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第十九話 ここでも雑用か、まぁいいけどね

 エルマーとラウルスは新人達に野営の準備をさせていて、その様子をチェックするように見せながら視線はユウだけに向けられている。


「ギルド長が面白い奴がいるって言っていたからよ、てっきりジールの事だと思っていたんだけどな」


「領主の子供ですからね、ある意味面白い存在じゃないですか」


「普通ならそうだけどよ、ファウンダーエルフに魔法を教わった奴に比べたらどうでもいい事だろ」


「そうですね、ただ彼の魔法はこの訓練には邪魔になりますけど」


「そこだよ、奴は新人のレベルじゃねぇからな」



 ◇◇◇



 その日の夕食の最中に俺だけは狩りに参加しないで見学や雑用係になった事が決まったと告げられた。


(俺が此処にいる意味って何だろ)


「そんな顔をするな、お前は彼等がどういう動きをするのかちゃんと見るんだ。それにな討伐だけが冒険者の仕事じゃないんだからな」


「はぁ分かりました」


 寝る時間となり最初の見張は俺と何故か新人ではなくラウルスが一緒にする事になった。


「なぁお前はもっと色んな魔法が使えるのか?」


「実はそうでもないんですよ、雷属性の魔法なら使う事が出来ますけどそれ以外の魔法となると苦手と言うかほぼ使えないと言うか」


「んっ雷属性って何の事だ?」


「あぁすみません。只の得意な魔法と苦手な魔法があるって事です」


(もしかして属性を知らないのか?)


 人間が使用する魔法とエルフが使用する魔法は違うとは聞いていたが、もしかしたら根本的に違うのかも知れない。そうなると軽々しく言わない方が良いだろう。


 本当に属性と言う概念が無いのかどうかは魔法使いではないラウルスは知らないと思うので今後の課題とした方が良い。


 翌日からは別メニューが与えられ資料を見ながら薬草の選別をしたり狩りの見学や野営の準備などつまらない事しかやらされなかった。


 こういった下準備は前の世界でなら嫌いではなかった事だが、この世界でそれも大金を払ったのにこれだと何だかやるせなくなってくる。


 次の日は山の中での狩りとなり、この日は見学しても邪魔になるだけと判断されてしまい一人でみんなの帰りを待っている。


「何なんだよこの扱いは、俺は従者じゃねぇっつ~の」


 つい文句を口にしながら地面を掃除しながら野営の準備をしているとエルマーが血が流しているマリューを背負って森の中から駆け込んできた。


「急いで街に戻る準備をしろ、後続のラウルス達が戻って来たら直ぐに出発するぞ」


 焦った様子のラウルスはその場にマリューを下ろして傷の手当てをしていると、青ざめた顔のジール達も戻って来た。


「どうしたんだ? 一体何があったんだ」


「話すけど先に水を飲ませてよ」


 準備してあった水を渡し始めるが誰も何も言ってくれないので、新人達の様子を一通り見終わったエルマーに聞くしか無かった。


「エルマーさん、何があったんですか、それにラウルスさんやリットは何処にいるんですか」


「ラウルスの奴は情報を集めたら此処に来るが、リットは此処には来れない……殺されたんだ」


 エルマーによると森の奥でリーフラットと言う魔獣の狩りをしている最中に運悪くゴブリンの群れと遭遇してしまったそうだ。


 ゴブリンなど対処を間違えなければ問題ないはずなのだがリットは中途半端に戦って命を落とし、ただ見ているだけだったマリューは殴られて意識を失い連れ去られるところだった。


 離れた場所にいたエルマー達は気づくのが遅れたが追いかけ何とかマリューを救出する事が出来たが、その先にあるゴブリンの集落を発見した。


「あの集落の規模は少なく見積もっても100体以上はいるだろうな、俺とマイルスだけではどうにも出来ん。直ぐにでもギルドに報告をして討伐部隊を編成しないといけないんだ」


「そうですか……」


(100か、その倍がいたとしてもオルガとドロフェイがいれば楽に討伐が出来るけど、ゴブリン程度じゃ来ないだろうな)


 ホムラ達は初めて見たゴブリンの集落に恐怖を覚えてしまったようで震えながら帰る支度をしていると、そこにラウルスが戻って来た。


「やはりエルマーさんの想像通りに女性や子供が連れ込まれています」


「くそがっ、あの野郎どもめ」


「どれぐらいの人数がいるのか分かりませんが、すすり泣く声が聞こえましたし…………俺の目の前で子供が食い殺されました」


(何だと)


 俺の中で何かが音を立てて切れる音が響いた。

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