「魔人を中へ、戻します」
「だぁぁぁ!!誰だっ!俺の店の林檎を片っ端からちょいかじりしやがった奴は!!」
「きゃぁーーっ!誰っ?今スカート捲ったの!」
「あれっ?さっき買ったたこ焼きがない……」
「うわぁっ!嘘だろ!店の袋とじが全部開けられてるぅぅぅ!!」
「店長っ!こっちは落書きの嵐です!」
「おいくそっ、誰だよ俺の自転車にゴミ入れたの」
「ぐわぁぁ!俺の車のボンネットォォォ!!」
ザワザワザワザワ
「な、なんかこの辺りもの凄く騒がしい気が……」
「トトさんの仕業に違いないです!この近くに絶対……あっ、いました!!」
『あー楽しい楽しい楽しいなっと。次はー……』
「トトさんっ!!」
『ん?お、よぉテテ、ひさしぶりー。あれ?何だよアンタも一緒か』
「一緒でゴメンねー。で、この騒ぎは貴方の仕業?ランプの魔人」
『……何だよ説教でもする気か?願いを叶えてやったってのに』
「説教なんてしないよー。ただ……」
ガシッ
『うわっ!何だよっ離せっ!!』
「ランプには戻って貰うよ。……テテ」
「はいですっ!」
『……っこっ、の!てめぇテテ!覚えて』
シュポッ
「ホント簡単に戻せるんだね。ランプに触れさせるだけでいいなんて。これなら最初から言ってくれてれば悪さする前にランプの中に戻せたのに」
「はいぃぃ。それはそうなのですが……、あの、でも、このやり方は次から通用しないと思いますのですよ」
「こいつも警戒するから?」
ぺしぺし
「……はい。それにテテ、あまり乱暴な事はしたくないのです」
「……そっか(優しいなぁ)じゃあ次からはどうするか、だよね……あ、手伝いますっ。」
「テテもお片付け手伝います!」
カチャカチャ
「あらあら、ありがとねぇ。それにしても一体何だったんだろうねぇ、今の嵐は」
「悪戯妖精の仕業、かもしれんぞ」
「やだよアンタ、そんなメルヘンな……そうだ、ねぇ探偵さん。探偵さんならこの謎、解き明かしてくれるんじゃないか?」
「あはは……(謎は既に解けているんだけどね)」
「……!お姉さんは探偵だったですか!?」
「あ、うん。一応そんなような、そんなような……そんなような」
「凄いですっ!シャーロックホームズですかっ!明智小五郎ですかっ!金田一耕助ですかっ!江戸川アラン・ポーですかっ!」
「えっと、そこまではいかないんだけど(最後のだけなんか可笑しかったような……)探偵って言ってもそんなに大したことしてないよ」
「そんな事ないよ!探偵さんには助かってるって皆も言ってるんだから」
「そうだぜ。自分を卑下したゃいけねぇぜ、探偵さん」
「あははは、ありがとうございます」
「凄いですぅぅぅ」
「んー、テテ?あのね、探偵とは名ばかりで私がやってるのはボランティアみたいなものなんだよ」
続く




