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星雲戦記バトラーライツ  作者: 朝霧彩矢
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第6話 転校生木原マキト





 「ぎゃあああー!今日日直だったー!急げー!!」

朝。晴彦は学校に向かって走っていく。トリシャはリュックの中で呆れている。

『しっかりしなさいよね』

「あー!ぐはぁ」

ドンと晴彦は何かにぶつかる。

「あだっ!」

ぶつかったのは黒髪で茶色いチャックの制服の男子だ。お互いぶつかった拍子に尻餅をついた。

「…てー!気をつけろよ!」

「ああ!ごめんなさい…」

男子は晴彦を睨みながら立ち上がる。明らかに晴彦より長身なのがわかる。

「ほら、立てよ」

男子は晴彦に手を伸ばす。晴彦は恐る恐る手を伸ばし立ち上がる。

やばい、殴られる…と歯を食い縛る。

「怪我なかったか?ないならもう俺行くから」

「え?」

男子は何もせず歩いていった。男子が離れていくのを見ていると高校のチャイムが聴こえてきた。

「ぎゃー!日直だった!」

晴彦は走り出す。


 ※


 「よかった…一応間にあった」

教室で日直日誌を持ちながら晴彦は席に着き安堵する。

「みんなー、静かに。出席取る前に転校生を紹介するぞ」

クラス担任の滝和真(たきかずま)は教卓に向かう。

こんな時期に?とクラスは騒ぐ。

「だから静かにしろってのうっさいぞ。入れ」

滝が合図すると転校生は戸を開けて入ってくる。その転校生は、

「若葉高から来ました。木原マキトッス」

――ええっ!!あの人!!

先程晴彦とぶつかった男子だ。晴彦は驚きを隠せない。

「あー、さっきの。どうも」

男子、マキトは後ろほうの席の晴彦に気付く。滝は二人を見る。

「お?明星は木原と知り合いか?」

「さっきちょっと顔見たんすよ」

――あの人、同級生だったんだ…二つ上かと思った…

晴彦は自分とマキトを見比べて驚愕する。若い教師の滝と見比べても年が離れてるようには見えない。

「ていうかお前制服、若葉のだけどうちのはどうした?」

「金もサイズも無かったんでないです」

マキトにクラス一同も驚きを隠せない。怖そう、なんで転校してきたんだろう。小さくみんな騒ぐのだった。


 ※


 「晴彦、アイツになんかされなかった?めっちゃ怖そうだけど」

昼休み。佐々木は晴彦にマキトについて訊く。

「別に何も?」

「ならいいけど、厳ついって言うかなんていうか…」

佐々木は怯える。

「あの木原って人、前の学校の生徒に怪我させて追い出されたって噂よ」

クラスの女子、天野が二人の間に入る。マキトは確かに怖く見えるが怪我をさせたとは思えない。

「…そんな風には見えないけどなぁ」

晴彦は弁当を出しながらマキトの様子を見る。マキトも席で弁当を取り出す。

今朝ぶつかったのを改めて謝りたいし少し興味がある。

「なあ!一緒に食お?」

小学生よろしく晴彦はマキトの席に近付き声をかけた。

「あ、いいぜ」

マキトは心よく許可する。晴彦は今は空いているマキトの右隣の席に座る。

「お、おー…うまそう」

マキトの弁当が視界に入る。大きなおにぎり二つにピーマンの肉詰め、玉子焼きと肉じゃがとなかなか豪勢で美味しそうだ。

「好きなのやるよ」

マキトは弁当箱を晴彦に差し出す。

「すげえ…木原の母さんすげえ…」

「いやこれオレが作った」

「もっとすげえ」

「すげえか?すぐできるぜこんなの」

意外と料理上手という事実に晴彦は驚く。ピーマンの肉詰めをひとつもらうと味も文句なしに美味しい。

「こんなん毎朝作ってるの?自分で?」

「まあな」

次第に二人の会話が弾む。

「お前さ、オレが怖くないのか?」

ふと、マキトは改まる。彼は気付いている。転校していきなり周囲に怯えられていることを。しかし晴彦は違った。

「えー?全然怖くないよ」

「いや、オレ見た目こんなだしよくビビられるんだよ。お前は平気か?」

「何言ってるんだよ。こんな飯うまくて愛嬌あるのに、どこをどうびびるんだよ」

マキトにとっては初めてだった。今日初めてあった相手にここまで歓迎されるのは…


 ※


 「木原、思ってたよりはまともな奴みたいね」

セイラはラーメンをすする。その日の夕方。常町軒でカウンター席に座りラーメンを食べながら晴彦とセイラと豪は話している。

「暴力沙汰はただの噂だよ。本人も否定してたし」

晴彦はラーメンの麺を全て食べ終える。

「僕もソイツに一度会ってみないとな。僕だったらその彼が本当に暴力してないな否か見抜ける」

「豪も疑うのかよ、だからないって」

「もしもの話だよ」

三人が話していると、店の扉が開く。入ってきたのはマキトだ。

「いらっしゃい」

中田の声が響く。

「あ、晴彦」

「お、木原だ」

二人はお互いの顔を見る。

「彼が、さっき言ってた?」

「ああ、木原だ」

二人の様子を見て豪とセイラは言う。マキトはセイラの隣に座る。

「コイツは同じクラスの大場セイラ。こっちは川崎の長田宮豪」

晴彦は二人を紹介する。

「おー、よろしく。オレは木原マキト」

「で、この店の主人の中田さん」

中田も紹介される。

「おー、コイツ晴彦の友達か」

「うん!マキの弁当すげえうまいんだよ!」

「マキってオレか?」

晴彦のさりげない一言にマキトは反応する。

「そうだよ。マキトだからマキ。嫌だった?」

「全然。なんかいいな…」

クスリとマキトは笑う。和気藹々としていると、

―――リリリリ…

「!!」

晴彦とセイラと豪のスマートフォンがなる。

「ゼテオブルーメ!」

それは街にゼテオブルーメの兵士がいることを現すベル。トリシャがすぐに動けるように作ったものだ。表示された地図の先に晴彦達は向かおうと店を出て走り出す。

「…なんだこれ」

マキトはその一連の意味がわからず釈然としなかった。


 ※


 ゼテオブルーメの兵士はさっそく一人の男性を襲っていた。

「ひ!ひぃ」

「貴様、『王子(プリンス)』はどこだ?」

「な、なんのことだ!?」

「正直に話さないとどうなるかわからないか?」

「や、やめてくれ!」

震える男性。そこに三人はやってくる。

「待ちやがれ!ゼテオブルーメの兵士!」

「ふん、邪魔者か」

兵士が晴彦に気を取られているうちにセイラと豪は男性を保護し逃がす。

「我はオルヴィ・テラの王子(プリンス)を探さないといけなくてな」

「プリンス?」

兵士の発言に晴彦はひっかかる。

「貴様には教えんわ。ニエンテ!」

兵士が何かの名を呼ぶ。すると、何処かから無数の人の形をした何かが転送されてきた。包帯を全身に巻いた黒い人形がわらわらと動き三人を囲む。

「なんだこれ!?」

突然現れたニエンテに晴彦は驚く。早速取り押さえられる。

「どわ!うわぁ!こわ!」

「もー、情けない…」

怯える晴彦を見て後から人間姿になって追い付いたトリシャは呆れる。

「早く変身して片付けるよ!」

「ああ!」

セイラと豪はブレスレットを見せる。晴彦もあわあわとゼロワンチェンジャーを取り出そうとする。

ボカッ ガッ!

「え?」

あたふたする晴彦の耳に何かを殴る音が入る。

「なんだよこれは!おら!じゃまだよ!」

「マキ!?」

晴彦に群がるニエンテをマキトは振り払い、殴り飛ばす。かなり手際よく。

「つ、強い…」

セイラと豪もあっけに取られる。

「大丈夫か?」

「うん、ありがとう」

また、晴彦はマキトに助けられた。

すると、マキトの右手の甲に緑色の魔方陣が浮かぶ。トリシャはそれを見逃さない。

「マキくん!これ使って!」

トリシャはマキトに向かって、四つ目のナイトチェンジャーを投げマキトはそれを受け取る。

「ボタンを押して、リミッター解除して!」

「お、おう」

驚きつつもマキトは右手にブレスレットをはめる。

「マキ!俺達に続いて!」

晴彦はゼロワンチェンジャーを持つ。セイラも豪も準備は出来ている。

「「「リミッター解除!」」」

マキトは叫ぶ三人に続く。

「リミッター解除!!」

『チェンジ・オープン・ライツ』

四人は光に包まれ戦士の姿になる。緑の鎧の戦士が初めて姿を現した。

「大地の勇士、ライツ04(ゼロフォー)!!」

マキトはライツ04に変身した。

「草花の怒りで、シめてやるよ!」

四人の戦士の登場。まだこの時は、戦いの始まりですらなかった。




○登場人物紹介○


木原(きはら)マキト/ライツ04(ゼロフォー)

好きなもの:料理、園芸、小動物

クラスに一人いるやたら大人っぽく見える同級生です。容姿のモデルは山本涼介さんです



キャラクターの身長は遅くなりましたが大体こうです↓

晴彦 171cm

セイラ 159cm

豪 172cm

マキト 187cm


ゼテオブルーメの兵士達ですが平成仮面ライダーシリーズのワームやイマジン的なものがイメージです。



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