1話 勇者召喚
誤字脱字などあると思いますがよろしくお願いします。
気が付くとそこは日本では無いだろうと思われる場所であった。
そこは何かの儀式の場のような場所だった。
その中心には学生服を着た状況を把握出来てはいない様子の者達。そして周りには十人近くの神官と思われる者達がいた。その中には倒れている者、「やった!成功だ!」と言っている者など様々だった。だがその中に1人真っ赤なドレスを着た少女が立っていた。
「ようこそグリファジア王国へ。私はこのグリファジア王国の第一王女のエルミス・グリファジアです。勇者様方、どうぞこちらへ」
エルミスは一度お辞儀をしてそう告げ近くに集まるよう促した。
エルミスの容姿はとても可憐だった。艶のある金色の髪の毛に碧眼という
ザ・美少女という感じの少女であった。
そのときに俺……篠倉煌はこの状況について理解した。異世界召喚されたのだと。
俺は先程まで高校の2年2組の教室でいつも通り1人で昼飯を食べていたのだが…。自分でいつも通り1人でとか言うとなんか悲しくなってきたことは置いておこう。
俺は分かる通り友達と呼べるものがいない。威張れることでは無いが…。何故いないかというと唯たんにタイミングを失っただけなのだ。決して人見知りということでは無いが話しかけるタイミングや友達になるタイミングなどを逃し続け最終的にぼっちになってしまった、というわけだ。
それで1人で飯を食っていると、俺とは全く釣り合わない幼馴染の橋野未来が話しかけてきた。
未来の容姿は腰まで延びた綺麗な黒髪で身長は俺の肩あたりで出ているところは出ていると、まぁ、こんな感じだ。
「まーた1人で食べてる。いい加減友達作りなよ」
「余計なお世話だ。それよりお前、友達のところに戻らなくていいのか?」
「お前じゃなくて未来!何度も言ってるのに…」
未来は少し寂しそうに俯いた。
「あーはいはい。分かったよ、未来。これで良いか?」
「うん!それじゃあたしは戻るね。煌は早く友達作りなよ!」
未来は嬉しそうに小走りで自分の友達の元に戻って行った。
未来が友達の元に戻ってから周りを見渡すとクラスの男子の殆どが煌を見ていた。何故見ているかというと未来という美少女がぼっちの煌に話しかけているというのが面白くないのだ。
そしてその男子達をまとめている春日井賢吾がこちらに向かって歩いてきた。
めんどくさいことになりそうだな。教室から出るか。
煌は席を立って教室を去ろうとしたがそれは賢吾によって止められた。
「篠倉君、ちょっと良いかい?」
「なんだ?」
どうせ未来の事だと思うが…。
「橋野さんから手を引いて欲しい。彼女は君みたいなぼっちと一緒にいて良い子じゃない」
やっぱり未来のことか。
「手を引いて欲しいも何もあっちから声をかけて来るんだ。俺に言うんじゃなく未来に言ったらどうだ?篠倉に話しかけるなってさ」
煌は嫌味っぽく吐いた。
賢吾は煌の言葉を聞いて未来のところへ行ったが未来が嫌がり追い払われていた。
本当に春日井は諦めが悪いな。
春日井は未来に何度も告白して全て断られているのだ。だが諦めることなくしつこく告白を続けているのだ。告白回数は百回を越すとか…。
目線が自分の方に来るというのに免疫がない煌はこの空気を嫌がり教室から出ようとした。注目されるのはぼっちにはキツイのだ。
今度こそ教室から出れると思いドアに手を掛け、開けようとしたが開かなかった。いくら力を込めてもビクともせずにいる。何故開かないのかと考え始めた瞬間、教室の床から眩い光が発せられ教室内は光に包まれた。
そして現在……2年2組の生徒は突然の出来事に混乱していた。
「ここって何処?」
初めに口を開いたのは未来だった。
その一言をきっかけに皆は一気に騒ぎ始めた。「ここ何処だよ!」、「家に返して!」、「異世界キターーー!!」などこんな感じに騒いでいた。一人だけおかしな奴がいたが置いておこう。
しかしそのとき、
「勇者様方、落ち着いてください!」
エルミスの一言でクラスメイトの殆どが騒ぐのを辞め、エルミスの方を向いた。
「まずは、いきなり呼び出してしまい申し訳ありません。」
エルミスは深々と頭を下げた。そしてエルミスは続ける。
「しかし、私達の国を守るためにはこれしか方法はなかったんです」
それに反応したのはクラスのまとめ役でここに来る前、煌に話しかけて来た春日井賢吾だった。
「これしか、とは?」
「勇者召喚のことです。勇者召喚とは古代から伝わる魔術の一つで異世界から勇者を呼びたしこの世界に召喚するというものです」
「僕達が選ばれた理由は?」
「それは……わかりません。何か勇者としての素質があったのだと私は思います」
「素質……」
賢吾が顎に手を当て何かを考え始めたのを見て煌がエルミスに質問した。
「それで俺達は何をすればいいんだ?」
「そのことですね。まず、この国の状況から説明したいと思います。この国は今魔国という魔族の国と戦争をしています。その戦争はもう50年も続き、魔族のリーダー、『大魔神ニルヴォネア』を先代勇者が封印し戦争は終わりました。しかし、封印の儀式で先代勇者は命を落としてしまいそれを聞いた四属魔神が再び侵攻を始め……。」
そこで煌が口を出した。
「あの、ちょっと良いですか?」
「何でしょうか?」
「四属魔神ってなんだ?」
「四属魔神とは『炎魔神ヴォルベルグ』『水魔神ゼリゲナム』『風魔神オルセウス』『雷魔神ウルセウス』という大魔神ニルヴォネアの守護神のことです」
なんかポ○モンリーグの四天王みたいだな。その先にチャンピオンがいる、みたいな。ってそんなこと考えてる場合じゃないな。今はこの状況を知ることが先だ。
「ありがとうございます。途中で話を止めてしまいすみません」
エルミスはにこりと微笑み
「いえ、貴方が聞いてくれなければ私も説明し忘れてしまっていたと思うのでこちらこそありがとうございます」
エルミスはぺこりと頭を下げた。
「それでは先程の続きの説明をしたいと思います。四属魔神が再び侵攻を始めましたが、先代勇者が残した結界が侵攻をなんとか阻止することが出来ました。しかしその結界も長くは持ちません。今の結界はいつ消えてしまうかもわからないような状態です。そこで私達は召喚魔法という魔法を使い勇者様方を呼ばせていただいたというわけです。それで勇者様方にしてもらいたいことは四属魔神の侵攻からこの国を守って欲しいことと四属魔神の討伐して欲しいのです」
エルミスは長い説明をして疲れたのか1度深呼吸をして呼吸を整えていた。
「あの質問良いですか?」
いま質問したのは賢吾の幼馴染の初凪桜だ。
容姿は未来とは違い茶髪でショートカットに胸はまぁまぁといった感じのスポーティな少女だ。
「あ、はい。どうぞ」
「私達は元の世界に帰れるのですか?」
その質問は俺も気になっていたことだ。
質問をされたときエルミスの表情が少しだけ崩れた気がした。そしてエルミスは質問の答えを言った。
「わかりません。四属魔神が知っている可能性があるとお父様は言っておりました」
その言葉を聞いた瞬間、俺のこの国に対する信頼はなくなった。