デスゲーム
デスゲーム1.1
走って来る途中で何故かAIは立ち止まった。
「今、いい所なのになんだよ、何処のKY様だ?」
AIは若干苛立ったように軽口を叩いたと思ったら携帯を 取り出した。
なるほど、電話が掛かってきたのかと勝手に納得していた八尋だったが当然ながら戦いに水を差され苛立っていた。
そんなことはいざ知らずAIはディスプレイ画面を見て
「げっ、よりにもよって大幹部様だよ。ついてないなどうせお叱りの電話だろう嫌だな面倒だなそうだ出なければ良いんだそうだそうしようそれが良い。」
電話に出なければ良いと言っていたのにも関わらず何故か電話に出た。
AIは通話の音声をスピーカーモードに切り替 えて八尋にもその通話の内容が聞き取れるようになる環境を作った。
何の狙いがあってそんなことをしたのかは分からないがA Iと大幹部様といわれる二人の会話が聞こえてきた。
「おい何時まで時間が掛かってるんだそこまで時間は掛か らないはずだぞ。早く戻って来ないか。」
「はい、実際そんなに掛からなかったんですけど強い奴がいたんで、自分の性分的に戦いたくなってだから戻ってこいっていう命令にはNOでお願いします。」
「そんなことが許されると思っているのか!!こっちは早く実験結果が聞きたくてうずうずしているん だぞ」
「そんなことは知りませんよ。そんな大事な実験なら僕なんかに頼まなかったら良かったのではありませんか。それに実験結果なら昨日しっかりとお伝えしたはずですが。」
「バカ野郎、それは昨日の実験だ。今は今日の実験の結果を聞いているんだ。
っでどうだったんだ。」
「バカ野郎とは何ですか今ムカッときました。もう知りません。そっちの問題はそっちで解決してください。それに僕は強い奴と戦いたいですし、そっちの不手際が原因なんですから、そちらが聞きに来てくれませんか、僕がそっちに伺うのは面倒くさいんで、じゃそう言う事でお願いします。では」
「おいコラ待て、こっちの問題じゃなくて、お前の問題だろうがそれに―――ツーツーツー」
大幹部様とやらが何か言っていたようだがAIは電話を切った。
仮にも自分の上司にあの態度で大丈夫なのだろうかと八尋は疑問に思った。
気がつけば八尋は
『良いのか。電話切っちまって仮にもお前の上司だろ。それに何でスピーカーモードに切り替えたんだ態々(わざわざ)俺に会話が聞こえるようにした。』
と問いを投げ掛けていた。
「良いんですよ。あんなクソ上司は……僕、大嫌いですし。二つ目の質問についてはご想像にお任せしますとだけ言っておきます。そんなことより早く続きをしましょうよ。数十秒くらいあんなクソ上司のせいで時間を無駄にしてしまいましたからね。」
AIはそう言い。
八尋の問いをあっさりと答えてどうでもいいと言わんばかりに戦闘を再開させようと八尋に促した。
そうして戦いを再開しようとAIと八尋が構えた瞬間に再びAIの電話が鳴り響いた。
AIは携帯を取り出すと手の握力で携帯を握りつぶし壊した。
「ったくしつこいんだよ。用件は伝えたんだからそっちが来れば良いのに。ああもうめんどくさいなぁ~。ねぇ君もそう思うだろう。あんな奴、今はどうでも良いんだけどね。さあ今度こそ続きを殺ろう仕切りなおしだ ね―――5.4.3」
とAIはカウントダウンをし始めた。戦闘開始までのカウントダウンのようだ。
「2.1.0」
そう言った瞬間にAIはこちらに走って距離を詰めてきたその距離はおよそ10メートルだったのがAIが駆け出したと思ったらその距離は一瞬にしてゼロになっていた。
先手を取ったのは八尋だったゼロ距離での銃弾を発射した。
だがその銃弾は当然のようにAIの右手に持っている刀でたたっ斬られてしまい。
AIの後ろで衝撃波を解き放ち突風を放ちグラウンドに大きな傷をつけた。
銃弾を人間が斬るなんて可能なのだろうか?
実際に人がゼロ距離でも銃弾を斬っているのだから信じざる終えないのだが……
例えそれが実際に人間に出来るとしてもゼロ距離でも銃弾が 効かないなんて……
なんて奴だ。
まるで怪物じゃねぇか。
そう思いながら八尋は一先ずAIから距離を置いた。
そして離れたところから再び銃弾をAIに照準を合わせて発砲した。
その銃弾は先程の銃弾とは違い八尋の周りにある暴走状態の時だけに出る黒いもやのようなものを纏っていた。
正確にはこの暴走状態は燐がコントロール出来ていないだけで八尋は実は完全に暴走状態をコントロールしてしまっているのだ。
八尋の放ったその銃弾は先程の銃弾よりも黒いもやのようなものを纏ったことにより数倍の威力がこもっていた。
銃弾がAIの元へと迫まっていった。
AIは刀で受けようとしたが先程とは違い銃弾が黒いもやのようなものを纏っていることに気がづいたのか。
その銃弾は刀で切られることはなかった。
なぜならその銃弾は体を反らして避けられてしまっていたからである。
体を反らして避けた事により銃弾はA Iの真横を通り過ぎていった。
AIが避けたことによりグラウンドは見るも無惨な傷をまた一つ残すことになってしまった。
「何だい今の攻撃はさっきの銃弾とは桁違いの威力が籠っていたね。バカ正直に受けていたらただじゃすまなかったよ。面白いな本当に面白い久し振りだよ。こんなに本気で殺りあうのは。君とは良い友達に成れそうだ。今後ともよろしくね。」
そう言いAIは八尋の方に駆け出して刀を八尋に降り下ろした。
八尋は内心で焦っていた。
ヤバイな。
銃弾が全く効かない。
銃弾を撃っても刀で弾かれてしまう。
反撃する術がないしどうすればこの状況を打破できるのか。
その方法を八尋は考えたが良い考えが思い付かなかった。
すると、突然ライトが話しかけてきた。
「主様」
『なんだ今、少し忙しいのだが』
AIの斬撃を右へ左へ上へ下へといなしながら時折発砲し反撃しながらそれに応えた。
「銃の形状を代えるためにギアのようなものがあります。そのギアを回すと銃や刀や槍や弓矢などの様々な武器へと形を変えられます。空想上の武器も代えることが可能です。試してみてください。きっと主様の役に立つと思います。」
『そういうことは、もっと早くいえ。』
八尋は短く文句を言った。
だがライトは気にした様子もなく。
「すみません。主様まさか忘れていらっしゃるとは思いもしませんでした。もしやと思い勇気を出して言った価値がありました。」
そう言いライトは八尋に謝罪した。
とりあえずライトが言った通りにギアを探してそのギアを試してみることにした。
そのギアは探し出してすぐに見つかった。
これかそのギアっていうのは銃の側面の部分にギアらしきものがあり銃から形を変えさせるために適当にギアをとりあえず回してみた。
ギアを回した直後にそれは起こった。
銃は光りに包まれて刀へと姿形を変えた。
『まあなんにせよ。いいやこれでようやく反撃できるぜ。 さあ反撃開始だ。』
「凄いなぁ~。今どうやったの?何で銃が突然刀に変わるの?ど んな原理?手品か何かかな?それとも君のSAの能力かな?どちらにせよ関係ないけどね。この戦いが面白く成りさえすれば。さぁ面白くなってきたよ。」
AIは本当に嬉しいのか声がとても嬉しそうで面白可笑しく笑いながら言った。
八尋はAIとの距離を詰めるとライトでAIを斜めに斬りつけた。
AIは 刀でライトの起動を読んでライトを弾くようにうけながしてそのまま足蹴りを放ってくる。
八尋は咄嗟に左手を刀から手を離して左手で足蹴りを受け止めた 。
そのまましばらくAIと組み合い八尋は先程、起こったことを考えていた。
AIの刀にライトを重ねたのにも関わらず八尋のSAを吸い込まなかったことに八尋は少し驚いていた。
何故ならばコンビニで殺り合った時はそれに触れた瞬間に自身のSAが全く使えなくなったのに……
今触れても八尋のSAは吸い取られなかったからである。
そこで八尋は1つの仮定を立てた黒い棒のようなものにはSAを無力化する能力があるが……
形を変えたときに限りその能力は無くな ってしまうのではないかというものだった。
何故なら八尋は先程、
銃弾に黒い靄のようなものを乗せて撃ったのだが……
AI は避けたのである刀にSAを無力化する能力があるのであればそのまま銃弾を斬り纏っていた黒い靄を吸いとれば良いのに関わらずそれをしなかった。
ということは刀にはSAを無力化する能力が刀には備わっていなかったと言える。
八尋はそんなことを考えていた当然だがAIは待ってはくれずに攻撃するためにAIは動いていた。
軽くジャンプして反対の足で足蹴りをしてきた八尋は考え事をしていたため反応が遅れてしまい。
AIの足から手を離して後ろに跳んだ。
というよりは回避するしか道はもう無くなってしまっていたのだ。
そして反応が遅れながらも八尋はAIの攻撃を避けた。
攻撃を避けたことにより再度AIとの距離が広がった。
今度はこちらから仕掛けようと八尋は駆け出そうとしたその瞬間に――
ドガーンッ
とてつもない音がしてグラウンドはAIが居たところは陥没してしまった。
八尋はあまりの事で戸惑い足を止めた。
グラウンドが陥没したその衝撃で砂ぼこりが上がった。
砂ぼこりが収まったと思い辺りを見回すとAIが地面にめり込んでいた。
幸いAIはつぶれてはいない。
見たところ生きている。
八尋は驚いて思わず固まってしまい動けなかった。
頭だけは動いていたのでこの事を観察し始めた。
こんなことができるのはSA保持者か現実的ではないが。
何かの時限式の爆弾か?
一番に可能性として高いのはAIの仲間の仕業?
でもそれならば何故、
味方であるAIを狙ったんだ
という疑問が残る。
敵と間違えたってことは――ないか。
何故ならばAIは特徴的な服装をしているからである。
顔は仮面のようなものを被っていて服装はとんでもなくドデカイマントを羽織っている。
これでは間違えるわけがないと八尋は素直に思ったのである。
そして何処からともなく八尋でもそこに蹲っているAIでもない別の誰かの声が聞こえた。
「遅いんだよ。実験結果が聞きたくて来ちまったぜ。っで どうだったんだ」
「痛っいよ。何すんのさ危うく死にかけたじゃないか全くもう!!」
「仕方ないだろ幹部様がお怒りなんだからよ何がなんでも連れ戻せとの命令だ。そんなことよりも幹部様が大変お怒りだぞ何せ幹部様からの電話をあんな形で切っちまったん だから俺でも今回ばかりは庇いきれねぇぞ、携帯越しであ んなこと言っちまったんだから幹部様は短気だからな帰っ たらお説教だな確実に可哀想にそれかもしくは脱会命令が 下されるかも知れねぇな、まあ忍のことだからうまく受け 答えすると思うがなっでどうだったんだ実験の方は」
「お前喋りすぎなんだよ。
もっと短く要点だけまとめて伝えてくれると有り難い。
それと心配しなくても良いからせめて実験の方はあっちに戻ってからだよ敵もいるしね。
それに大幹部様が怒ってるって二回いったよ。」
ん?
「って言うか今完全に僕のこと本名で呼んだよね。色々と本名は不味いんだよ。一応僕はここの生徒なんだよ。」
そう言いAIもとい忍は八尋の方に向きなおる。
「アイツが忍の言っていた強い奴か」
「って言うか無視すんなよ。っていうか本名で呼ぶな。もういいやただし僕の楽しみの邪魔だけはするなよ。邪魔したら怒るからな!!絶対ぜーったい邪魔するなよ!!いいな!!」
「強い奴には見えないし何処をどう見ても弱そうだ。それに先程も見た通り力も無かった。だけど良い武器を持っている。大事に使っているんだな。あの刀はすごく輝いているし切れ味も良さそうだ。アイツの刀と俺の刀とどっちが強いか試してみたいな。まあ、必ず俺が勝つがなというわけで忍、戦ってもいいだろ」
「何がというわけでだ。人の話を聞いていたかお前は!!僕の楽しみの邪魔をするなと言ったんだ。分かったのならとっとと帰れ疫病神!!」
「そういうなよ。忍良いだろ少しぐらい戦っても俺も退屈してるんだよ。この頃仕事が少ないからよ戦うことも少ないし強い奴と戦る機会もさらに少ないんだよ。だからそいつ譲ってくれ頼む。」
「何を馬鹿なことを言っているんだ。絶対にイヤだ誰が譲るか。」
『本人もこう言っているんだから諦めろよそれに俺の邪魔をするな。』
「仕方ねぇな。アイツとの戦いはSAランク付けの際に行われるトーナメントで当たることを祈ろう。っつぅ訳で今回だけは忍に譲ってやる。」
「何で譲ってやる。感謝しろよ。俺は大人だろうみたいな展開になってるの!?もともと邪魔してきたのは君だからね!!もういいや何 だか君の相手をするのが面倒臭くなってきた。それに君のせ いでシラケちゃった。この戦いの決着はまた今度つけよう 。それとこれを渡しておくよ。」
そして忍は指輪を投げて寄越した。
その指輪には2という文字が描かれていた。
『何なんだこれは?』
「君を楽しませるためのキーアイテムだよそれじゃあ.......また黒村燐君」
そういうと忍は懐から何かのボタンらしきものを取り出すとそのボタンを押した。
忍がボタンを押した瞬間に忍の姿が歪んで見えて次第に何も見えなくなった。
八尋はおもわず 驚いてボーッとしてしまったがゆっくりと意識を戻すと八尋は八尋の意識を燐に手放した。
燐が意識を取り戻すとグラウンドは荒れていて手には刀が 握られていた燐は自身が持っていなかった刀を持っているので驚いておもわず刀を落としてしまった。
その直後に頭に痛みを感じ頭を押さえた。
「頭痛ってぇ。何度も代わるたびに同じ痛みを味わっても慣れないよな。滅茶苦茶頭痛いよ。本っ当に覚えてろよ八尋の奴め。」
若干イライラしながら八尋に文句を言うと辺りを見回した。
うっわ~
派手にやったな八尋は。
これは凄いな。
グラウンドには大きなクレーターが出来ていて地面を抉られたようなところさえ見受けられる。
ハッキリといってしまうと……
まるでグラウンドで爆弾を爆発させたような感じだ。
この惨状をみる限りではここで大規模な戦闘をして決着がつく前に逃げられたのであろう。
何故ならばそのAIの姿が全く見えないからである。
もしも八尋がこの戦闘に勝利したならばそこら辺にAIの奴が転がっているからである。
この事を踏まえた上で奴には逃げられたのだろうと考えられる。
あくまで推測の域を出ないが……
後で八尋に聞けば一発で分かるであろうからこの事はとりあえずは保留にしておこう。
そういえば僕を連れてきたあの男は何処に行ったんだ。
辺りを見回して探してみるが見付からなかった。
あの男の人は何だったのだろう?
風紀委員の人達かな?
それともSA教育委員会の教師の人達かな?
いずれにせよ入学早々にいや、まだ入学していないから違うか。
とにかく悪い意味で風紀委員の人達かSA教育委員会の教師の人達かに眼を付けられたことは確かなようだ。
すべて八尋のせいだがあの男がどちらの人間であっても情報は共有されるからどっちみち両方に眼を付けられてしまうのだが。
そういえばあの男に携帯を取り上げられたまんまだったな。
僕の携帯何処にいったんだ。
探すのも面倒だしな。
どうしようかとりあえず自分の教室に戻るかっていうかグラウンドがこんなことになっていて休校しなくても大丈夫なのかここは。
噂通りの学校だったな。
何でこんなトチ狂ったとこに入学してしまったんだろう。
今からでも入学取り消しできないかな。
そんなことを考えつつ燐は下駄箱に到着し靴を上履きに履き替えた。
何回も同じところを通ったがまだ自分の教室が覚えられない。
燐は仕方なしに見取り図をみることにした見取り図を見ると時刻は
八時四十分
は?
どういうことだ?
今の時間が八時四十分なのだとしたらどうして誰も登校してきていないんだ?
朝のHRが八時三十分からだから今、学校に着いていないのだとしたら遅刻になってしまう。
もしかしてこの学校は俗に言う不良校なのかもしれないぞ。
何故なら誰も誰一人として学校に来ていないからもしかしたらこの時計が壊れているのかもと思ったが秒針も止まることなく動いている。
それならば誰かのいたずらで時刻を弄ったのかもしれないと思った。
しかし例え時刻を弄ったのだとしてもそれが真実なのかどうか疑わしいものである。
この学校は本当に存在しているのだろうかなんて奇想天外なことを考え出した燐はそんなことはどうでもいいと区切りをつけてE組に向かった。
今回は一回行ったこともあり前回よりも早くE組に着いた。
ドアを開くと先程も会った黄炉帝さんとよく分からない人が一名増えていた。
とりあえず最初会ったときと同じように挨拶をした。
「おはよう」
今回は驚かなかったからスラスラと挨拶をすることができたぞ。
燐は訳の分からないことを頭で思いながら挨拶をした。
返事はそれからしばらくしてから帰ってきた。
たいしてそんなに掛かってはいないと思うが微妙に挨拶してからの間が長かったようにおもえた。
「おはよう黒村君」
と黄炉さんが返してくれた後にさっきはいなかった人が挨拶を返してくれた。
「おはよう俺は青玖尽だ、よろしくな」
青玖さんはそう言って手を出した。
どうやら握手のようだ出された手を握ると青玖さんも握り返してきた。
「僕は黒村燐だよろしく」
「そうだ燐、俺のことは尽って呼んでくれその方がしっくり来るからよ」
「うんわかったよ」
握手を交わして一つ疑問だったことを聞いてみることにした。
「今って八時四十分だよね」
そう聞くと尽は携帯を取り出した。
「正確には八時四十三分だけどな。でも気の毒だな。俺も燐も帝もこの学校に閉じ込められるなんてな。でも安心しろよなんたって俺がいるんだからな。」
燐はおもわず自分の耳を疑った今、尽は何て言ったんだ。
"閉じ込められた"そう言ったのか。
どういうことだ訳が分からない。
とりあえず今の状況を理解しているであろう尽に聞いてみることにした。
「閉じ込められてるってどういうこと?」
「イヤ、だからさこの学校にさ」
燐は少し考えようと思い今までのことを思い出し始めていたが尽の言葉で思考の海から戻ってきた。
「もしかして燐は本当に分からないのか。」
「わからないって何が?」
疑問に思ったので聞いてみると尽は困ったような顔をして答えてくれた。
「この状況がつまり閉じ込められてるって言うことを.だ」
そう言い尽は言葉を区切ると再び説明してくれた。
「分かりやすく説明するとAIの連中の仕業だって言うのが一番手っ取り早い説明の仕方だ」
へぇーと僕は状況を確認するために相づちを打つその相づちを聞いた尽は説明を続けた。
「AIの連中のせいで俺達はこの学校の中に閉じ込められてるって訳だ」
「もしかして学校の敷地を囲んでいるバリアみたいな物のことを言っているのか?」
「そうだ。燐も見ていたんだな。学校の敷地を取り囲むようにしてSAの能力を用いて強いバリアが施されている。現状はそのバリアのせいでどうしても外には出れない。」
「根拠は?」
「それは俺が試してみたが失敗したからだ。出ていこうとして色々と試してみたんだがバリアにすべて弾かれてしまってダメだった。」
尽は口を開いて試してみて分かったことを話してくれた。
「さらに加えて一個目はこの学校の生徒が学校の登校時間を過ぎてもこの学校の生徒が登校してこないということだ。これはかなりおかしい何故だか分かるか?」
僕はよく分からなかったので首を横に振った。
尽は僕のアクションをみて説明してくれた。
「おかしい点はこの学校の生徒が登校時間を過ぎても登校してきていない事だ。この事を踏まえるとこのバリアは外からも内からも入ってこれないようになっていると考えてまず間違いない。完全に俺たちはここに閉じ込められたってことだ。さらに分かりやすく言うと外からも内からも助けは絶対に来ない。」
しばらく僕は尽の言っていることが分からなかった。
それを理解するのに数十秒掛かってしまったがなんとか状況を確認することができた。
「要は自分のことは自分で何とかしろってことだよね。」
僕がそう答えると尽は肩を竦めながらそれに答えた。
「そうなるな。でも実際のところなんの行動もとれなくてお手上げだけどな。何せそのAIがいないんじゃ。せめてAIが何かアクションを起こしてくれないとこちら側としてはどうしようもないしな。」
燐は一つの矛盾のようなものを感じていた。
尽の言っていることがよくわからなかった。
確かに燐が学校に来たときはすでにバリアが張られてあった。
最初は弾かれてバリアの中へは入れなかった。
ここまでは尽が説明してくれた事と全く同じだ。
だが僕はそのバリアをすり抜けて突破しているのだ。
一回目は失敗したけれどもしばらくするとバリアは消えて燐は中に入れた。
何故僕はバリアをすり抜けることができたのだろう。
分からないがそれはたいした問題じゃない。
問題なのは何故あのときだけ中に入れたのだろうと言うことだ。
バリアがそのときだけ解除されていたからだと考えてまず間違いないと思うがなぜあのときにだけバリアの解除を行ったのかというのが燐の大きな疑問だった。
そのときたまたま外に出ていたAIの奴がバリアが張ってあるのに入ってこようとしてバリアに弾かれてしまったからそのAIを学校内に入れるためにバリアをすこしだけ解除したのかもしれないっと燐は考えていたが結論を見出だしたそれは
"そんなことはどうでも良い"
だったそれこそそんなことはどうでも良いだった別にバリアがあるから入れないなんてどうでもいいじゃないか中に入ることができたのだからそれでいいじゃないか
そんなどうでも良いことを考えて時間を無駄にしてしまった燐は何故か考えることをやめてボーッとしさらに時間を無駄にしていた。
「おーい、聞こえているか燐~」
尽の問いかけでようやく燐は思考の海から戻ってきた。
「うん、聴こえてるよ」
と短く返事を返すと尽は再び今の状況を事細かく説明してくれた。
まず僕達はAIが行っている何かの実験に巻き込まれてしまって…
この学校に閉じ込められていることそしてこの出来事はすべてAIの仕業だということ…
そしてそのAIが何かのアクションを起こしてくれないと僕たちは何の手出しもできないと言うこと…
学校に閉じ込められてしまい出られなくなってしまうということだった。
とりあえずAIが何かアクションを起こしてくれなければAIをとっちめてここから出してもらえるように頼むこともできないのだ。
よってこちらから何かアクションを起こすのは最善ではないことが分かる。
だがこのままずっとAIが何かアクションを起こしてくれるのをただ待っているのも気が引けるのもまた事実。
さて、どうしたものかと燐は考え出していたがその思考の海から解放してくれたのはまたもや尽だった。
「お~い燐、聞こえてるんなら返事してくれ。」
「ごめん尽、少し考え事してた。」
「燐、そのすぐ考え込んじゃう変な癖は絶対に直した方がいいよ。」
「頑張ってみるよ」
ピンポンパンポーン
何だ?
これは放送か?
誰が何のために?
もしかしてAIの奴等か?
そんなことを考えていると誰かが喋りだした。
【こんにちは~マヌケ共~気がついているとは思うが一応説明はしといてやる。お前ら糞虫共はこの学校の敷地内に閉じ込められている。何故こんなことにとか考えている奴それは俺様たちAIに間接的にしろ直接的にしろ妨害行為をしたためだ思い当たる節はあるはずだぜ。
でもまぁイレギュラーもいるみたいだがなこのままだとかなり理不尽なので現実世界に戻るためのチャンスを蛆虫共に与えようと思う。】
みんなが状況を飲み込めるようにするためかそこで言葉を区切ると数十秒ほど経ったあと口を開いた。
【良い青春を送っているかい送っている奴も送ってない奴も今から言うことをよ~く聞いておくんだな。
今からちょっとしたゲームを行うそのゲームをクリアできたものにここから出るチャンスを与える。悪魔でチャンスだと言うことを理解した上で望んでくれ。】
【ちなみに俺様の名は瀬安威覚えなくても良いぜ何故ならこれは当然ながら偽名だからだ。そうだな俺様の呼び名は普通にゲームマスターとでも呼んでくれでは今からゲームの説明をしてやるからありがたく聞け愚民共】
【ルール1
このゲームは生き残ることを目的としたゲームだ。
だが殺し会うことを目的としたゲームでもある。
又、このゲームはチーム戦で行い人数の上限は5人とする。
ルール2
15日間で生き残りゲームを行う。
15日間経過するまでに参加人数が15人以下にならなければ期日を20日間に伸ばして延長戦を行う。
ルール3
君たちが持っている又は渡された指輪を盗り合ってもらう。
15日間経過して一番多く指輪を所有しているものを優勝者とする。
ルール4
学校の敷地内をエリアとしエリアから出ようとしたもの又はこのゲームに参加する意思のないものは俺様が直々に死の鉄槌を落とす。
ルール5
又、食料は学校の敷地内に置いたボックスのなかに入れておいた。
餓死してくれてはこちら側としても困るのでな。
ルール6
ボックスの中には人を殺害することができる道具が入れてある場合もある。
主にこのゲームを有利に運ぶためのボックスといっても過言ではないだろう。
参加人数を減らすには必須のアイテムだ。
ルール7
人を減らすにはどんな方法を使っても構わないそれが人殺しであっても禁忌であっても。
SAを使って人を殺すのもその範囲内だ。
ルール8
ボックスの数は全部で200個
200ヶ所に設置されているがそのなかにはブビートラップもある。
そのため君たちの安全は保証できない。
ルール9
上記のルールの他にゲームマスターが新たなルールを通達する場合がある。
以上がルールだ。
ちなみにお前らゴミ虫共の合計数は30匹だ。最低でも15匹が死ぬ計算だな。
では君たちの御健闘を祈っている。
俺を楽しませてくれよ。】
ピンポンパンポーン
こうして死のデスゲームが幕を開いたのである。
???SIDE
誰も信用できない信用してしまえば逆にこっちが殺されてしまうかもしれない。
故に誰も信じない我が道を行く
あの日みたいな思いはもうしたくないんだ。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
燐はルールについて考えていた。
何でこんなことをAIの奴等はやりたがっているんだ。
俺たちをこちら側にわざわざ呼び込んでまでそれにチームでっていうのもなにか気になるな。
それにクリア条件が二つある。
ひとつ目は15日間の経過これは問題ないけど
問題は二つ目15日間経過するまでに参加人数が15人以下にならなければ期日を20日間に伸ばして延長戦を行う。
ということはつまり最低でも15人ものひとが死ぬということじゃないのか。
何なんだ人と人とを殺し合わせるなんてこのゲームは正気の沙汰じゃない。
助けも来ない逃げることもできないただ死ぬのを待つだけそんなのイヤだ。
どんな手段を使っても生き残ってやる。