「あるいは空になりたがらない少年」
『ドアが閉まります。ドア付近に――――』
ぷしゅーう。
「よいしょっ……と。良かったねテテ。座れて」
「はいです!」
「…………ふぅ」
「…………?探偵のお姉さん、大丈夫ですか?なんだか疲れているご様子ですが……」
「ん?大丈夫だよ(にっこり)」
「……本当ですか?(じぃー)」
「あは、ははは……。テテ、鋭いね。最近ちょっと寝不足なんだ。でもそれだけだよ?」
「そうなのですか!?(驚愕)すみませんっ、そんな時に僕のトトさん探しに付き合って貰ったりなんか……」
「というか私が勝手に付いて来ただけだし」
「今からでもお家に戻られてゆっくり睡眠を取られた方が良いですよ!!トトさんは僕が一人で探しますから!!」
「えー」
「えー、じゃないですよ!次の駅で降りて引き返すです!なんだったら僕がお姉さんのお家までお送り致しますです」
「んー……でももうここまで来ちゃったしさ。一緒に連れて行ってよ、テテ」
「駄目ですよ!お姉さんの体の方が大事です」
「どうしても駄目……?」
「駄目です!」
「むー……あっ、良いこと思いついた!」
「…………?」
「トトを見つけて私の願いを叶えて貰う」
「な、何を言ってるですか……?」
「今から一、二時間ほど静かに眠らせて、ってのが私のお願い」
「そんなお願いならトトさんに願わなくても叶えられるですよ!(怒)」
「無理むり。私、眠るのに三、四時間ほどかかっちゃうから」
「そうなのですかっ?」
「うん(嘘だけど)。だからトトを探して気持ちの良い睡眠を取らせて貰おう」
「……(なんだかとっても嘘な匂いがしますですよ)」
「それで、トトはまたどうして逃げ出したの?しかも今度は隣町までだなんて。一駅だけどけっこう距離あるよね」
「……多分、ランプの汚れがあと数回で全て消えるからだと思いますです。それでまた悪戯をしに……」
「確かランプの汚れを全て綺麗にすればトトはランプの魔神から解放される、んだっけ」
「はいです(こっくり)」
「……(確か前もトトが悪戯をしてランプが汚れて……トトはランプの魔神からそんなに解放されたくない、って事か)ねぇテテ」
「はいです」
「トトがさ、もしランプの魔神から解放されたらさ、トトはどうなるの?魔法の国とかに帰っちゃうわけ?」
「魔法の国なんて無いですよ?(きょとん)」
「……そ、そうなんだ(ヤバイ、ちょっと恥ずかしい)」
「トトさんは……元の所へ戻るです」
「元の所?」
「ランプの魔神になる前の……所なのですよ」
「そう……」
続く




