コイモノガタリ
どうも!剣 夏向です!
約束のアクセス数800越え記念小説は恋愛小説にしました!
未熟ですがお付き合いくださいまし…
では始まりますIt's show time!
今から約6年前…。
俺は1人の女の子に恋をした。
実るはずの無い恋だともしらず…。
「んんっ…」
まどろみの中ぼんやりと懐かしい夢を見た。
幼い自分が誰か、同じく幼い少女と遊んでいる夢だった。
ふとした瞬間勝人はその夢から覚めた。
弾かれるように、唐突に。
時計を見ると6時。目覚まし時計より早く起きたようだ。目覚まし時計を止めようと手を伸ばすと…
自分の手が異様に小さいことに気がついた。
元々、手は大きい方なはずなのに。
「!?」
飛び上がるように起き、洗面台へ向かう。
「あら、今日は早起きなのね」
そう言う母の声もなんだか若く聞こえる。
どうしたんだ?と思考をフル回転させた。しかし答えは鏡を見た瞬間わかった。
「…子供!?」
ペチペチとその子供の顔を叩いてみる。すると確かに自身の頬が痛い。
これは、紛れもなく勝人自身の顔だった。
それも…………幼い頃の。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
時間が…戻ってる!?そう呟くと辺りを見渡した。よく見れば数年前に買い換えた洗濯機も今はもう止まってしまった時計もそのままだ。
…完全にタイムスリップしている。
「いつにタイムスリップしたんだ…?」
勝人はそう呟くと新聞を手に取った。
日付を見ると
『2011年8月2日』
「6年前に…タイムスリップ…か」
6年前といえば勝人には思い当たることがあった。そう。6年前なら…
仁夏が生きているかもしれない。
涙が出そうになった。仁夏が生きていて、普通に喋って、普通に笑っている…?
そう考えるといてもたってもいられなくなった。絶対に、会いたいと思った。
朝ごはんをかけこみ、超高速で着替えを済ますと勝人は秘密基地へ向かった。
あそこに、あそこに、あそこに!
……………仁夏がいるかもしれない。
ハァハァと息を切らし、勝人は秘密基地に駆け込んだ。そこにいたのは
「おお、奇遇だね」
絵斗と
「アンタも秘密基地か」
香奈と
「あ、勝人くん」
…………………仁夏!
思わず飛びつきそうになる。
死んだ好きな人が生きていて、笑っていて、自分の名前を呼んだ。
それが嬉しすぎて勝人は目を潤ませる。
格好悪いところを見られたくなくて、目元を拭う。しかし心の中では大泣きしていた。
「…仁夏」
そっと名前を呟いてみた。
「なぁに?」
返事が返ってくる。
「…なんでもない」
「?変なのー」
こんなたわいも無いやりとりが勝人には幸せだった。もう2度と会えないと思っていた。
それから数週間が飛ぶように過ぎていった。
この上ない幸せと満足感が勝人を覆っていた。しかし
あと3日になってしまった。
8月23日…仁夏の死亡日まで。
「…嫌だ…………」
もう2度と大事な人をなくしたくない。
勝人は痛切に思った。確か仁夏の死亡原因は交通事故死。だとしたら…
車などに出くわさないようにさせれば未来は変わるかもしれない。
勝人は考えてはいけないことを考えた。
タイムスリップの暗黙の掟、「未来を変えてはならない」を破ろうとした。
でも
そこで諦められるほど勝人は大人ではなかった。
「なぁ、仁夏!」
「なあに?勝人くん」
「あのさ、」
「うん」
心拍数が上がっているのがわかる。
勝人は言いたい台詞を決めてきた。言わなきゃ。
「今日うちにこない?」
一見ナンパに見えるだろうか?
でも幼稚園児のすることだし、仁夏を交通事故から守るのなら室内にいるのが1番だと思った。
「うん!いいよ」
よし、これで大丈夫だ。
勝人は確信した。
その日は安心感でいっぱいの楽しい日となった。
そしてその晩ベットに入る。
安心感と疲労からすぐぐっすりと眠りについた。目が覚めると、
…時は戻っていた。
勝人はベットから飛び起き、母に尋ねる。
「母さん!仁夏は?仁夏って今どこにいる!?」
「仁夏…?何を言っているの?」
え?
勝人はふと嫌な予感が過ぎった。
「仁夏ちゃんは何年も前に亡くなったでしょう…?ほら、小児癌で…」
小児癌?交通事故死じゃなくなったのか?
どういうことだ?仁夏は交通事故では死ななかった?でも小児癌で死んだ?
どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?どういうことだ?
俺は…………………
また仁夏を失った?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
勝人は身体が震えているのを感じた。行き場のない悲しみとただ自分を責める罪悪感に押しつぶされそうになった。
息を荒らげ、たまらず外へ飛び出す。
信じない。信じないぞ。
勝人は受け止めきれなかった。秘密基地に行けば仁夏が笑って名前を呼んでくれる気がした。
仮にいなくても誰かが慰めてくれる気がした。
でも
そんな日に限って誰もいなかった。
がらんとした秘密基地。
ふと勝人は恐ろしいことに気がついた。
自分が変えてしまった未来は絵斗達も巻き込んでしまったのではないか、と。
絵斗達もなくしてしまったのではないか、と。
勝人は泣き出しそうになった。そんなの、辛すぎる、耐えきれるはずがない。
「………と……さと…勝人!!!!」
「!」
勝人が驚いて振り返るとそこには絵斗がいた。目元が熱くなるのがわかる。
ぼろぼろと大きな涙が頬を伝う。
「どうしたんだよ、お前らしくもない」
「か…絵斗ぉぉぉ」
絵斗に事情を話すと、絵斗は黙って頷きながら聞いてくれた。
それが勝人には嬉しかった。
「そうか。つまり勝人は仁夏に会ったんだな?」
勝人は無言のまま頷く。
「つまり、未来は変えられないってことだ。仁夏に会えないのは…寂しいけど…でも、引きずらないで笑うべきだと思うよ」
「…!」
「仁夏もさ泣いてる勝人、好きじゃないと思うし」
勝人は素直に頷いた。
そして涙を拭うと家に帰ることにした。
その時ふわっと暖かい風が吹いた。
勝人がはっとしていると横を通り過ぎた金色がかった髪の少女。
目は薄いコバルトブルー。
勝人が驚いて振り返ると
そこには誰もいなかった。
目の錯覚かと思い勝人はそのまま家路を急ぐ。
勝人の背後にあった路地裏の影で、
誰かがそっと微笑んだ。
読んでくださりありがとうございました!如何でしたか?
楽しんでいただけたらhappyです!
じゃあ、ばいばいっ(*´ ³ `)ノ