「解はキャットフードと共に」
「給食費を盗んだ犯人。それは貴方、ですよね?」
キーンコーンカーンコーン。
キーンコーンカーンコーン。
「給食費を管理し、給食費が盗まれたと騒いだ張本人、そして校内で猫を飼っていると噂されているミカエルちゃんのクラスの担任の……先生?」
「…………」
「先生様……」
「まさか、そんな……先生が犯人やったんか」
「探偵君……」
「(こっくり)先生、答えて下さい。yesかnoか」
「……突然に呼び出されたかと思えば……」
「先生、証拠も抑えてあるんです。誤魔化そうとしても駄目ですよ」
「証拠?」
「これです(ぺらり)」
「……レシー、ト?」
「ええ。何のレシートか……先生なら分かりますよね?」
「……!!まさか……っ」
「……(にっこり)」
「た、探偵君、それは何のレシートなの?」
「探偵様!」
「探偵はん!」
「これは先生がすぐそこのコンビにで買った『とあるもの』のレシートよ」
「まさかそんな……わざわざ探したのか?」
「探した、というよりは探してもらったと言った方が早いかな」
「……?」
「先生。先生は盗んだ給食費をこれを買うために使った。そう………『猫もきゃっと驚くキャットフードの達人《γ》』を買うためにね!!」
「くっ!」
「……(ね、猫のえさ?)」
「……(高級キャットフード)」
「それめっちゃ高い幻のプレミアムのやつですやん!!そんなもの買うたんですか!先生、めっちゃ低賃金やのにっ!」
「……(低賃金)」
「そ、そうだよ!低賃金だからお金が無くてひもじくて……だけど、だけどタマちゃんに一度で良いから食べさせてあげたかったんだ!あの幻の《γ》を!!」
「給食費が盗まれた日はちょうど給料日前日……貴方の財布の中身はほぼ零に近かった。だから目の前にある給食費に目が眩んだ」
「そうだ。その通りだよ」
「先生様……タマちゃんにγを食べさせてあげたかったのは分かりますが、どうして給料日まで待てなかったのですか……?」
「タマちゃんは……タマちゃんは……っ」
「キリちゃん。先生とタマちゃんの時間はね、給食費が盗まれたその日までしかなかったのよ」
「え……?」
「どういう事なの?探偵君」
「…………先生、認めて頂けますね?」
「……ああ、そうだよ。給食費を盗んだのは私だ」
「先生様……」
「先生……でもどうして自分から給食費が盗まれたと騒いだりなんかしたんです?黙っとって給料入ったら戻しておいたら良かった話ちゃいますん?」
「…………」
「良心の呵責、ですか?」
「ふっ……いいや。あの日、タマちゃんに幻のγを食べさせている時に言われたんだよ。私のために悪いことはしにゃいで、と」
「…………」
「…………」
「……………」
「…………」
「私は、誰かが犯人を見付けて裁いてくれるのを待っていたのかもな……。若き探偵さん、すまなかった」
「……いえ、謝るべきは私ではなくミカエルちゃん、そしてクラスの皆だと思いますよ」
「……ああ、本当に……本当にすまなかった」
続く




