表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フリーダム/フリーウィル  作者: たきかわ由里
1/10

第一話

 颯太が弥太朗に出会ったのは、彼がまだ12歳の小学生だった時だ。

 大学時代に家庭教師のアルバイトで派遣された先の教え子。やんちゃで、野球が好きで、明るい少年だった。勉強もそれなりに出来た。それでも落ち着いて机に向かわない彼の中学受験を心配した親が、家庭教師をオーダーした。

「お兄ちゃん、トランクスみたいじゃん」

 いきなり下着の話か、と構えた颯太に、弥太朗は続けた。

「スーパーサイヤ人?」

「ドラゴンボールかよ」

 それなら、颯太にもわかる。今も変えていないが、前髪まで同じ長さの肩につくくらいの長髪。少しつり目で、確かに彼のいうトランクスに似ていなくもない。

「違うよ。俺は闘わないからな」

「なーんだ」

 彼はあははと明るく笑う。背は6年生にしては少し高い方ではないだろうか。声変わりもしている。

「ちょっと教科書とノート見せて」

「見んの?」

「家庭教師で来たんだからな。ほら」

「はーい」

 案外素直に彼が差し出したそれらを見ると、落書きがないページがないくらいにめちゃくちゃだ。

「おいおい…」

「で? 何教えてくれんの?」

「全教科」

「じゃ、体育にしよ!」

「体育は教えない」

 苦笑しながら、教科書のページをめくる。落書きが途切れたところが、学校で習った最後のページだろう。

「なーんだ。じゃ、音楽」

「ヘヴィメタルなら?」

「へびーめたる?」

 あれから、5年が経った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ