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◆イントロダクション◆ 「農水省による『家畜工場プロジェクト』」

◆イントロダクション◆ 「農水省による『家畜工場プロジェクト』」



近未来。医療発達による人口増加や、多くの新興経済国の増加により、農業生産高は減少の一途をたどり、世界では多くの食糧の輸出が減った。



とはいえ、今だその問題は世界各国を直ちに脅かすものではなかったが、これまで憂慮していた食糧問題が現実味を帯び始めたというのは紛れも無い事実である。

アメリカやイギリスを初めとする主要先進国は年々僅かだが下降をたどる食糧自給率に上方修正を図るべく、この問題に対しての解決策を模索し続けていた。

それは食肉や野菜などを効率よく生産、供給する為のバイオテクノロジー技術の研究であり、

また栄養価が高くかつ、少ないスペースで大量に生産しやすい新たな食物を開発する事など各国の政府機関に属する研究員らがそれらの研究、開発にいそしんでいた。


しかし、解決策案の具体的な情報・研究は各国それぞれの上層部や一部の研究機関を除いて厳重に秘匿され、いずれも各国政府は国民にはそのような危機が迫っているという事を知らせずにいた。

この食糧危機が何十年後かに訪れるという事態を国民に秘匿することに関しては多くの取引を密にする先進国間で内密に打ち合わせられていた。

秘匿する理由として、表向きの理由では国民によるパニックによる暴動や急な物価上昇を防ぐためという事だったが、実際にはこの危機に対して行われる研究成果はおよそ膨大な利益を生む可能性が高いためにその研究成果自体を自国内のみに留めておく意味合いが強かった。

しかし、それら研究成果をめぐり、世界のあらゆる国々は合法、非合法を問わず諜報活動を行い、彼らの衝突による水面下の争いもままあった。



そして国民が消費する食品の六割以上を海外からの輸入に頼っており、食糧の生産、自給率の低いとある国がある。


それは日本だった。


日本政府はこの食糧の危機に立たされつつある今の状況を深刻に、かつ真摯しんしに受け止め、食品各種の国民への安定供給を目指し日本のある行政機関が対策に動き出した。

某日、日本の農林水産省から『家畜工場』というプロジェクトが立ち上がった。

この『家畜工場』という呼び名は、ビルのフロアに暗室を作り、特殊な光をあてて食用野菜を安定して収穫できる方法である『植物工場』を家畜へ言い換えたものである。

このプロジェクトでは人体において重要な三大栄養素の一つであるタンパク質を国内で大量に確保するため、トランスジェニック(遺伝子組み換え)家畜の研究を国内のみで進めるものだった。

そのプロジェクトは遺伝子組み換えによりあらゆる家畜の繁殖力をこれまで以上に増やし、輸入に頼った今の国内の食糧事情を抜本的に改革するもので、時の農林水産大臣の鶴の一声によってそのプロジェクトは莫大な費用と人員をって進められた。


当然のこと、この『家畜工場プロジェクト』に対し、家畜の遺伝子を組みかえることに関しての倫理的問題や膨大な費用やいずれも多くの人員を投じる事への疑問が多くの国内報道各社から指摘されたが、政府はそのプロジェクトをあくまで推し進めてしまう。

プロジェクトが発足して二年後。日本政府は六兆円という途方も無い費用を投じ、東京湾、海上に国内最大規模を誇る研究施設、『日本第一遺伝子研究所』を完成させた。

そこには高額の三次元遺伝子活性器はじめ、ゲル電気泳動装置、リンドのシーケンサ等、あらゆる遺伝子工学の研究のための最新の器機が置かれ、また多くの国内の製薬会社の開発担当、大学教授や研究職のいずれもあらゆる学問に精通した有能な人間が集められ、ついに日本は世界規模の食糧危機に本格的に立ち向かうことになった。



そして、数多くの国民達は食糧危機が始まる兆候を見ずして、その研究所で生まれたある『もの』を契機に世界は徐々に狂いだしてゆく事となる。




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