Ⅱ 電子世界『琥珀色の髪』
ギギギギ・・・
扉は錆びているらしく軽く引いたぐらいじゃ開きそうにない。ぐっと体重をかけて引いてみる。
ギイ・・・ガコンッ
「開いた・・・」
あれ―――――――?
扉の後ろには何もないはずなのに、中に空間が広がってる・・・どういう事・・・?
扉の取っ手から手を放してそっと扉をくぐる。
「わ・・・っ」
ここは―――どこ?
目の前に広がる世界は私の知っている世界じゃない事はすぐに解った。異常なまでに高いビル、ごちゃ混ぜになっている無数の機械やコンピューター達。足元にはネジやナット、コードみたいな物がたくさん散らばっている。
その中で一番不思議なのは私以外の人間が外にいない事だ。人間どころか生き物さえもいない。
「なんで・・・」
一歩後ろにさがる。背中に扉がぶつかった。
ギイッ
「えっあっ?」
バタンッ
扉が閉じてしまった。
「ドジだなあ私って・・・」
そう呟いて扉の取っ手に手をのばした。
・・・ん?
取っ手に手が届かない。というか扉が消えかけてる。
「え、嘘っ」
消えた。
もう戻れないって事?
「嘘でしょ~・・・」
こんな漫画みたいな展開って・・・。
「こんな世界でどうすれば・・・」
途方に暮れて空を見上げた。
「んん?」
青い空に白い雲、けど何か足りない様な―――――?
ドゴンッッ!!!!
いきなり大きな爆発音がした。
「えっ何!?」
爆発の煙の中からおかしなロボットが飛び出してきた。歩く度に振動で地面が唸る。
「何こいつ・・・?!」
大きな爆発音がしたのに周りのビルはびくともしていない。
おかしなロボットは鉄のような物でできた球体のボディーにワイヤーの様な足が四つ付いている。大きさは私の八倍はありそうだ。
球体に付いた赤いレーザーの目がギョロリと私の方を向いた。
「・・・っ」
逃げなきゃ!
そう思ったのに足がすくんで動けない・・・!
その時だった。
「危ないよ!!伏せて!」
凛とした声がした。その声に従って伏せる。
ドンッ!
何かを発射した様な音が耳の鼓膜を震えさせた。
「っ!?」
伏せながら上を見る。
ドカンッ!!
さっきよりも大きな爆発音が響く。そしてロボットが崩れ落ちた。
「う・・・わっ」
バラバラに壊れたロボットの破片が降り注ぐ。誰かが私の手を掴んだ。
「こっち!早く!」
言われるがままに走った。次の瞬間に破片がすぐ後ろを落ちて行った。
機械でごった返している道を手を引かれて走る。そして裏路地の様な所に出た。
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫だな」
私の手を引いていた人が腰に手を当てて息を吐いた。
「あ・・・の、ありがとう・・・っ」
呼吸を整えながら言った。するとその人が振り返った。
――――――――琥珀色の髪。
琥珀色の、肩までつきそうな髪をもっている。
「僕はハル。君は?」
弾ける様な笑顔で聞いてきた。
ちょっと・・・『・・・』が多いなぁ。