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星雲戦記バトラーライツ  作者: 朝霧彩矢
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第2話 その理由と大場セイラ

 あれはなんだったのだろう。下校時に出くわした謎の怪物と少女、そしてヒーローに変身した自分。一連の出来事があっという間に過ぎて気が付いたら、自宅の部屋のベッドに寝転がっていた。さっきまで両親と妹に誕生日を祝われたがケーキを、しかもまるごと一つ平らげると妹が怒るのを余所にすぐに部屋に入ってしまった。晴彦はうとうとと眠りそうになる。

「あれは、なんだったんだ?俺変身したよな?」

「したわよ」

「いたんかい」

「居るわよ」

トリシャと名乗る黒髪の少女はそんな晴彦の様子を見る。夢心地のような表情だと思った。

「晴彦くんは奴等と戦うために選ばれた戦士バトラーライツの一人なの。何回も言ってるでしょ?」

晴彦は起き上がってトリシャを見た。

「だから…まだ君も変身したのも信じられないって。なんなんだよ」

「…そうなのね」

晴彦が事態を理解してはいないを知る。仕方無いわね、『何も覚えない』みたいだし…

「とにかく今日みたいな化け物はまた現れるわ」

「わ、わかったから。寝かせて」

晴彦は早く寝たかった。変身といい、怪物といいトリシャといい、疲れていたのだ。

「…」

「寝るのはやっ」

いきなり爆睡する晴彦を見てトリシャもどうしたものかと考えながら部屋の灯を消し人形の姿に変わる。


  ※


 翌日の朝。起きてみるといつもの朝。昨日のことは夢だったかと思いたかったが晴彦の視界に昨日見つけた人形があった。

「…俺拾ってないよな?」

人形はぽんっと音を鳴らしてまるで魔法のように姿を変える。その変えた姿は間違いなく昨日出会った少女トリシャだ。

「だから!夢じゃないわよ!」

「朝からうるさいって!」

昨日は明らかに現実だったと知る。

「しかもこれ握ってたままだった」

昨日トリシャに渡された懐中時計のようなものが手の中にあった。

「それは『ゼロワンチェンジャー』。01になる時に使うの。因みに昨日使った剣は『キングカリバー』よ」

「そんな説明いいからぁ、てか遅刻するから帰ってからにしろよぉ」

大あくびをする晴彦。するといきなり、右手の甲が赤く光って見えた。

「え?なんだこれ?」

赤い刺青のような魔方陣が浮かび光る。丸い円の中に星のマークが書かれている。

「それが戦士の証。ゼロワンチェンジャーに触ったから光ったの」

「あ、あれ、消えた。ない…」

光るのが静まると同時に魔方陣は消えた。

「そういつもは光らないわ」

「…ああっ!遅刻!」

消えたと同時にまた現実に引き戻される。


  ※


 高校の教室。机の横にかけたリュックには人形の姿のトリシャが入っている。連れて行きたくなかったが部屋に入った家族に見つかるのも嫌なので連れてきてしまった。

「晴彦、どうしたよ」

「佐々木」

机に向かってぼんやりしていると佐々木に話しかけられる。

「時間通りに着いただけで疲れたのかよ?」

「そーじゃないよ」

何も知らない佐々木が羨ましかった。

「そういや朝ニュースで商店街に化け物出たっての知ってっか?」

晴彦は驚く。

「えっ?何?」

「なんでも、化け物の他にシャドーバトラーみたいな奴が現れたらしいぜ。赤いの」

俺だ…そうだ、ニュースとかにやっぱりなってた!?

「監視カメラは壊れてたけどどんな姿だったかはわからなかったらしい。周りも誰一人いなくて見た人もいないし」

「…」

俺だとバレてないよな?

晴彦は赤い戦士が自分だとは佐々木にも言えなかった。

「佐々木くん、ちょっといいかしら」

佐々木に話しかけたのはセイラ。

「大場さん何?」

「二年の人がさっき呼んでたわ。行ってあげて」

「お、わかった」

セイラは自分以外には優しい、自分にはキツく当たる。それが晴彦は許せない。

「ふん」

「…」

晴彦とセイラは眼を合わせないようにする。セイラは佐々木を連れて離れていく。

「ねえ、」

「なんだよ、って、ちょ」

トリシャはカバンの中から出てくる。晴彦は慌てて隠すようにする。

「あの大場セイラって子…」

「大場が何?あの女がどうしたの?」

「あの子まさか」

「もうなんなんだよ」

トリシャがセイラに対しての話をしようとした時、

「うわっっーー!!」

「ああああっ!!」

グラウンドのある方角から生徒らの悲鳴が聞こえた。


  ※


 晴彦は教室の窓からグラウンドで起きている光景を見て驚いた。

「な、なんだあれ?!」

昨日出くわした怪物に似ている。昨日のは動物が二足歩行したように見えたが今見ているものは一味違う。明らかに強そうだ。

「あっはははっ!おうら逃げろ逃げろ!」

「「うわあああっ!」」

カマキリとヒョウを組み合わせたような怪物。生徒達を襲っている。人語を話すそれに皆逃げていく。

「昨日のあれに似てるけどなんなんだ?!」

「あれは私達の敵の兵士で生物兵器。昨日のあれはその欠陥品でたまたま出てきちゃったの」

「兵士?あ!大場!」

兵士と呼ばれる生物兵器にセイラが向かっていくのが見えた。

「何やってやがるんだよ!!」

晴彦はそこに向かうために走り出す。


   ※


 グラウンドにいた生徒と教師らは皆逃げ切れた。しかしセイラは一人飛び込んだ。

「あんたは一体誰なの?」

「お前は怖くねえのか?」

「ふざけた見た目でふざけてるなんて短絡的よ」

「痛い目見たいようだな!小娘!」

兵士はセイラに襲いかかる。その刹那、晴彦は変身しながら間に飛び込んだ。

『チェンジ・オープンライツ!』

「リミッター解除!」

晴彦はライツ01に変身した。それをセイラは明らかに見ていた。

「明星!?」

ライツ01はセイラを庇うに兵士を攻撃するが兵士はびくともしない。

「なんだ貴様ー!」

「お、俺は、ていうか自分から名乗れよ!」

ライツ01と兵士は戦いだす。ライツ01は苦戦する。

「がはぁ!!」

ライツ01は兵士に蹴られる。そこから苦戦していく。

「…うへぇ、強い」

なんだこの情けない奴は。セイラはライツ01の勇敢なのか情けないのかわからない姿を見る。そんなセイラの肩に人形のトリシャがいた。

「セイラちゃん!貴女も戦って!」

「え?何!?人形がしゃべってる!」

「説明は後!」

そう話しているとセイラの右手の甲に青い晴彦と同じ魔法瓶が光る。それを見たトリシャは確信した。

「貴女もやっぱり…これを使って」

トリシャはセイラの右腕にブレスレットを巻き付けた。

「それのボタン押して『チェンジ・オープンライツ』って鳴ったら『リミッター解除!』と叫んで」

セイラは指示通りにする。ブレスレットのボタンを押す。

『チェンジ・オープンライツ』

「リミッター解除!」

セイラが叫ぶと身体中が光に包まれて姿が変わる。


  ※


 ライツ01はセイラに起きた光景を見て驚いた。

「…大場?」

青い甲冑の女騎士がいた。

「セイラちゃんはライツ02(ゼロツー)なの。五人いるうちの二人目」

「私が?」

セイラはまだ理解出来ずにいた、青い女騎士ライツ02になったことを。

「…とにかく大場!じゃなくて02!俺を助けて!」

「変身しても情けないな。短絡的ね」

ライツ02はしぶしぶ01を助けることにする。

剣を振り兵士と戦う。

「がはあぁ!!」

セイラは何故か戦い方がわかっていた。まるで最初から知っていたかのように。

「大海に飲まれて眠れ!」

「ぐははぁぁ!」

ライツ02の剣は兵士を真っ二つに切り裂いた。兵士は切られたと同時に、跡形も無く消えた。

「…02つええ」

「あんたは情けないわよ!」

01を見ているとトリシャは呆れる。

「私は一体…」

02はブレスレットのボタンをまた押すと元の大場セイラに戻る。01も変身を解除に晴彦に戻る。

「明星、あんた一体どうしたの?…んっ!?」

晴彦を見た途端、ふと何かを思い出したような気分になる。

「大場?」

晴彦も同じだった。何か忘れてはいけないことを忘れた気がした。


続く


.


〇登場人物紹介〇


大場(おおば)セイラ/ライツ02

好きなもの:シュークリーム

本作のメインヒロインです。モデルはニンニンジャーのアオニンジャー/八雲です。イギリスかぶれになる予定です。男キャラが大半をしめていく予定なので乙女ゲームの主人公みたいにしていきたい…

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