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第十七話 討伐訓練

 話している間にもリーフホーンは直線距離にして150mぐらいは離れてしまっている。


「もう魔法を撃ってもいいですか、その方が早いんだけど」


「はぁ何を言っているんだ。お前は魔法使いだと言っているが学校にも行っていないんだろ、独学で覚えた魔法じゃせいぜい初級魔法しか使えないだろだろ」


 学校や初級魔法などエルマーが何を言いたいのか意味が分からないが、その事を質問すると面倒な事になりそうなので笑って誤魔化した。


 結局、リーダーとして美男子である短髪のジールが他の者達をまとめて走り出していく。彼は体形に合っていないランスを背負っているにしては足音も立てずに綺麗に走っている。


 ただ他の新人達は普通に走っているので、ジールは何度も振り返り注意をしているようだが、上手くいくはずもなくこのまま進んで行ったら直ぐに見つかってしまうに決まっている。


「お前は何をしているんだ? 見ていないで魔法が当たる距離まで近づけよ、ラウルス、お前も一緒に行ってやれ」


「リーフホーンが逃げ出したら俺がやっても良いですよね」


「あぁ構わん、実力の違いを見せてやれ」


「それじゃ行こうかユウ君」


 走る必要など全く無いのだが、ラウルスに連れられて新人達の跡を追いかけると彼等はすでに走って追いかける事を諦めて慎重に歩きながら進んでいた。


 歩いた事が良かったのかリーフホーンは警戒心が無いまま此方の様子に気が付く事なくゆっくりと移動をしている。


「君達、このままだと何時まで経っても距離が縮まらないぞ、さぁどうするんだ」


 ラウルスは小声で聞いてきたのでジールが意見を言い出した。


「私が一人で行きます。出来ればユウが魔法に自信があるなら手伝って欲しいのだが、出来るかな?」


「だからここからでも撃てるって言っているだろ」


「何でそんな自信があるのか知らないけど、君が使える魔法は何なんだい? 中級魔法使いでも当たるかどうかなんだよ」


 リーフホーンとの距離は80m程に縮まっているというのに、それでも信用できないらしい。


(そのそも初級や中級って何なんだよ、そんな事習っていないんだけどな)


「ほらほら揉めない揉めない。彼は雷属性の魔法使いだそうだよ、上手く当たれば動きを止める事が出来るんじゃないか、ほらっこっちは俺が見ているからさ、君は早く仕留められる場所に移動したらどうだい」


「分かりました、配置についたら合図を送りますのでお願いします。ただ決して私の邪魔はさせないで下さい」


「彼は新人なんだよ、そんなプレッシャーをかけたら駄目じゃないか」


「はい、すみません」


 少し不満気なジールは風を切るようにリーフホーンの方へ走って行った。


「あの、ジールの方に行かなくていいんですか、向こうの方が危ないと思いますが」


「良いんだよ、俺は君の魔法に興味があるからね、だいたいさ魔法学校にも通っていないのに君は自信があるそうだからね、それに雷属性もめずらしいからさ」


「そうなんですか」


(魔法学校か)


 この先、会社の人達を探している時に魔法学校があったら覗いてみようと思う。


 どうやらかなりエルフと人間では魔法が違うようなので興味が湧いて来た。


 それにその事を理解しておかないと面倒な事になりそうな嫌な予感もある。


「さぁそろそろジール君が配置に着くぞ、君も準備をした方がいいんじゃないか」


「準備ですか、あぁそうですね」


 杖を腰に差したままにしているのでしっかりと構えろと言う事だろう。杖を右手に持ってジールの合図が来るのを待つことにした。


 するとジールの合図がきたと同時にそれまで以上の速度で走り出して行った。


 俺に比べたらかなり早いがドロフェイやオルガに比べたら大人と子供以上の差があるように見える。


「さぁ見ている場合じゃないぞ」


「そうですね」


 杖の先にボーリングの玉ぐらいの雷で出来た球を出現させる。

 

 先端をリーフホーンに向け突き出すようにして押し出すと、バイクのマフラーから出る音に近い音を奏でながらジグザクになりながら飛んで行く。


 光の軌跡しか俺の目では捉える事は出来なかったが、ほぼ飛んで行ったと同時にリーフホーンの頭を吹き飛ばした。


「う~ん、雷銃……終わってからじゃ遅いか」


 頭を失ったリーフホーンはよろよろと動きながら川の中に落ちてしまったので流される前にどうにかしなくてはいけないのだが、ジールは獲物の方を見ないで耳を押さえながら俺の方を見ている。


 ジャスチャーで耳から手を放すようにしながら遥か先に立っているジールに大声を張り上げた。


「何してるんだよ、遊びで殺したんじゃないんだから獲物を引きあげろ」


 我に返ったジールは直ぐに川に飛び込み、川の流れでリーフホーンが流されないように必死に押さえ込み始めた。


 一人では決して岸に上げる事が出来ないので走り出そうとするが、背中に何かを感じたので振り返るとエルマーを含め誰もが耳から手を放しながら俺の事をただじっと見ていた。


 

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