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ノアークβ  作者: ニセモノノシキ
第一章
8/21

システムエラー

「変態」

「あはは、おにいちゃんへんたいー」

「マスターは変態だったのですか!?」

 3人から責められている。何故か。

 先程まで全裸だったナンナはニケの裁縫スキルで仕立てた白を基調としたシンプルな服を着ていた。

「ロリコンっていうんですよね? そういうの」

「あはは、ろりこんろりこんー!」

「ま、マスターはロリコンだったのですか!?」

 じろりと睨みつけるニケの目力は凄まじい。

 なんだってんだ一体。

「裸の女の子なんて……しかもこんな幼い……」

 聞こえるか聞こえないかの音量で非難されている。

「俺は関係ないだろ」

「使用者の好みで外見が変わるんですよっ」

「はいです~」

 ニコニコという効果音が聞こえてきそうな表情のナンナ。と、相対する表情のニケ。笑い転げているクレス。

「知らねーよ! 俺にそんな趣味はないっっ」

「どーだか!」

 ふいっとそっぽを向いてしまう。なんだって俺がこんな目に…。

 腰までの黒髪、大きな瞳。透き通るような白い肌。クルクルと変わる表情。

 確かに可愛い。可愛い、が。

「どうしたのですか、マスター?」

 クッキーを砕いてもらったものを頬張るナンナと目が合う。

「その、マスターっていうのやめないか?」

「マスターはマスターなのですよ?」

「いや、でもなんか響きが……」

「そうですかぁ」

 少し困った顔で俯いて暫し唸るように考え込む。相変わらず口内でクッキーを咀嚼しながら、ではあるが。

 そしてにこぉ、と顔をあげ

「では、ご主人様とお呼び致しますね!」

「ぶふぉっ!」

 飲みかけの紅茶を噴出す。もっと悪いわ!!!

「ふうん。ご主人様、ねぇ」

 ニケの顔が鬼のようだ。いや、鬼と化してしまったのかもしれない。

 よく見ると手には弓を持って…

 ヒュンッ

「うわああああああああ」

「こんの変態いいいいいいいいいいいいい!!!!!」

 ヒュンヒュンッ

 ああ、ニケがDEX(器用さ)極振りじゃなくて本当によかった…。

 そんな事を考えながら一撃で致命傷になりそうな攻撃を必死に避けながら、俺は小屋を走り出た。


「お前のせい、だからな」

 夜の外は冷える。ログアウト不可になってから五感が鋭くなったのか、今までより温度や痛みを感じるようになった。

「ご主人様ぁ、それは責任転嫁、というやつですね! せいじか、というジョブの方が得意なスキルだと伝え聞いておりますです!」

 誰からだよ……。

 ニケの矢の雨を掻い潜りながら外に逃げ出した俺は、小屋近くの湖に来ていた。

 この島は自然が多く残されていて景色としては壮観だ。この湖畔で聞こえるモンスターの鳴き声や風でざわめく木々などの長閑な音を聞きながらぼーっとするのが最近のお気に入りとなっていた。

 メニューからマップを表示させようとして、新着メールが2件ある事に気付く。

「クロッドからだ」

 たった数日なのに、その名前は既に懐かしいものとなっていた。そしてその名前を見てやっと、あの登録の日、クロッドと待ち合わせしていた事を思い出す。


『TO:トール

 待ち合わせの時間になってもログインしてないから気になってな。

 なんもなけりゃいいんだけど、体壊したりしたなら一言言ってけよ。

 次あったら極上のアル奢れよ。それでチャラだ。

 FROM:クロッド』


 ログインしていない?ずっとこの世界にいるのに?

 受信時間を見ると待ち合わせの1時間後だった。

 なんだこのラグは。今までに何度もメニューは開いているから、新着メールに気付かないわけがない。

 そしてもう1件。


『TO:トール

 アンネもログインしなくなった。

 なんか知らないか?

 毎日っつーかほぼずっとログインしていたお前らがいないって奇妙な気がするんだ。

 嫌な予感がするんだよ。

 連絡待ってる。

 FROM:クロッド』


 アンネも?

 まさかアンネもログアウト不可(こっち)側に来てしまっているのか…。

 レア遭遇率を上げていたアンネならあのイベントに遭遇してもおかしくはないが、だとしたら今どこに。

 とりあえずクロッドには現状を伝えておこう。

 メール欄の端から返信ボタンを押す。


『その対象にメールを送ることは出来ません』


 システムエラー。

 どうして…。

 何度試しても同じだった。

 他のフレンドにも送ることが出来なくなっている。

 送れたのはニケとクレス。


『TO:トール

 気付いた?私もフレに送ってみた事あるけど全滅。

 向こうからのメールは読めるのにね…

 すごい心配してくれてるから説明くらいしたいのに

 FROM:ニケ』


 隔離されている、のか?

「ご主人様ぁ…」

 ナンナが心配そうに見上げてくる。

「俺、本当に帰れるのかな」

「ご主人様は、帰りたい、ですか?」

「そりゃあ、な」

「そう、ですか」

 そう言ったきり黙ってしまったナンナの表情は悲しげで、今にも泣き出してしまいそうだった。

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