブリンだと言う事もあって、かなり同情的に優しく接しているので俺達は何も言わずそのまま見送った。


 同じ街に行くのに見送るのも何だか変な感じだが、騎馬隊の姿が見えなくなってからルーロックの街に向かい、そこで残りのメンバーと合流して直ぐに元の街に戻った。



 ◇◇◇



 ナンスルの街に到着するとようやくホッとした気持ちになると同時にリットが死んだ現実を思い出してしまう。


(まだ十二歳だったんだよな)


 誰もが俺と同じように感じていると思ったがエルマーやラウルスは特に普通にしているように見えた。


「お前らさぁこの街に戻って感傷にでも浸ってるのか、いいか冒険者なんざ死と隣り合わせの仕事なんだから早く慣れちまえよ」


「慣れるもんなんですか」


「引きずるなって言ってんだ。特にお前は魔法使い何だろ、そんな精神状態だと魔法が上手く使えなくなるかもしれないぞ」


 エルマーと似たような事をおばば様にも言われた事がある。


『魔法の世界で生きるなら何があっても冷静でいるんじゃぞ、戦いの最中で動揺したら魔法が使えなくなるやもしれんからな』


(それだからエルフは感情が薄いのかな、ドロフェイは異質だけどな)



 ◇◇◇



 数日後、エルマーからあの時助けた6人の子供は孤児院に送られる事が決まったと言ってきた。


 そして女性達の事も言おうとしたが俺は聞く事を拒否した。エルマーのその表情から大体の事は察しは付くがそれは想像だけで留めておきたい。


 もうその事は忘れる事にし、ギルドに行くとエルマーとラウルスの推薦のおかげか無事にD級に昇格する事が出来た。


 この街に留まる理由は無くなったので直ぐに行動に移したいが、あいにくオルガとドロフェイは暇つぶしに何かの仕事をして数日は戻って来ないらしい。


(訓練の終わりや手続きの終わりが分かるだろうに何をやってるんだよ、まぁわざわざついて来てくれるんだから文句は言わないけどね、ただセレニテも連れて行く事は無いのに、あ~暇だ) 

 今週はこれが最後の投稿です。


 また月曜日に再開します。

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