表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アルゴル

作者: 羽宮悠夜

きっといつか誰かの拠り所になりたいと

貴方は私にとって唯一の大切な存在なのだろうと

笑ってくれるあの子の側で

僕はただ、星を観ている。


「星が綺麗だね」

君は僕に柔らかな横顔を見せながら、笑ってくれた。


僕はただ、星を観ている。


「今度一緒に観ようね」

彼女は物足りなさ気に、耳元で呟く。


僕はだだ、星を観ている。


「物好きだよね」

彼女は星に興味がないから、呆れた顔のスタンプを添えた。


僕はただ、星を観ている。


向き合えたはずの笑顔は、火球よりも眩しくて、そして瞬く間に見失ってしまった。

手を伸ばす頃には、泡沫の痕だけが朧げに浮かんでいる。

初めから届くはずもないとわかっていたのに、届かないことは途方もなく悲しくて、涙が止めどなく溢れ出てくる。


僕はいつの間にか瞼を落としてしまっていたらしい。

黎明の水平線は、波が押し寄せるほどに白んでいく。

大三角は西の空へ溶けていくけれど、夜がくればきっとまた逢うことができる。


夜を待ち焦がれては心が望むままに、性懲りもなく短いこの腕を伸ばしてしまう。

8月の風は妙に生暖かい。


僕はただ、星を観ている。


『星が綺麗だね』

僕の傍で、君が笑った気がした。

僕は扉を解錠する

白い鍵はあの頃と変わらない形を維持していたようだ


「星が綺麗だね」

僕はただあの子に、そう笑っていて欲しい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ