「容疑はブームと共に」
「なるほど。それで、気が付いたら給食費がこの教室から無くなっていた、と」
「はいなのですよ、探偵様」
「…………あのキリちゃん」
「何ですか?探偵様」
「何故探偵『様』なのか聞いても良い?」
「探偵君、キリはね今『様』ブームなのよ」
「そうなのです。姉様の言う通り、キリは今様ブーなのですよ、探偵様」
「……(何だかなぁ)で、休み時間に教室にいた貴女が皆から疑われているってわけ?えと、キリちゃんの友達の友達の友達のお姉さんの妹さんの……(凄いキラキラネームだな)ミカエルちゃん」
「…………はいっ!(ビシリッ)」
「……(何故敬礼。そして、何故疑われているのにも関わらずそんなに明るいのか)」
「ちなみに探偵君。ミカエルちゃんは今京都ブームと敬礼ブーム中よ?」
「うち、疑われてますねん!(ビシリッ)」
「……そう(ミカエルなのに『うち』。ミカエルなのに『うち』)」
「探偵はん、事件解決してくれはるってホンマなんですか?」
「解決出来るかどうかは別として、ここまで来たらそれなりのお手伝いはするよ。で、給食費はその日の給食の時までは確かにこの教室にあったのね?」
「はい。それは確実です。給食時間中に給食費はここにあるぞー言うて皆に見せてはりましたから」
「見せてたって……誰が?」
「先生ですよ。当たり前ですやん」
「……(何故先生がそんなマネを)じゃあ、給食費は先生が管理してたって事?」
「そうですねん。まぁ、管理ぃ言うても先生の机に放置してあっただけなんやけど」
「……(せんこぉぉぉっ!!金の管理ぐらいちゃんとしとけよ!!)それで、給食が終わって休み時間も終わって……、給食費が無くなっているのに気付いたのは授業が始まってすぐ?」
「(こくり)先生が言うてん。机に置いておいた給食費が無い言うて。そこから皆で探したんやけど見つからんくて。で、休み時間も教室いた奴はだれやぁ言う話になって、んでうちが疑われてしまいましたんよ」
「ミカエルちゃんはずっと教室にいたの?」
「ずっと言うわけやないんやけど、まぁほぼほぼ教室にいたんですよ。今ハマってる本があって、夢中になってそれ読んでましてん」
「ミカエルちゃんの他に教室にいた人はいなかったの?」
「いましたけど、出たり入ったりしとったぁ言うてますから。疑いは薄いんよ」
「……(それ、逆に疑い深いんじゃ)ミカエルちゃん、ずっと教室にいたなら不審な動きをしてる人は見かけなかった?先生の机に近付いた人とか」
「不審な動き……怪しい人っちゅうやつですね」
「そう(こくり)」
「なんや……本格的ですねぇ!うち、ワクワクしてきましたわ!お姉はん、刑事みたいでかっこええ!!」
「……(私はこれにどう突っ込むべきなの)」
「褒められたわよっ、探偵君!」
「ソウデスネ」
「怪しい人ですかぁ……。うーん…………あっ!!いましたっ、いましたで!!先生の机に近付いた怪しい人!」
続く