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狂った国の魔女  作者:
辺境の村編
10/21

他人事とは言えないね

❄❄❄


 

 ディアが目覚め、しばらく平穏な日々が続いたある日。フォイが十数枚の紙を持って居間へ訪れた。


「さあ、どれがいいですか?」


 スレイと私に、満面の笑顔で渡されたのはドレスのデザインだった。どれもコテコテにフリルがつけられているか、かわいらしいものばかりだ。


「却下」


 サッと目を通したらフォイに突き返す。


「これは一体……?」


 スレイは困惑していた。


「ここら辺の地域で毎年行われる春祭りで、女は皆着飾る風習があるんだ」


「そうです。一昨年、去年とマリスさんに逃げられてしまいましたが、今年こそマリスさんの美しさを村人に見せつけたいのです。ふふっ」


「へえ……」


「ちなみに祭りの本来の目的はお見合いだ。私は結婚するつもりがないからでるつもりもない。だから衣装も着ない」


「もちろん子供も出ますよ? 豊作祈願のお祭りでもありますから。ですが……」


「「ですが?」」


「きゃっ!」


 突然居間へ現れたイリヤとレヴィルが同時に聞く。見事なハモリである。びっくりしたフォイは一瞬たじろいだがすぐに元の調子に戻ると、こほん、と咳払いした。


「マリスさんが出ないのであれば、貴方たち三人はお祭りに出すわけにはいきませんね」


「「ええー!?何で?」」


「当然でしょう。保護者なしで子供たちだけ夜に放り出す、というわけにもいかないでしょう。ここは森近くですし魔獣も出ます。そんな時貴方たちだけで身を守れるわけがないでしょう」


 フォイは柔らかな口調で諭す。これはマズイ。スイッチが入らないことを願おう。


「できる!」

「できますよ!」


 レヴィルとイリヤは口をそろえて抗議した。そんなにもお祭りに出たいのだろうか。


「聞きましたよ? 貴方たち、人間に襲われていらしたんですよね」


 すっ、と、部屋の温度が下がった。そんな気がする。

 こくりと正直に頷くあたり、三人はフォイに洗礼を受けたのかな、などと呑気に思う。


「人間如き軽く締め上げられないでどの口が魔獣を倒せると仰ったのかしら?」


 今ここで水銀気温計があったらするすると温度が下がっていることだろう。癒しの精霊とは言ったものの、彼の属性は水。水の治癒魔法を使う。他属性の火も多少使えるが氷や水蒸気に変えるといった性質変化くらい。

 お説教のときは故意か、無意識か吸熱するから周りの温度が格段に下がる。


「宜しいですか? 御自分の過小評価も過大評価も身を滅ぼします。身の程をわきまえますよう、ご留意くださいませ」


 にっこりと締めくくられたが子供たちは戦々恐々である。いつどんなスイッチが入るかわからないあたりフォイは得体がしれない。


「マリスさんと一緒なら、お祭りに参加できますよ?」


 それを聞いた約二名、獲物を狙う目でこっちを見ないでほしい。


「あんなヒラヒラして重い服着られるか」


「ではこちらはどうです?」


 すかさずフォイが出してきた一枚の紙を見る。これも衣装のデザイン。しかしフリルはなく、細身の身軽そうなドレスだ。


「これならいいかな」


 出るつもりはないけど。

 そう思って呟いた言葉ににやりと笑った四人。


「言質はとった!」

「よっしゃ、行ける!」

「楽しみだねー」

「スレイさんはどれがいいですか?」


 イリヤ、レヴィル、フォイ、スレイ。それぞれがそれぞれの反応をするのを眺めながら、呆然とした。


は、


嵌められた―――――――――――――!!!!!!


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