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夕食のとき その後
❄❄❄
「ちょっと待て! なんで俺たちを――」
此処に連れて来た? と、レヴィルがマリスに掴みかかろうとした瞬間、銀色の一本の筋がレヴィルの鼻先をかすめた。
冷や汗がどっとあふれるような殺気が向けられたのはほんの僅かな一瞬。しかし恐怖で硬直して三人とも動けないでいた。
「食事中に立ち歩くことはなさいませんよう……。マリスさんに危害を加えようなどと思うならば消えていただきますよ」
――物理的にね
(((確実に後者のみがナイフを投げた動機だー!!)))
三人ともそれは気が付いた。だがそれを指摘するものなどいない。
殺気はない。悪意も感じない。しかしフォイの表情をみることだけは何としてでも避けたかった。怖い。
そっと目線だけ壁側に向けた。銀色の閃光の行方を追ったのだ。
――見なければ良かった。
深々と刃の部分がすべて壁に突き刺さったナイフ。この食堂に訪れた時にはなかったそれが確実に机を挟んだ向こう側にいる穏やかな少女が投げたものだということを知る。
「返事は?」
「「「はいっ」」」
悲鳴じみた声だったが、その後は黙々と夕食を食べ、三人とも逃げるようにあてがわれた寝室へと下がっていった。
こうして、フォイによる恐怖体験での躾(?)が終わった。




