招かれざる客人 出発
❄❄❄
ひひぃん……
馬のいななきは前方から。風に揺られる髪を纏め、幸先の良さを喜ぶものであろう雲一つない晴天さえも嫌味に見えるから不思議だ。
なんと間抜けなことに、馬車を用意し忘れた奴は誰だと責任転嫁をせっせとする自称騎士団長を無視し、私は適当に二人乗りできそうな騎士を物色していたときだ。
「俺と一緒にどうです?」
軽薄なノリにぼさぼさの栗色の髪が揺れている。鳶色の双眸を悪戯が成功した子供のように歪ませ、にやにや笑いながら近づいてくる細身の男。
ぱかぱかと馬の蹄を鳴らして近づいてきたのは――ソラ
「君、何で――!?」
他の騎士らしく鎧をかぶっている騎士と違って軽装のそいつは軽く首を傾げた。
ひょいっと軽々しく持ち上げられ、気づいたら前の方に座らされるという、何故。何故こいつがここに居る!?
「お嬢さん、今は黙っていた方がいい。そっちの方が有利だ」
耳元で小さな声で言われて固まった。有利、どういうことだ。
「へー、やっぱり絵になるな」
「王家の使者様って言っていただけあって外見もいいしなー」
……王家の、使者?
我が耳を疑ったのは仕方がない。振り返って思ったより間近にあった顔をまじまじと見る。
「意外でしょ? 裏の世界の住民って言われた方が納得できると思わない?」
「あぁ、小悪人面は今でも変わらないんだな。春祭り以来だ」
「ちょっとお嬢さん? 何だか俺に冷たくない?」
「何が?」
「えぇー」
そんなこんなで、王都まで出発することになった。




