私とユグ 1
初めましてカピバラ3です。
ほんの僅かにでも触れていただきまして、ありがとうございます。
今作、初めての投稿になります。
前々からライトノベルのようなものをやってみたいと思っておりました。
今回、私の世界観で一つ物語を書いてみようかと思い投稿しました。
稚拙でお見苦しい文章かと存じますが、お付き合いいただければ幸いです。
アドバイスやご指摘、等、いただけたら非常に嬉しく思います。
どうぞ、よろしくお願い致します。
森の中。獣道を進む一つの人影。
雑草が生えない枯れた地面を蹴って進む。
木漏れ日は、腰まである金髪を輝かせ、彼女の美しさを一層照らしている。
薄く青い眼。
色白で滑りそうなほどに滑らかな肌。
整った姿勢。
バランスの良い顔立ちは、淑女を彷彿させる。
身に纏っている衣類は対極的で、ボロボロになった胡桃色のベスト、肌着にはチェックのシャツ。
背中には弓と、矢を入れる矢筒、そして大きなリュック。
彼女は周囲を確認しながら木々の間を縫うように走っていた。
森を抜け、ひらけた場所に辿り着く。
今まで蹴って来た荒野から一変し、足元一面には一輪草が地面を白く染めていた。
そんな花畑のような場所には先客がいた。
10歳にも満たない少女。
淡い金髪。少しクセのある髪は腰まで覆っている。淡い翡翠色をした瞳。
天使の様な容姿の割に、こちらも着ている物は質素だ。
茶色い袋に、頭と腕を出すために穴があいたような服。
膝をつけて地面にべったりと座り込み、何かに夢中で取り組んでいる。
「見つけた!ユグ!」
凛とした通る声が広場を駆ける。
ユグと呼ばれた少女は驚いた様子もなく少女へ振り向く。
作っていた花輪を手にしたまま、満面の笑みで彼女の元へ走る。
足の長さに合った細かいピッチ走法で距離を詰めて来た。
ユグは全身を使って彼女にしがみつく。
「もう!1人じゃ危ないでしょ!?ダメじゃない!私の目を盗んで逃げないの!分かった!?」
ユグは曇りのない満点の笑顔を返した。
「はぁ・・・宿探す時間がなくなっちゃうじゃない・・・」
深い溜息。
そして少女への復讐に、強く強く抱きしめた。
ジタバタともがくユグ。
「仕返し」
意地悪そうに笑った彼女からは、親しみしと優しさしか伝わってこなかった。
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ユグを捕まえ、これから今日泊まる宿を探す。
この子は手を離した瞬間から油断できない。
手を離した瞬間がスタートの合図、と言わんばかりに駆け出す事も度々ある。
人を困らせるのが好きなのか、それとも純粋に行きたい場所へ向かって行くのか、分からない。
本当に人を走らせる問題児だ。
逃げ出したりするが、最後には必ず、花や木がある所へ辿り着いて、今日みたいに花輪を作ってたり、呆けて草木を眺めていたりする。
いつからか、そんな一連の流れに気付いた。
しばらく歩いていると、町の入り口に到着する。
私はリュックからローブを取り出し、身を包む。
ユグにも着せて2人でフードをかぶる。
女子供だけで身寄りが無いとなると、悪さを企む輩がこの世界には多い。
そんな人目を避ける為だ。
町に入るとたくさんの人で賑わっていた。
景気の良い町なのだろう。
この様子なら宿探しも、あまり困らないかも。
町の人に声をかけ、安めの宿を聞いた。
お礼をして、そこへ足を運ぶ。
この世界では異種族の生き物が共同で生活している。
人間、妖精、獣、魔。それぞれの語尾に族とつく。
みんな違った特性を持っていて、その特性が尊重されている。
しかし、差別がないかと言われるとそうでもない。
昔、魔族は世界と戦っていた。
いわゆる、魔王が存在していたのだ。
魔王を倒す、と拳を上げたのは人間だった。
人間はずる賢く、何より非道だった。
兵器、嘘をうまく使い、立ち回る。
どの種族も人間を特に恐れていた。
妖精族は平和主義だ。
魔法を操れるが、温厚な為、大半が攻撃的な使い方をしない。
魔法は大気や感情、生命力等、陽の力を外界から借りて具現化した。
種族別に戦わせて順位をつけるなら間違いなく最下位だったろう。優しすぎたのだ。
獣族は特に身体能力に特化している。
魔法は使えないが、五感の全てが飛び抜けて優れている。
魔法は第6感と言われているが、獣族にも第6 感と相応の、特殊な能力を持った者が多かった。
野生の勘というやつだ。
これが本当にバカにできないものだ。
魔族。魔法を使う種族。
妖精族が陽の力だったとすればこちらは陰の力だ。
負の感情をコントロールしたり、黒魔術も使った。
妖精族は外界から力を借りて魔法を使うが、魔族は自分自身が魔法に使う力を持っている。
当時、人間族、獣族、妖精族は協力し、世界を手中に収めようとした魔王を討った。
魔王誕生の原因は、魔族が使う負の力の暴走だと研究結果から解った。
しかし、この事か判明したのは500年程前。
原因判明の500年間、魔族は常に負の起爆剤を抱えた存在というレッテルが貼られてしまっていた。
それからといもの時の経過と共に、戦いの血生臭ささは世界から薄れ、獣族と妖精族が魔族を見る目は徐々に緩和されていった。
しかし人間族だけは違った。
人間の王のいる王都に魔族は住めない。
彼らにとって魔族は不安材料なのは間違いないからだ。
人間は知恵を持った代わりに、裸にされたら1番弱い種族だ。
だから人間は人間以外をできるだけ遠ざける。
今のご時世それもだいぶ薄れてはいるが。
いい加減きれいサッパリなくなっても良いと思う。
この大掛かりな戦争があったのはもう1000年も昔の話。
時代や種族に関係なく悪巧みを働く集団はたくさんいるし。
この世界では突然変異で天災級の化け物も生まれる。
文字通り天災が生む変異動物だ。
それを天災種と呼ぶ。
天災種は自分と同じ種族以外の生き物をみんな敵だと認識するらしく、問答無用で襲い掛かる。
天災種の強大さは、ピンキリでランク付けされている。
S S>S>A>B>C>D
SS〜Aの中でも(+> 無>− )と更に細かくランク付けされている。
Dはペット程の強さだが、A+にもなると軍隊が動く。
この天災種は山や海にすら存在している身近なモノだ。
天災種を殺す事は唯一許されている。
災害の排除に該当するのだ。
こんな多種族で賑わう世界をユグと2人で旅している。
町の風景を吟味していると、わりと早く教えてもらった宿に着いた。
木造でアンティークな建物だ。
扉を開けて入店すると、とても手の込んだ内装になっていた。
ローブのフードを外すと視界は良好。
この店内の風情も楽しめる。
ユグは木や花を連想させるモノが大好きだ。
今だってクリクリとした大きい瞳を輝かせて辺りを見回している。
部屋、空いてると良いな。
ユグの顏を見たらそう思った。
「いらっしゃい」
受付の奥から宿の人が現れた。
人?種族はわからない。
種族が違うと言えど、見た目にはほとんど違わない。
だから本人に聞くまで判断できない事が多々ある。
「こんにちは、今日と明日、まだ部屋は空いてますか?」
「大丈夫だよ。そこの子と2人?」
「はい」
「その子は娘さん?…にしちゃあんたも若いねぇ。妹さん?」
「えっと、私が産んだわけじゃないんですけど…娘です!… と言うより、家族です!」
私とユグの関係は難しい。
命尽きるまで、この子を護るとあいつに誓った。
その誓いがなくても一生護っているだろう。
誓いよりも強い愛情があるから。
自分の命よりも重いものは愛情しかない。
ユグは私にとってそれだけ大切な子なんだ。
と言うより好き。変な意味じゃなくて。
「わけありなんだね。2名2泊で80ドージだよ。あ、名前は?」
「私アリサです!よろしくお願いします!」
硬貨を手渡した。
部屋の鍵を渡され、私はユグの手を引いて部屋へ向かった。
扉を開けるなりユグはベットに飛び込んだ。
ユグは柔らかい物が好きだ。
少し硬かったのか、不思議そうな顔をしている。
運べる布団や羽毛布団を隣のベットから拝借し、1つのベットにまとめた。
柔らかくなったベットにユグは喜んでいた。
いつも寝る時は、私がユグを抱く形で寝ている。
宿に迷惑がかからないよう、退室時にベットは元の形に戻せば大丈夫。というのが私の中の自分勝手なルール。
今日これからの予定はユグに決めてもらう。
夕刻を回り夕食の時間になっていた。
「お風呂にする?ご飯にする?それとも私?」
そう言って悪戯に笑い、カードを2枚ユグの目の前に差し出す。
カードにはお風呂の絵と、ご飯が並べらたテーブルの絵、の2枚。
こうやって選んでもらう。
ユグは喋れない。
多分ユグは精霊だ。
精霊は自然に最も近い生き物。
自然のエネルギーを多量に操作できるし、生み出せる。
妖精族が稀に契約できる高貴な存在だ。
精霊と契約できる妖精も滅多に現れない。
精霊は普段、身を纏う魔力オーラが濃くて肉眼で確認する事ができない。
何かイレギュラーな出来事があって、見えるよになってしまう事例が過去にはあった。
ユグもそうではないかと私は踏んでいる。
精霊は声帯がない為喋る事ができない。
だがこちらの意図くらいは伝わっていると思う。怒ると逃げるし。
ユグと旅をしていたあいつも、ユグの事は謎だらけだと言っていた。
ユグは少しだけ悩んだ後、ご飯のカードを選んだ。
「奇遇だね、私もそれだ」
ユグをの手を引いて外へ出た。
外に出ると太陽は傾き、空はオレンジから、深い青へ色を変えているところだった。
日が沈み始めても、街を歩く人の数と賑やかさは昼と変わらない。
私とユグはごった返した大通りの中、美味しそうなスープを求めて繁華街を歩き始めた。
「ゴマとトマトの野菜スープだって!ユグここにする?」
ユグはニッコリと笑って大きく頷いた。
私とユグの好みがほとんど同じで良かった。
私とユグは完全にベジタリアン。
基本的に野菜しか食べない。
それ以外は食べたくない。
以前私達と旅をしていたあいつは、肉類も野菜も好きだったようで大変苦労していた。
私も肉類を食べられるか一度チャレンジしたら、どうしてもダメだった。
だってしょうがないでしょ妖精族ってそういうものなんだから!
それにユグだって多分精霊なんだからそうもなる。
ユグがそわそわし始めた頃、注文したスープがテーブルに運ばれてきた。
私は緑のスープ。ユグは赤のスープ。
最初にシェアをして、ユグの目が輝いた方をユグに差し出す。
この子は本当に分かり易い。
食べ始めるとユグも美味しいからと、いつも私にアーン、とスプーンを差し出して気を遣う。
そんな事しなくても大丈夫なのに。
「あーん。ありがとうユグ」
私とユグの幸せな空間に別テーブルの会話が土足で上がり込んでくる。
「いや~明日も闘技会だな!掘り出し者がいれば良いが基本的にはミノタウルスだな!」
「あれに勝てる者はあまりいないさ!あいつが明日出場すると知ったら参加人数減ったらしいぜ。まぁそりゃそうだ、勝てる分けねぇからな!」
私の背後で酔ったおじさん達が闘技会に関して喋っている。
闘技会とは、闘技場で決闘方式で行われる闘いで、腕っ節を競い合う競技。
優勝者は多くの賞金が貰える。
この世界にはたくさんの町があるけど、ルールはどこも基本的には変わらない。
対戦相手を殺さずに戦闘不能に追い込むか降参させる。
この条件下で勝つのが難しいんだけど。
賞金の出所は賭け金。
観客は優勝するのが誰なのか1人に賭ける。
外れた金額の1/5が優勝者に、残りは賭けの当選者と会場と納税に当てられるのが相場だ。
だから優勝賞金も毎回大きさが違う。
この世界に闘技場は、大きい街に行けば当たり前の様にある。
「…ミノタウルスか… 」
ユグと私は後から来たパンをスープにつけて口へ運ぶ。
スープを平らげた後はユグの手を引いて会計場へと向かう。
「ごちそうさま」
「ありがとう。20ドージね」
硬貨を支払うと同時に気になる事を尋ねてみた。
「闘技会は当日の参加もできるの?」
「あぁ、できるみたいだけど、まさか参加するの?お客さんの話じゃ明日はミノタウルスが出るみたいだよ。」
「強いの?」
「強いよ!天災種のレベルBランクだよ?なんせ知性がねぇからこっちは殺せねぇが向こうは殺しにくるからな!」
同じミノタウルスでも強さがバラバラらだ。
強いのは厄介だけど。
殺してしまうと失格の闘技ルール。
殺さなくてもやり過ぎや、悪意があると判断されたらお縄にかかる。
しかし妖精族には好条件のルールだった。
この世界には力を持て余す者が多い。
魔王の様な倒すべき者がいないと、その牙は善良な市民にも向いてしまう。
そんな対策としてできたのが闘技会。
表向きは。
きっと元を辿れば貴族達の娯楽だと思うけど。
妖精族は強いにも関わらず命の奪い合いには弱かった。
それを闘技会といった形で、ハンデを埋められたのだから存分に力を発揮した。
弱いと思われていた妖精族はこの闘技会で威厳を持てたのだ。
闘技会はこの世界にとっても大きな存在で、それに合わせて闘いに優れている者の存在も大きいものとして扱われている。
一言で言えば強いと有名人になれる。
「忠告ありがとう。闘技会に参加するにはどうすれば良いの?」
「えぇ本当に出るのかい?んー…この店を右に出てまっすぐ行けば着くよ。登録は朝の8 時までだよ」
「ありがとう!ご馳走様でした!」
「気をつけなよ!」
「ハーイ」
ユグを連れて宿へ戻った。
眠そうなユグの衣類を剥がし一緒にお風呂へ入った。
どうやらユグは眠気と闘技大会をしているようで、目を開けているのがやっとのようだ。
私は2人分の身洗いと、パジャマの着替えを済まし、洗濯物をしながら明日の事を考えた。
闘技会か、適度に運動しないとね。
あと資金調達も目的。
私たち旅人にとって、資金調達の方法は様々だが、主な稼ぎは二つ。
私のように腕に少し自信がある人は闘技会に出る。
それ以外だとギルドのクエスト消化で報酬を得る。
ギルドの依頼は天災種の討伐から家事の手伝いまで様々だ。
誰でも受けられる内容のものも多い。
とりあえずギルドは明後日行くとして、明日は闘技大会に出よう。
「強い人出てないといいな」
少し緊張してきた。
部屋へ戻ると、ベッドに入って眠っているユグの手が動いている。
天井の方に手を伸ばし、何かを掴もうとして空振りを繰り返している。
吹き出してしまった。
「どんな夢みてるの?」
起こさないように笑うのを堪えたけど、おかしくて少し涙が出た。
この日もユグを抱きしめて眠りに落ちた。
どうもありがとうございます。
不慣れな文にお付き合いいただきありがとうございます。
これから定期的に上げていこうかと思います。
まだまだ上手く書けないと思いますが、勉強しながら物語を進めていこうかと思います。
コメントやアドバイスいただけると嬉しいです。
どうかよろしくお願い致します。




