「あるいは華になりたがらない少女」
『OK!じゃあ、その弟さんが早く良くなりますようにってのが貴方の祈りなわけね』
「あ、うん。お願い出来るかな」
『大丈夫よぉ!任せてっ!!ね、ララ』
「うん……(アントニオに……似てる……かも……この人……ぽっ)」
『でもさぁ、それならトトに弟さんの病気が治る様に頼んだ方が良いんじゃぁない?私が言うのも何だけどぉ』
『祈りの魔人、ソイツは願いじゃなくて祈り御所望なわけ。俺はお呼びじゃねぇんだよ。って事で俺はもう戻るから。じゃあーなー』
ボフッ
『何よアイツ。完全なる仕事放棄じゃないのよぉ。まぁ良いけど……ララ!』
「……うん……はい、これ……」
『サンキュー』
シャリン
「……(鈴?)」
シャン、シャン、シャン
「テテ……これって」
「祈り、なのですよ。お姉さん」
シャン……シャン…シャン
「……(小さな巫女舞い……祈り、か……)リリはトトみたいにポンポンしちゃうわけじゃないんだね」
「はい。リリさんは祈りの魔人ですから。トトさんの『願い』が《叶える》ものならリリさんの『祈り』は《届ける》もの。神様に先輩さんの祈りを届けているのですよ」
シャンシャンシャンシャン
「━━━━━━━」
「……(歌……?)」
「━━━━━━━」
「綺麗な歌声だね……あの子」
「ララ、でしたっけ……。ホントに、透き通る様な声ですね……」
「祈りは《歌》と《踊》の両方が対となって一つとなるのですよ。ララの歌もリリさんの踊も神様に献上するに値する極上のものなのですよ」
シャンシャンシャリン
「……(ホントに綺麗。ずっと見ていたい気分にさせられるほどに)」
シャリン……シャンシャン……シャン
「━━━━…………」
「…………(終わった、のかな)」
『貴方の祈り、祈りの魔人リリが確かに天上に届けました。神様の良き采配があらんことを』
「あっ、ありがとうございます……(ぺこり)」
『よぉーし!終わった終わったぁ。ララ、お茶にしましょ』
「……うん……」
カチャカチャカチャカチャ
「(切り替え早いなぁ。しかもここでお茶会?)……あれ?ねぇテテ」
「何ですか、探偵のお姉さん」
「そう言えばなんだけど、先輩、ランプの汚れ落としてないよね?それなのにリリに祈って貰って……祈りの魔人だからそう言うのはもしかして無いの?こっちが何かしなきゃいけない、みたいな」
「えと、ララ」
「……ない、です……けど……あの……一緒に……お茶……しませんか……?」
『お茶菓子もあるわよぉ。勿論ララとリリのお手製のね!』
続く




